週刊「スタジオ翁」ニュースレター vol.97

このニュースレターは音楽制作からリリースまでを個人で完結させる、次世代の音楽クリエイターに向けて書いています。

プロに限らず、誰もが音楽を作れる時代になり、AIや最新のテクノロジーを活用することで、本来ならエンジニアに任せるような仕事も個人で完結できるようになりました。

あなたがプロを目指している音楽家であれ、これから音楽を仕事にしたいクリエイターであれ、AI等を活用した次世代の音楽制作、時代に合った新しいリリースの方法を模索しているならきっと参考になるはず。

目次

  1. 近況

  2. 作曲とミキシングのアイデア帳

  3. 今週の音楽ニュース

  4. ブログ更新のお知らせ

  5. サービス・書籍のご紹介

📝近況

ここでは、最近取り組んでいる音に関すること、仕事のこと、音楽制作のことについて書いていきます。

今月、浜松の楽器博物館に行ってきました。

うなぎを食べに行ったついでだったので、「ちょっと興味あるけど、別に見なくてもいいや」くらいのノリで行ってきたのですが、行ってみると結構な規模の博物館で、世界中の楽器や音楽に興味のある人にとっては天国のような場所でした。

滞在時間は1時間もなかったのですが、楽器博物館の観光に時間をとっていなかったことを後悔しましたね・・・

1階と地下に膨大な量の楽器があり、中には見たこともない中東やアフリカの楽器も山ほどあります。

そしてびっくりしたのは、伝統楽器だけでなく、王室や貴族の間で使われていたであろう国宝級のピアノやチェンバロといった楽器のコレクションが多数あったこと。一つ一つの楽器から歴史の重みが伝わってきて、見ているだけでうっとりしてしまいました。

イヤホンガイドで各楽器の音も聞けるのですが、これはあまりに音質が悪く、途中で聴くのをやめてしまいました。せっかく世界中の貴重な楽器の音を聞けるのだから、もっと良いヘッドフォンを用意してくれよ…と思いましたが、逆に、この力を入れていない感じが浜松の貴重な穴場スポットを作り出しているのだなと思うと、まあいっかとも思ってしまいます。(僕が行ったのは平日ですが、めちゃくちゃ空いてました)

楽器好き、ピアノ好き、音楽好きにはすごくおすすめです。ぜひ浜松でおいしいうなぎを食べた後、楽器博物館にも立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

ちなみに、うなぎは「あおいや」というところで食べました。

値段も手頃で、なかなかオススメです。

📘作曲とミキシングのアイデア帳

作曲やミキシングが上達する動画・記事・アイデア・最新のAIプラグインやAI作曲ツールをご紹介します。

ミキシングにおいて最も過大評価されているスキル

「わかる〜」の連続でした。

ミキシング解説動画にありがちなテクニックを、「それって本当に正しいの?」と、疑ってみた動画です。

例えば、「EQは、位相が崩れるから1~2dBにとどめよう」みたいなチュートリアルがたまにありますが、必ずしもそうする必要はなく、5dBとか10dBくらいEQしても、実際の音にはあまり悪影響がないなんてことも多々あります。

そんな、ミキシングあるあるがいくつも紹介されていて、とても面白かったのですが、今回はその中からいくつかピックアップしてご紹介します。気になる方は全編見てみてください。

まずは、こちら。

ルーティング(Auxとバスの使用): 過大評価されている点: 

Aux とバスの使用は推奨される方法ですが、インサートにリバーブやディレイを直接挿入することが必ずしも「間違っている」わけではありません。迅速な作業と創造的な流れを維持することが重要です。

「リバーブディレイは、直接インサートせずセンドリターンを使おう」というアドバイスは誰もが聞いたことあると思います。CPUの節約や同じリバーブを何度も立ち上げなくて良いといったメリットもあるのですが、必ずしもインサートがダメなわけではありません。

チャンネルごとに異なるリバーブディレイをかけたい場合や、DRY/WETノブで原音を大胆に変えたい場合などは、インサートの方が使い勝手が良いでしょう。

パラレルコンプレッション(並行処理): 過大評価されている点: 

すべてのジャンルで必須のテクニックとして捉えること。特に、電子音楽のように、既にダイナミクスが制御されている素材に対しては、効果が薄い場合があります。

パラレルコンプレッションってコンプレッサーの使い方の1つとしていろんなところで紹介されていますが、ここでも言われているようにダイナミックスが低い電子音楽にはそれほど必要ありません。

例えばドラムなどのアタック音が強い生楽器に対し、アタック感を残しつつ、音圧を上げたいダイナミクスを整えたいといった場合に重宝します。僕自身、生楽器を処理する機会が少ないので、パラレルコンプはほとんど使ったことがありません。

録音とかしない限り、ほとんどの人にとっては必要のないテクニックでしょう。

EQやコンプレッションの過剰な使用を避けること: 過大評価されている点: 

1〜3dBのEQやコンプレッションに固執すること。場合によっては、10〜20dB以上のコンプレッションが必要な場合もあります(特にボーカルなど)。

「EQやコンプレッションはなるべくしない方が音が良い」という思い込みが、音楽を作り始めた頃の僕の頭にもありました。でも、いろんなアーティストやエンジニアのEQを見てみると、かなり大胆にEQ・コンプをかけていたので、 「なんだ、あのチュートリアルは正しくなかったのか…」と気づきました。

EQやコンプのかけすぎで音が崩壊する、といった事は経験上あまりなく、結局、音を聞いて判断するしかないというのが答えなのでしょう。

このように「それって間違ってるんじゃない?」みたいなチュートリアルやアドバイスが溢れているので、それが本当に正しいのかどうか判断するのはなかなか難しいですよね。

ネットの情報は半分くらい間違っていると思っておいて、実際に自分で試してみて効果のあった手法だけを取り入れていくのが良いと思います。

📰 今週の音楽ニュース

毎週、世界中から厳選した音楽ニュースをお届けします。

🖊️ブログ更新のお知らせ

🎧サービス・書籍のご紹介

<著書>

作曲AIに関する書籍を出版しました。

アイデアの出し方から作曲、アートワーク制作に至るまで、音楽制作からリリースまでの一連の流れにAIをフル活用する方法を解説しています。Kindle Unlimitedで読めるので、気になった方はチェックしてみてください。

<Suno AI、Udio用プロンプト生成ツール>

ChatGPTで使える、プロンプト生成ツールを作りました。

使い方は簡単。自分の好きなアーティスト名を入力するだけで、そのアーティストの特徴を出力してくれます。それを、Suno AIやUdioなどのプロンプトとして入力することで、そのアーティストのテイストに近い音楽を、AI作曲ツールが生成してくれます。

プロンプト選びに悩んでいる方は、ぜひ活用してみてください。

週刊「スタジオ翁」ニュースレター版 vol.97

2025年2月21日発行

Blog: https://studio-okina.com/