週刊「スタジオ翁」ニュースレター vol.91

このニュースレターは音楽制作からリリースまでを個人で完結させる、次世代の音楽クリエイターに向けて書いています。

プロに限らず、誰もが音楽を作れる時代になり、AIや最新のテクノロジーを活用することで、本来ならエンジニアに任せるような仕事も個人で完結できるようになりました。

あなたがプロを目指している音楽家であれ、これから音楽を仕事にしたいクリエイターであれ、AI等を活用した次世代の音楽制作、時代に合った新しいリリースの方法を模索しているならきっと参考になるはず。

目次

  1. 近況

  2. 作曲とミキシングのアイデア帳

  3. 今週の音楽ニュース

  4. サービス・書籍のご紹介

📝近況

ここでは、最近取り組んでいる音に関すること、仕事のこと、音楽制作のことについて書いていきます。

京都から帰ってきました。

先日訪れた鞍馬山の鞍馬寺はなかなかのパワースポットで、頂上が近づくにつれて頭がクリアになっていく感じがあり、山頂のお寺に入った時も力が抜けていく不思議な感覚がありました。

知らなかったのですが、すぐ近くの貴船神社は日本三大龍穴といって、とんでもないパワースポットだったようです。そうとは知らずお寺に寄ってすぐ下山してしまいました…

来年はそちらにも訪れたいですね。

でも、鞍馬山自体もパワースポットなので、山の中腹くらいで、先週お話しした、「パワースポットでは低域がどれくらい出ているか」調査をしました。

調べたのは20〜100hzくらいの低域で、鞍馬山だけでなく京都、大阪、地元の山、東京といろんなところで低音専用スペクトラムアナライザーを使って調査してみました。

どこでアナライザーを使ってみても似たような波形の動きをしていたのですが、鞍馬山は明らかに異なる動きを示しました。知り合いの先生によるとパワースポットは低音がすごく出ているとのことでしたが、確かにとても静かな山の中腹だったにもかかわらず、低音の量感が全体的に多めでしたね。

あと面白かったのは、その低音が大きくなったり小さくなったりを繰り返していたところ。もちろん人の耳にはほとんど聞こえない帯域での変化なので、その場にいるととても静かに感じるのですが、波形は大きく揺れ動いていました。

もしかして山だとこんな感じで超低域の波形が激しく動くのかなと思って地元の山の上でもアナライザーを使ってみたのですが、そちらはまったく波形が変化せず、低音自体も少なめでした。おもしろいですね。

あと、東京と京都でどのくらい街や電車での音の大きさが違うのかなと思ったのですが、これはアナライザーを使うまでもなく、東京の地下鉄の音、アナウンスの音はかなりうるさいと改めて感じました。低音の感じはアナライザーで見る限り、東京も京都もあまり変わりありませんが、東京の地下鉄はうるさすぎます。

これは自殺もしたくなるよなーと思ってしまうほどうるさいので、僕はいつも耳栓を持ち歩いています。

街の音の大きさって大切です。

低音の話に戻ると、低音はどの都市であっても大きな違いはありませんが、パワースポットと呼ばれる場所では割とわかりやすく低音が出ていて、波形自体も不思議な動きをしていることがわかりました。今回パワースポットを1カ所訪れただけなので、他の場所ではどうなるか分かりませんが、また旅行に行くタイミングなどで様々な場所の低音を測定してみたいと思います。

それにしても東京の街の音は本当に大きいですね。聞こえる音、聞こえない音も含めて静音性を高める対策を街のいろんな場所で行えば、もっとストレスが少なく住みやすい街になるのになと思いました。でも音って目に見えないものだから、この重要性に気づく人も少ないんでしょうね。みんな知らず知らずのうちにストレスが溜まっていくんだと思います。

デパート近くのネズミ除けのモスキート音なんかも、僕は19,000Hzくらいまで聞こえるのですが、とにかく不快な音です。もし都市部に住んでいる方がいたら、不用意にこういった場所に近づかないようにしたり、アナウンスの大きな駅を利用する回数を減らすなどして、気をつけたほうがいいなと思います。知らず知らずのうちに、身体にストレスが溜まっていきますからね。

📘作曲とミキシングのアイデア帳

作曲やミキシングが上達する動画・記事・アイデア・最新のAIプラグインやAI作曲ツールをご紹介します。

GeminiのAIが曲のフィードバックに対応したそうなので、早速試してみました!

プロンプトは、この記事に書かれているものをそのまま使用します。

Please give a comprehensive review of the song. Rate all aspects of the song on a scale of 1 to 100 with an accuracy of 1 and give a total score. Be very detailed in your explanations. In your ratings, compare the song to any professional hits you are familiar with. So a score of 100 means it’s the best piece of music you’ve ever heard, and a zero is the line between amateur and professional. A theoretically negative score would be given by an amateur band. Write from the perspective of an extremely experienced music producer, like Rick Rubin.

曲の総合的なレビューをお願いします。曲のすべての側面を1点から100点の間で評価し、1点満点で合計点をつけてください。説明は非常に詳しくしてください。評価の際には、あなたがよく知っているプロのヒット曲と比較してください。つまり、100点はあなたが今まで聴いた中で最高の音楽であることを意味し、0点はアマチュアとプロの境界線であることを意味します。理論上、マイナスの点数はアマチュアバンドがつけることになる。リック・ルービンのような極めて経験豊富な音楽プロデューサーの視点で書いてみよう。

フィードバックをもらう曲は、以前作った映画のテーマ曲で、ラテン系のサウンドです。

以下が、Geminiからのアドバイスです。

さて、うまくいくでしょうか。

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さて、この曲に飛び込もう。この曲は前作とは異なるもので、よりコマーシャル・ポップの領域に近く、独特のトロピカル・ハウスの雰囲気を持っている。爽やかで夏らしい雰囲気があり、うまくいきそうな曲だが、いくつか注意が必要な部分がある。

リック・ルービンのコメント

メロディ(78/100): メロディーはシンプルだが効果的だ。キャッチーで流れが良く、カイゴの初期の作品やロビン・シュルツを彷彿とさせる。特に革新的ではないが、心地よく頭に残る。もう少しダイナミックな輪郭があるといいのだが......かなり狭い音域にとどまっており、ある場所ではもう少し持ち上げられるかもしれない。Siaのような作家のトップラインのメロディーは、意外な飛躍や感情的な転換を特徴とすることが多いが、それに比べるとこれは少し予測しやすい。

ハーモニー(70/100): ハーモニーはこのジャンルとしてはかなり標準的。主にメジャーキーとダイアトニックコードにこだわり、予測可能なコード進行を使用している。心地よく晴れやかなサウンドスケープを作り出しているが、和声的な驚きはあまりない。アヴィーチーのような、ポップな感覚を保ちながら複雑なコード・チェンジを織り交ぜる達人のようなハーモニーの洗練さには欠けている。

アレンジメント(65/100): アレンジはまずまずだが、もう少し深みが欲しい。トロピカル・ハウスのビート、エアリーなシンセ、弾き語りのメロディーなど、核となる要素は揃っている。しかし、しばらくすると少し繰り返しに感じる。インストゥルメントにバリエーションを持たせるか、異なるフィーリングを持つブリッジ・セクションを加えることで、リスナーを飽きさせないことができるだろう。カルヴィン・ハリスのプロダクションは、重ねた楽器パートやダイナミックなブレイクダウンをフィーチャーすることが多いが、それと比べると、この曲は少しシンプルで質感が低いと感じる。

リズム(85/100): リズムはこの曲の最も得意とするところだ。このグルーヴは感染力があり、思わず動きたくなる。古典的な4つ打ちのビートにパーカッシブな要素が加わり、味わいと質感が増している。このリズムは、トロピカル・ハウスの現在のトレンドに非常にマッチしており、主要なストリーミング・プレイリストに簡単に入れることができるだろう。このジャンルの多くのトップ・ヒット曲と同様に、リズム的に説得力がある。

プロダクション(72/100): プロダクションの質は全体的に良い。サウンドはクリーンで洗練されており、ミックスも全体的にバランスが取れている。しかし、トップクラスのポップ・プロダクションで聴かれるようなローエンドのパンチが足りない。また、マスターはもう少しダイナミックレンジがあった方が良い。デヴィッド・ゲッタのトラックの原始的でパワフルなプロダクションと比べると、少しインパクトに欠ける。

総合得点:74/100

この曲は間違いなくプロフェッショナルな側面を持っている。特に手を加えれば商業的に成功する可能性を秘めている。私がお勧めするのは以下の通りだ:

メロディーのバリエーションを増やす: 主旋律に微妙な変化を加えたり、対旋律を加えたりして、より興味を持たせる。

ハーモニーのニュアンスを探る: トロピカル・ハウスの枠組みの中にも、ハーモニーの創造性を高める余地がある。予想外のコード・チェンジを加えたり、さまざまなヴォイシングを試してみましょう。

アレンジを強化する: 楽器のレイヤーを増やし、明確なセクションでよりダイナミックな構成を作りましょう。うまく配置されたブレイクダウンやブリッジが大きな違いを生むかもしれません。

プロダクションを微調整する: ローエンドを上げ、ダイナミックレンジを広げることに注力して、トラックにパワーとインパクトを与えよう。

この曲は骨太だ。集中的に磨きをかければ、真のコンテンダーになれるだろう。

いかがでしょう?

ロビンシュルツやカイゴという名前を聞いて、わかる人はわかると思いますが、これは完全にトロピカルハウスのジャンルとして認識されていますね。(そういえば昔、トロピカルハウスのレビューブログをやっていたことを思い出しました)

でも、ラテンのホーンやパーカッションがメインなので、トロピカルハウスではありません!前提が間違っています。

レビューに関しても、そつないアドバイスばかりで、あまり確信をついたものではありませんね。あってるようなあってないような・・・まるで占い師と話しているような感覚です。

もしかすると、もっとジャンルがわかりやすい曲の方がいいのかもしれません。

では、プロの曲を入れてみるとどうなるのか?

藤井風の「きらり」をGemini先生に評価してもらうことにしましょう。

よし、聴いてみよう...。うーん、面白い。これはJ-POPのような感じで、夢のような、幽玄な雰囲気の下にドライブ感のあるビートがある。ポテンシャルはあるが、もう少しシェイプアップが必要だ。

リック・ルービンのコメント

メロディ(72/100): メロディーはかわいらしく、切なさを感じさせる。少しドリーミーな宇多田ヒカルの曲を思い出させるが、彼女の最高傑作のような印象的なフックやダイナミックなレンジには欠けている。少し蛇行しており、もっと強い方向性があったほうがいい。サビのメロディーは少し強めだが、まだもう少しパンチが欲しい。PerfumeのようなヒットJ-POPグループのメロディーは、キャッチーで繰り返しの多いフレーズや、意外性のあるメロディーのひねりが特徴的だが、それと比べると、この曲は少し物足りなさを感じる。

ハーモニー(68/100): ハーモニーは全体的に心地よく、夢のような雰囲気を醸し出している。メジャーコードとマイナーコードが混在し、ほろ苦い雰囲気を醸し出している。しかし、コード進行は少し予測可能で、ハーモニーの驚きや緊張感をあまり感じさせない。エレクトロニックとアコースティックの要素をユニークな方法で融合させることの多い、コーネリアスのような実験的なJ-POPアーティストと比べると、ハーモニーの面白みに欠ける。

アレンジ(65/100): アレンジはまあまあだが、もっとダイナミックでもいい。ドライヴするビート、幽玄なシンセ、重なり合うボーカルなど、核となる要素は揃っている。しかし、全体を通して少し静的な感じがする。楽器編成にバリエーションを持たせるか、異なるフィーリングを持つブリッジ・セクションを加えることで、聴き手を飽きさせないことができるだろう。中田ヤスタカのような濃密でダイナミックなアレンジに比べると、やや薄っぺらく感じる。

リズム(75/100): リズムはソリッドで、トラックの良い土台となっている。ビートはドライヴ感があり、ドリーミーな雰囲気によく合う催眠術のような質を持っている。特に複雑なリズムというわけではないが、この曲によく合っている。リズムの複雑さでは、J-POPのメインストリームに匹敵する。

プロダクション(60/100): プロダクションの質はまずまずだが、改善の余地はある。ミックスは全体的にバランスが取れているが、明瞭さとパンチが足りない。ヴォーカルはミックスの中でもっと存在感があってもいいし、全体的なサウンドはもっと温かみと深みがあった方がいい。メジャーなJ-POPのリリースで聴けるような、原始的で洗練されたプロダクションと比べると、この作品は少し洗練されていないように感じる。完成品というより、デモのようだ。

総合得点:68/100

このトラックは間違いなくプロフェッショナルな側面を持っているが、そのポテンシャルをフルに発揮するにはもう少し工夫が必要だ。いい雰囲気はあるが、真のヒット曲の集中力と洗練さに欠けている。私が薦めるのは以下の点だ:

メロディーの強化: メロディックなフレーズをもっと印象的にし、コーラスをもっと盛り上げる。

ハーモニックに深みを加える: より興味深いコード進行を探求し、ハーモニーの緊張と解放を導入する。

よりダイナミックなアレンジにする: 楽器のバリエーションを増やし、ブリッジ・セクションを導入し、明確なセクションでよりダイナミックな構成を作りましょう。

プロダクションを磨く: ミックスの明瞭さとパンチを高めることに集中する。ボーカルを前に出し、サウンド全体に暖かみと深みを加える。

この曲には良い土台がある。集中して細部に注意を払えば、特別なものになるかもしれない。真に輝くためには、もう少し時間と注意が必要だ。

うーん、手厳しいですね。

総合得点68点は低すぎる気もしますが・・・

この曲は、結構単調な構成ですし、音も打ち込みっぽい軽めの音なので、確かにGeminiの言っていることは的を得ている気もしますが…

「リックルービンのように」と指示したことで、厳しめの評価になっているのかもしれません。

何曲か試してみましたが、正確性はまだまだ低いと思います。プロンプトの工夫次第で精度がグッと上がる可能性もありますけどね。

今のところ、使い道が今ひとつわかりませんが、もっと詳細にレビューしてくれるようになれば、曲作りの参考にもできるようになるかもしれません。

基本的に無料で試せるので、気になる方は、ぜひ自分の楽曲などで試してみてはいかがでしょうか。

📰 今週の音楽ニュース

毎週、世界中から厳選した音楽ニュースをお届けします。

🎧サービス・書籍のご紹介

<著書>

作曲AIに関する書籍を出版しました。

アイデアの出し方から作曲、アートワーク制作に至るまで、音楽制作からリリースまでの一連の流れにAIをフル活用する方法を解説しています。Kindle Unlimitedで読めるので、気になった方はチェックしてみてくださいね。

<Suno AI、Udio用プロンプト生成ツール>

ChatGPTで使える、プロンプト生成ツールを作りました。

使い方は簡単。自分の好きなアーティスト名を入力するだけで、そのアーティストの特徴を出力してくれます。それを、Suno AIやUdioなどのプロンプトとして入力することで、そのアーティストのテイストに近い音楽を、AI作曲ツールが生成してくれます。

プロンプト選びに悩んでいる方は、ぜひ活用してみてください。

週刊「スタジオ翁」ニュースレター版 vol.91

2025年1月10日発行

Blog: https://studio-okina.com/

HP: isseykakuuchi.info