週刊「スタジオ翁」ニュースレター vol.89

このニュースレターは音楽制作からリリースまでを個人で完結させる、次世代の音楽クリエイターに向けて書いています。

プロに限らず、誰もが音楽を作れる時代になり、AIや最新のテクノロジーを活用することで、本来ならエンジニアに任せるような仕事も個人で完結できるようになりました。

あなたがプロを目指している音楽家であれ、これから音楽を仕事にしたいクリエイターであれ、AI等を活用した次世代の音楽制作、時代に合った新しいリリースの方法を模索しているならきっと参考になるはず。

目次

  1. 近況

  2. 作曲とミキシングのアイデア帳

  3. 今週の音楽ニュース

  4. サービス・書籍のご紹介

📝近況

ここでは、最近取り組んでいる音に関すること、仕事のこと、音楽制作のことについて書いていきます。

最近もっぱらAIを使って音楽を作っていますが、やはり完全にAIまかせだとサウンドが粗くになってしまって良くないですね。

ちょっと面倒な方法ですが、最近はAIに音楽やステムを作ってもらったあと、それをタイムライン上で構築し、音が良くない一部のステムをシンセで真似て手作業で作り直すといった方法で作曲しています。

自分のやることは、

  • AIが吐き出したステムを使って展開をつける

  • 音が悪いところをシンセサイザーで真似て作り直す

だけなので、アイデアなんてなくても音楽をずっと作り続けられます。

問題は、これをやっていてアーティスト自身が楽しいかどうかですね。AIが吐き出すサウンドは、プロンプトである程度コントロールできるものの、完全に自分の理想の音にはならないので、僕もこの手法を使うのは商業音楽を作るときだけにしてます。

アーティストとして音楽を作るなら、やはり一音ごとにこだわった音楽に仕上げたいですからね。

クオリティ面ではまだまだですが、徐々に実用的になりつつある作曲AI。

来年、再来年あたりに、アーティストも徐々にAIを使いこなすようになってくるのではないでしょうか。

📘作曲とミキシングのアイデア帳

作曲やミキシングが上達する動画・記事・アイデア・最新のAIプラグインやAI作曲ツールをご紹介します。

FINNEASのクリエイティブなサウンドデザイン手法

ビリーアイリッシュの兄FINNEASが、こんなにサウンドデザインにこだわっているなんて知りませんでした。

この動画では、ビリーアイリッシュの曲がどのように作られているのか、その秘密が語られています。

確かにこの二人の曲って、ちょっと変な音が入っていたり、大胆に低音を歪ませていたりと独特なんですよね。これは兄でありプロデューサーでもあるFINNEASの実験的な姿勢によって実現しているようです。

例えば、動画で紹介されているのは以下のようなテクニックです。

  1. マッチを擦る音をスネアドラムとして使用する

  2. 4万人の観客のノイズが入ったギター音をiPhoneで録音して楽曲に使用する

  3. フルート音をサンプリングして不自然なアルペジオを作成

  4. 飛行機の客室乗務員呼び出しボタンの音をピッチシフトして楽曲のコード進行に合わせる

  5. 野外で録音したカエルとコオロギの音を楽曲の終盤に重ねる

僕は、手軽で音が良いことから、SpliceやLoopCloudのサンプルを使って作曲することが多いのですが、やはり自分で録音すると一聴して「おっ」と思わせる楽曲が作れますよね。

僕の好きなスローテンポの民族系ダンスアーティストも、自分で録音した音を重ねてオーガニックなリズムや雰囲気を出していることが多いです。DTMって基本的に音がグリッドに沿っているので単調に聞こえがちなんですが、彼のように録音した音を取り入れると勇気的なサウンドになります。こういった実験的な姿勢をポップスに取り入れているところも、彼らの人気の秘訣なんでしょうね。

僕も彼らを見習って、次の曲ではふんだんに生音を入れてみようと思います。

📰 今週の音楽ニュース

毎週、世界中から厳選した音楽ニュースをお届けします。

🎧サービス・書籍のご紹介

<DJミキサー発売のお知らせ>

理想のDJミキサーをつくりました。

他に類を見ないバッテリー駆動、2chノブのみという大胆な設計と、業界トップクラスの低ノイズ性能を誇る「Surrender 8124」。クラブを貸し切って聴き比べしましたが、業界標準のDJミキサーPioneer DJMシリーズを音質で上回り、音が良いことで有名なModel1すら超えてくる透明度と音の広がりがありました。

受注生産です。ご興味ある方はご連絡ください。

<著書>

作曲AIに関する書籍を出版しました。

アイデアの出し方から作曲、アートワーク制作に至るまで、音楽制作からリリースまでの一連の流れにAIをフル活用する方法を解説しています。Kindle Unlimitedで読めるので、気になった方はチェックしてみてくださいね。

<Suno AI、Udio用プロンプト生成ツール>

ChatGPTで使える、プロンプト生成ツールを作りました。

使い方は簡単。自分の好きなアーティスト名を入力するだけで、そのアーティストの特徴を出力してくれます。それを、Suno AIやUdioなどのプロンプトとして入力することで、そのアーティストのテイストに近い音楽を、AI作曲ツールが生成してくれます。

プロンプト選びに悩んでいる方は、ぜひ活用してみてください。

週刊「スタジオ翁」ニュースレター版 vol.89

2024年12月20日発行

Blog: https://studio-okina.com/

HP: isseykakuuchi.info