週刊「スタジオ翁」ニュースレター vol.87

このニュースレターは音楽制作からリリースまでを個人で完結させる、次世代の音楽クリエイターに向けて書いています。

プロに限らず、誰もが音楽を作れる時代になり、AIや最新のテクノロジーを活用することで、本来ならエンジニアに任せるような仕事も個人で完結できるようになりました。

あなたがプロを目指している音楽家であれ、これから音楽を仕事にしたいクリエイターであれ、AI等を活用した次世代の音楽制作、時代に合った新しいリリースの方法を模索しているならきっと参考になるはず。

目次

  1. サービス・書籍のご紹介

  2. 近況

  3. 作曲とミキシングのアイデア帳

  4. 今週の音楽ニュース

🎧サービス・書籍のご紹介

<DJミキサー発売のお知らせ>

理想のDJミキサーをつくりました。

他に類を見ないバッテリー駆動、2chノブのみという大胆な設計と、業界トップクラスの低ノイズ性能を誇る「Surrender 8124」。クラブを貸し切って聴き比べしましたが、業界標準のDJミキサーPioneer DJMシリーズを音質で上回り、音が良いことで有名なModel1すら超えてくる透明度と音の広がりがありました。

受注生産です。ご興味ある方はご連絡ください。

<著書>

作曲AIに関する書籍を出版しました。

アイデアの出し方から作曲、アートワーク制作に至るまで、音楽制作からリリースまでの一連の流れにAIをフル活用する方法を解説しています。Kindle Unlimitedで読めるので、気になった方はチェックしてみてくださいね。

<Suno AI、Udio用プロンプト生成ツール>

ChatGPTで使える、プロンプト生成ツールを作りました。

使い方は簡単。自分の好きなアーティスト名を入力するだけで、そのアーティストの特徴を出力してくれます。それを、Suno AIやUdioなどのプロンプトとして入力することで、そのアーティストのテイストに近い音楽を、AI作曲ツールが生成してくれます。

プロンプト選びに悩んでいる方は、ぜひ活用してみてください。

📝近況

ここでは、最近取り組んでいる音に関すること、仕事のこと、音楽制作のことについて書いていきます。

以前に楽曲提供させていただいた、脳波を変容するミュージックアプリ「VIE Tunes」のアプリを使って、自分の曲を聴きながら脳を活性化させるのが、ここ最近の日課となっています。

特にガンマ波は深い瞑想時に現れる脳波で、瞑想に集中しきれない時や、瞑想ではおさまらないほど心の雑念が多い時に、ガンマ波音楽を併用した瞑想を行っています。

この脳波音楽にはかなり可能性を感じているので、自分用にいくつか音楽を使って、リリースも行いたいと考えています。

さて、2024年ももうすぐ終わりですが、Appleが2024 年のApp Store アワード受賞者 17 名を発表、音楽 AI アプリ「Moises」が iPad アプリ・オブ・ザ・イヤーの称号を獲得しました。

最近は、様々な音声分離ツールが登場していますが、1番手軽なのはLogic Pro内蔵の音声分離ツール、分離性能の良いツールだとLALAL.AI、Moises、Rip Xなどが挙げられます。

Moisesはサブスク料金が少々高いですが、その手軽さと性能の良さに加え、分離できる楽器の多さや、テンポを検知して整えてくれる機能が素晴らしく、使い勝手がとても良いです。

「AI×音声分離ツール」の相性がとても良いので、AIで音楽制作する際にはこれらのツールは欠かせません。僕は、手軽さと性能の良さから、RipX DAWを使うことが多いですが、Logic Proを持っている方はそちらでも十分だと思います。

Suno AIもV4になってますます性能が上がり、来年も楽曲制作AIから目が離せません。今のところ、AIを活用した音楽制作は色々と模索中ですが、メソッドがまとまってくれば、どこかで記事にもまとめたいですね。

著書「AI時代の作曲術」でいろんなAIの活用方法を紹介していますが、おそらくここ数年で多くのアーティストが使う作曲AIは、Suno AIのようにアイデアを拡張する系のAIになってくるでしょう。

📘作曲とミキシングのアイデア帳

作曲やミキシングが上達する動画・記事・アイデア・最新のAIプラグインやAI作曲ツールをご紹介します。

In The MixのMichael Wynneが10年間ミキシングに携わって得た知識が、10分の動画にまとめられています。

「確かにその通り!」といった内容ばかりだったので、ここでいくつか抜粋してご紹介していきます。興味ある方は、YouTubeでフル動画をご覧になってみてください。

  1. 楽曲アレンジの重要性

素晴らしい楽曲を作るためには、ミキシングやマスタリングの技術も重要ですが、それ以上に楽曲アレンジが重要です

  • 多くの楽器や音が互いに競合しないように、それぞれの楽器の役割と配置を明確にする必要があります。

  • 音の隙間を上手く利用することで、楽曲にグルーヴ感と一体感が生まれます。

  1. サンプルの位相チェック

特に低音域でサンプルを重ねる場合、位相のチェックは非常に重要です。

  • 位相がずれていると、音が打ち消し合ってしまい、いくらEQやコンプレッションで調整しても迫力が出ません。

  • DAWソフトで波形を拡大表示し、重ねるサンプルの位相が揃っているかを確認しましょう。

  1. ラウドネス戦争は終わった?

近年、ストリーミングサービスの音量規制が話題になっていますが、実際には多くのプロのエンジニアは音圧を最大限に上げています。

  • SpotifyやApple Musicの基準に従うよりも、楽曲のジャンルに合わせた最適な音圧を選択することが重要です。

  • マスタリングエンジニアに依頼することで、様々な音圧レベルを試聴し、最適なものを選ぶことができます。

  1. ソロで聴きすぎない

ミキシングの際は、特定のトラックをソロで聴きすぎないように注意しましょう。

  • ソロで聴くと音が良く聞こえても、他のトラックと組み合わせると馴染まないことがあります。

  • 他のトラックとのバランスを常に意識しながらミキシングすることが重要です。

  1. 機材の限界を理解する

「機材よりも耳が重要」という言葉がありますが、適切な機材も必要です。

  • 質の悪いスピーカーや音響処理のされていない環境では、正確なミキシングはできません。

  • 自分の機材の限界を理解し、必要であればアップグレードを検討しましょう。

特に納得したのは、5の「機材の限界を理解する」です。

最近は安価なスピーカーやオーディオインターフェースがいくつも登場していますが、やはり本格的なミキシングやマスタリングにはそれなりの機材が必要ですし、いくらソフトシンセが発達していても、アナログシンセにしか出せないサウンドはあります。

でも作曲だけ自分で行なって、マスタリングは他の人にまかせるならそれはそれでOK。Yoasobiなんかも、初めは自分たちでラップトップ1台で制作していたようですが、今ではエンジニアが細かいミックスをしているみたいですね。

自分でできる領域を把握して、任せるところは任せる、自分でやるなら機材のアップデートを考えることも大切です。

📰 今週の音楽ニュース

毎週、世界中から厳選した音楽ニュースをお届けします。

週刊「スタジオ翁」ニュースレター版 vol.87

2024年12月13日発行

Blog: https://studio-okina.com/

HP: isseykakuuchi.info