週刊「スタジオ翁」ニュースレター vol.75

このニュースレターは音楽制作からリリースまでを個人で完結させる、次世代の音楽クリエイターに向けて書いています。

プロに限らず、誰もが音楽を作れる時代になり、AIを活用することで本来ならエンジニアに任せるような仕事も、個人で完結できるようになりました。

あなたがプロを目指している音楽家であれ、これから音楽を仕事にしたいクリエイターであれ、AI等を活用した次世代の音楽制作、時代に合った新しいリリースの方法を模索しているならきっと参考になるはず。

目次

  1. 近況

  2. AI時代の作曲術

  3. 作曲とミキシングのアイデア帳

  4. 今週の音楽ニュース

  5. Q&A

  6. ブログ更新のお知らせ

  7. 著書のご紹介

📝近況

ここでは、最近取り組んでいる音に関すること、仕事のこと、音楽制作のことについて書いていきます。

恥ずかしながら、これまで藤井風の音楽をちゃんと聞いたことがなかったのですが、めちゃめちゃかっこいいですね。

このビジュアルで歌が上手くてピアノも弾けて、作曲のセンスも抜群で、さらにダンスもできるなんて熱狂的なファンがつくのも納得です。先々週あたりにマツコのテレビ番組でDTMが特集されていたとお話ししましたが、日本だけでなく、海外でもバンドサウンドより電子音楽の方がチャートインしている楽曲が多い印象。この藤井風さんの「きらり」という曲も、電子音楽を作っている人にはおなじみのキック、スネア、ハイハットが使われていますね。

最近はあまり複雑に音を重ねたり加工したりせず、シンプルなドラムマシンのサウンドをそのまま使っている曲が多い印象です。YOASOBIの曲で使われているドラムなんかも、DAWに入っている音色をそのまま使っている感じですよね。

テクノやハウスだとハイハット1つとっても、幾つも音を重ねて複雑なサウンドメイキングをしているイメージがありますが、J-POPは歌詞があるので、ドラムマシンの音にそこまで拘らなくても曲として成立するのでしょう。

しばらくJ-POPは聴いていなかったのですが、最近のJ-POPのサウンドが気になってきたので、色々聴いてみようかと思います。

🤖AI時代の作曲術

最新のAIプラグインやAI作曲ツールの紹介。

サウンドの種を育てることで音をエディットする機能、DNAのらせんを模したエディターでエンベロープを操作するという、変わった音作りで定評のあるSynplant 2。

前作から15年ほど経っていますが、今作は新たにAI機能が搭載されています。

AI機能を使うと、元のサウンドを解析し、それに似たサウンドを再構築することができます。こちらの動画観てもわかるように、サウンドによってはかなり原音に近い音を作ることができます。

僕が音楽制作を始めたのは、Synplantが出て4,5年ほど経った時期でしたが、その時多くのプロデューサーがSynplantを使って音作りをしていたことを思い出しました。Equipboardという、アーティストがどんなソフトを使って音作りをしているかがわかるサイトでも、Synplantと打てば多くのアーティストが出てきます。

流行の楽曲には、人気のシンセサイザーのプリセットが使われていることも多いですが、シンセのプリセットに飽き飽きしてきたという方や、自分だけのオリジナルサウンドを使って楽曲を作りたいといった方はぜひSynplantを試してみてはいかがでしょうか。

📘作曲とミキシングのアイデア帳

作曲やミキシングが上達するための、動画・記事・アイデアをご紹介します。

DAWの純正リバーブを使い飽きてしまった方のために、モダン〜ヴィンテージのリバーブサウンドを得るための最適なプラグインが紹介されています。

今回は、5つのプラグインが紹介されていますが、この中で個人的におすすめしたいのは「Valhalla VintageVerb」と「Eventide Blackhole」です。

Valhalla VintageVerbは22種類のリバーブモードを搭載しており、70年代、80年代、モダンサウンドの3つのキャラクターを選択できる万能リバーブです。50ドルという価格は他のサードパーティープラグインと比較してもお買い得で、初心者から上級者まで幅広い層に人気があります。Valhalla VintageVerbは、立ち上げたプリセットをそのまま使用しても素晴らしい音が得られると評判で、僕もディケイだけを調整して使うことが多いですね。

Blackholeは、その名の通り、深く広大な余韻が特徴のリバーブ。ボーカルに深いリバーブをかけて存在感を出したいときや、アンビエントサウンドを作る際、シンセサイザーに使用することが多いです。

さらに、プレートリバーブの質感が好きな方には、この記事で紹介されている「Soundtoys SuperPlate」がおすすめです。僕は普段、Altiverbのプレートエミュレーションを使用しているため、SuperPlateはあまり使っていませんが、プレートリバーブを購入するならUADかSuperPlateが良いと思います。

この記事には載っていませんが、Altiverbはプロの現場から音楽制作まで幅広い場面で使用でき、ヴィンテージ機材のエミュレーションも豊富に含まれているため、一つ持っておくと様々な空間の調整が可能でこちらも非常におすすめ。

あと、最近僕が最も使用しているのが「Cinematic Rooms」です。これを生楽器に使うと、非常に艶やかな音になるため、とてもおすすめです。もちろん、シンセサイザーに使用しても素晴らしい効果を発揮します。 とりあえずDAW付属のリバーブを卒業したい方には、まずValhalla VintageVerbを試してみることをおすすめします。その後、自分の必要とするリバーブが明確になったら、Blackhole、Superplate、Cinematic Roomsなど、用途に応じたプラグインの購入を検討してみると良いでしょう。

参考記事:

📰 今週の音楽ニュース

  1. 法制度はAIについていけるか? 音楽出版社の人間性著作権訴訟、2026年裁判に仮決定

  2. UMG、WMG、ソニー・ミュージック、音楽パブリッシャーのAI著作権争奪戦vs.Anthropicについて意見を述べる

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  4. SoundCloudの新しいストアは、マーチャンダイズ販売利益の100%をアーティストに支払う

  5. ホートンは英国最高のアンダーグラウンド・ダンス・フェスティバル?

🙋‍♂️Q&A

音楽機材のこと、制作のこと、ミキシングのこと、クラブのこと、何でもお気軽にご質問くださいませ。翌週以降のニュースレターでお答えいたします。
マシュマロにて、お気軽にどうぞ。

🖊️ブログ更新のお知らせ

📚著書のご紹介

ここ数年、音楽業界にもAIが着実に浸透しつつあります。

より効率的でクリエイティブな作曲方法を模索している方や、アートワークやミュージックビデオを自ら制作したい方に向けて、制作からプロモーションまでをアーティストが一人でこなすための、AI時代の新たな指南書を書きました。

AIを活用した最新の音楽サービスを、制作手順に沿ってわかりやすく解説しています。

週刊「スタジオ翁」ニュースレター版 vol.75

2024年8月23日発行

Blog: https://studio-okina.com/

HP: isseykakuuchi.info