週刊「スタジオ翁」ニュースレター vol.62

このニュースレターは音楽制作からリリースまでを個人で完結させる、次世代の音楽クリエイターに向けて書いています。

プロに限らず、誰もが音楽を作れる時代になり、AIを活用することで本来ならエンジニアに任せるような仕事も、個人で完結できるようになりました。

あなたがプロを目指している音楽家であれ、これから音楽を仕事にしたいクリエイターであれ、AI等を活用した次世代の音楽制作、時代に合った新しいリリースの方法を模索しているならきっと参考になるはず。

目次

  1. 近況

  2. 今週の音楽ニュース

  3. AI時代の作曲術

  4. 作曲とミキシングのアイデア帳

  5. Q&A

  6. Okina’s Picks

📝近況

ここでは、最近取り組んでいる音に関すること、仕事のこと、音楽制作のことについて書いていきます。

昨年末から書いていたAI作曲に関する本を、ようやくリリースすることができました。

初めての本の出版ということもあり、結構時間がかかってしまいました。書いている間にも、次々に新しいAI作曲ツールが登場するのでキャッチアップに必死でしたね。

最新のAI作曲ツールの情報をふんだんに盛り込んだのでぜひチェックしてみて欲しいのですが、AI作曲というと、最近流行っているSunoAIUdioを使った、完全自動の邪道とも言える音楽制作を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし最近では、今までの音楽制作のフローは生かしつつ、AIを活用することで、より便利に、よりクリエイティブに作曲できるようなAIが登場してきています。

既にミキシングやマスタリングでは、プロアマ問わず、多くの方がAIを使ったことがあると思いますが、この流れはどんどん加速していき、今まで音楽制作に縁のなかった人まで音楽を作り始める時代が、まもなくやってくるでしょう。

現に、僕の周りでも映像が専門なのにも関わらず、未経験からAIを使って音楽を作り始めている方もいます。TR-808などの機材が登場したことで新たな音楽が誕生したように、AIツールを使った、新たなジャンルの音楽が生まれる可能性もあります。

そんなワクワクする時代を先取りできる一冊に仕上げました。

これからますます主流になるAIを使った作曲に興味がある方は、ぜひ手に取ってみてください。

📱今週の音楽ニュース

「音楽業界の動向」「最新の音楽ギア」など、音楽制作をする全ての人に役立つ新鮮でホットな情報を、毎週発掘してお届けします。
  1. SoundfulはAbleton Liveへの直接ステムエクスポートを可能にする初のAI音楽プラットフォームとなった。→ついに来ました! Soundfulは、Ableton Liveへ直接ステムエクスポートできる初のAI作曲ツールとなります。 AIで作曲しても、それを編集できないのが、AI作曲が広まらない大きな壁になっていましたが、これを機にUdioやSunoAIも追随するでしょう。これが広まれば、AI作曲が一気に変わります。

  2. アップルの新機能「Music Haptics」は、iPhoneで音楽を「感じる」ことを可能にする→iPhoneやiPadにアイトラッキング機能がつく日も近いかも。最近Vision Proを使ってますが、アイトラッキングの精度がかなり高いので、これがiPhoneやiPadに取り入れられると嬉しいですね。音楽制作もタッチどころか、目線でできる時代になるのでしょうか。

  3. AIで進化する作曲&DTM 〜ソフトやプラグイン、音楽制作の未来|①音楽制作×AIの現在とこれから→サンレコのAI特集。 これから5月末にかけて、計4つの記事でAI作曲が紹介されるそうです。

  4. LALAL.AIボイスチェンジャー→SoundIDに続き、LALALもボイスチェンジャーを出してきました。自分の声をKanye WestやTaylor Swiftなどの著名人の声に変換できます。ベータ期間中は無料で使えます。著作権的に、リリースに使うことは難しそうですね。

  5. 進化したオーディオリペアソフトiZotope RX 11 〜機械学習でより高精度&スピーディに→今や、LALALやDjayなどのAIツールに追い抜かれそうになっているRXですが、今回の出来はどうでしょうか。次のポスプロ作業で使ってみたいと思います。

🤖AI時代の作曲術

最新のAIプラグインやAI作曲ツールの紹介、

ChatGPTのAI要約で、DTMの学びを超高速に

今週発売した「AI時代の作曲術」にも書いていますが、海外のYouTube動画はClaudeというAIで要約したり、要点をまとめてもらうことで理解を深めています。

最近は新しいモデルである「ChatGPT-4o」が出たので、久々にClaudeからChatGPTに乗り換えて、使い込んでいます。ChatGPTにはアプリストアのようなものがあり、いろんな人がChatGPTを使って「GPTs」というものを作り、配布しています。 この中でYouTubeの要約に特化したGPTsがあり、これを使うことで海外のミキシング動画だったり、作曲チュートリアルも高速で学ぶことができます。

ChatGPTを使っている人はぜひ試してみてください。日本語にも対応しています。

まずはこれで動画の概要を理解し、チャプターごとのまとめとリンクまで作ってくれるので、気になるチャプターをザッと観ていきます。

わからないところはさらにChatGPTに聞いてみて、理解を深めましょう。

📘作曲とミキシングのアイデア帳

作曲やミキシングが上達するための、動画・記事・アイデアをご紹介します。

ドラムにかけるリバーブ

ドラムサンプルはSpliceから選ぶことが多いですが、ドライな音には必ずDAWでショートリバーブをかけています。ドラムの各音に薄ーくリバーブをかけることで立体感が生まれ、一つの空間で鳴っているような一体感も生まれます。

僕がほとんどの曲で使っているのは、こちらの2つ。

UADxプラグインなので、特別な機材なしで使うことができておすすめです。

よく聴かないと気がつかないくらい薄くしかかけませんが、こういう積み重ねがミキシングステージでは重要になってきます。このドラムの一体感をコントロールしたいので、サンプルを探すときも、自然とリバーブのかかっていない音を探すことが多いかもしれません。

もちろん他のリバーブでもこの手法は使えますので、手持ちのリバーブでぜひ試してみてください。個人的にはプレートリバーブが好きですが、ルームリバーブでもOKです。

🙋‍♂️Q&A

音楽機材のこと、制作のこと、ミキシングのこと、クラブのこと、何でもお気軽にご質問くださいませ。次週のニュースレターでお答えいたします。
「音楽作ってみたからアドバイス欲しい!」という方も、SoundCloud等のリンクを送っていただければお答えできます。
マシュマロにて、お気軽にどうぞ。

🧠Okina’s Picks

最後に、音楽的想像力をかき立てる、クリエイティブなコンテンツをどうぞ。

🐍Loula Yorke - 偶然見つけた、モジュラーでアンビエントを制作する女性作曲家。この人に刺激されて、久々にモジュラーを買い足してしまいました。

🦕Nebula Instruments - Nebula Euphone - Superboothのレポート記事で見かけた、ヘンテコな楽器。素敵な音がしますね。どういう仕組みなのかとても気になります。

🐙Live Workflow ToolsがSession Cleanerをリリース:究極のAbleton Liveクリーンアップツール - こんな便利ツールがあったのですね。Abletonの空トラックや、使っていないクリップを削除してくれます。

🐟マイクプリアンプで音は変わるのか?オーディオインターフェイス内蔵のマイクプリとAPI 312を比較してみた - マイクプリアンプは本当に音が変わります。オーディオインターフェースによっては、ライン入力でも内蔵マイクプリの色がついてしまうので導入には注意が必要です。

週刊「スタジオ翁」ニュースレター版 vol.62

2024年5月24日発行

Blog: https://studio-okina.com/

HP: isseykakuuchi.info