週刊「スタジオ翁」ニュースレター vol.42

このニュースレターは音楽制作からリリースまでを個人で完結させる、次世代の音楽クリエイターに向けて書いています。

プロに限らず、誰もが音楽を作れる時代になり、AIを活用することで本来ならエンジニアに任せるような仕事も、個人で完結できるようになりました。

あなたがプロを目指している音楽家であれ、これから音楽を仕事にしたいクリエイターであれ、AIを使った次世代の音楽制作、時代に合った新しいリリースの方法を模索しているならきっと参考になるはず。

目次

  1. 近況

  2. 今週の音楽ニュース

  3. 作曲とミキシングのアイデア帳

  4. DIYアーティストのためのマーケティング戦略

  5. Q&A

  6. Okina’s Picks

📝近況

ここでは、最近取り組んでいる音に関すること、仕事のこと、音楽制作のことについて書いていきます。

先週、新しい曲をリリースしたので、SubmitHubを使って2つのプレイリストに応募してみたところ、そのうちの1つ、Zen FM「Sleep Music」というプレイリストに選んでいただきました。

フォロワーは約3,000人、1曲ごとの月毎リスナー数が500 - 800人なので、これからどのくらい聴かれるのか楽しみです。

SubmitHubを使うのは初めてでしたが、キュレーターの公開しているプレイリストを聴き込んで、自分の曲がどのキュレーターの好みにマッチしそうか、ということをしっかり把握することが大切だと感じました。

もう一方のキュレーターからは、承認されなかったものの、2,000字ほどのアドバイスが届きました。

その中には、楽曲に対してキュレーターが好感を持った部分、もう少しこうすれば楽曲が良くなるよというアドバイス、具体的な楽器の使い方のアドバイスなどが書かれていて、自分でも薄々感じていた楽曲の弱い部分を言語化して伝えてくれるのはとても良いなと思いました。

リリースが少なければ、毎回SubmitHubを使ってプレイリストにアプローチするのも良いかと思いますが、大量にリリースするならSubmitHubを使うタイミングを厳選する必要があるかもしれません。

この塩梅は、今後承認率や、実際にプレイリストからどのくらい聴かれるかを参考に考えることになるでしょう。

とりあえず、しばらくは「どんどんリリース、どんどんプレイリストに応募」作戦で攻めてみたいと思います。

📱今週の音楽ニュース

「音楽業界の動向」「最新の音楽ギア」など、音楽制作をする全ての人に役立つ新鮮でホットな情報を、毎週発掘してお届けします。
  1. Beatport Insider 2023: 今年最も売れたトラック、アーティスト、レーベル→Beatportが昨年2022年の年間レポートを発表。去年、Beatportで最も聴かれたアーティストはSkrillex、最も聴かれた曲はFISHER - Take It Offだそうです。ダンスミュージックのトレンドをおさえる上で、かなり役立つレポートなのでマストチェック!

  2. 2023年は英国会場閉鎖の最悪の年、音楽会場トラストが発表→家賃や光熱費などの上昇によって、イギリスでは2023年、123ものベニューが閉鎖を余儀なくされました。チケット販売プラットフォームであるTicketmasterはサイトに寄付機能を追加するなどして、音楽会場を支援しようとしています。

  3. FutureMusic 2023 ギア・オブ・ザ・イヤー・アワード→2023年のギアアワードが発表されています。個人的に気になるのはMeris Mercury X、Black Lion Audio Auteur DT、Torso Electronics S-4あたりですね。

  4. NAMM 2024:MXR Joshua Ambient Echo - クラシックなU2?→60~80年代のアンビエントトーンを、気軽に再現できるペダルが登場。こういうアンビエント系エフェクターはとても惹かれますが、これに関してはモノラルなので、ステレオシンセで使うことができないのが少し残念です。ギターやモノシンセからアンビエントサウンドを作りたい方は要チェックです。

  5. 2023年のBest Eurorack:グラニュラー、ミキシング、サスティーン、モーフィングなど→この中で気になるのは、Blukac Endless Processorというドローンサウンド生成モジュールですね。発売時は、ただ音を引き延ばすだけのツールかと思っていたのですが、チャンネルごとに5つのレイヤーを重ねることができ、ハーモニー、テクスチャ、またはドローンを生み出すことができる、とてもユニークなモジュールだということがわかり、興味が再燃しています。

📘作曲とミキシングのアイデア帳

作曲やミキシングが上達するための、動画・記事・アイデアをご紹介します。

数年前、Jimi Julesの「Moon」という曲を初めて聴いた時、カッコ良すぎて一瞬で彼のファンになりました。

この独特な雰囲気や、サンプルを重ねただけではなさそうな、独創的なサウンドはどうやって作られているのだろうと、彼のインタビューを観まくっていた時期があります。

こちらのインタビュー動画から彼の制作の様子が観れますが、動画からわかるようにJimi Julesはサンプルを録音し、実験的に繋ぎ合わせたり加工したりすることで独特なサウンドを作り出しています。

SpliceやLoopcloudを使い、サンプルを組み合わせて曲を作る方法も良いのですが、どうしても「サンプルを重ねて作った感」が出てしまうんですよね。

サンプルを組み合わせる方法に加えて、Jimi julesの実験的なアプローチも組み合わせて使うと音作りの幅が広がるので、Splice的な音楽から脱却したい人は、彼の方法を試してみる価値があると思います。

ちなみに、このインタビュー動画だとあまり詳しく解説されていないので、気になった方は343 Labsにある、彼のチュートリアル動画を購入するのがおすすめです。

📊DIYアーティストのためのマーケティング戦略

音楽で稼ぐにはどうすればいいのか?どのようにリリースするのが効果的なのか?DIY(インディペンデント)アーティストが、より多くの人に自分の音楽を聞いてもらう方法を探っていきます。

Artist Pick

Spotifyのアーティストページに、最新のアルバムやおすすめのリリースなどの情報を載せられることをご存知でしょうか。

僕はArtist Pickに「最新のリリース」を載せてみました(ohme)が、イープラスと連携すれば「ツアースケジュール」を載せることもできますし、大量のリリースの中でおすすめの曲をいくつかピックアップして「プレイリスト」として公開しているアーティストもいます。

こちらの記事がとても参考になったので、Artist Pickの活用法が気になる方はぜひ見てみてください。

Artist Pickは、Spotify for Artistから簡単に設定できるので、ぜひ活用していきましょう。

🙋‍♂️Q&A

音楽機材のこと、制作のこと、ミキシングのこと、クラブのこと、何でもお気軽にご質問くださいませ。次週のニュースレターでお答えいたします。
「音楽作ってみたからアドバイス欲しい!」という方も、SoundCloud等のリンクを送っていただければお答えできます。
マシュマロにて、お気軽にどうぞ。

Q1.

毎週のメルマガありがとうございます。 質問なのですが、スタジオ翁様は世界の音楽の動向をどんな方法で追っているのでしょうか。 何か媒体やおすすめのものがあればご教示お願いしたいです。 よろしくお願い致します。

A1.

海外の音楽ニュース媒体は限られているので、MusicTechなどいくつかのニュースサイトをRSSリーダーに登録し、時間を見つけてはチェックしています。

あとは、YouTubeに流れてくるおすすめも参考にしますし、気になった情報を調べていくと関連で気になる情報がたくさん出てくるので、それを深掘りしたりもします。

音楽情報に限らずですが、アメリカのGoogleから英語で調べると、日本語よりも圧倒的に豊富な情報が見つかるのでおすすめですよ。(英語を読むのは面倒なので、ほとんどDeepLで翻訳しながら読んでいます)

🧠Okina’s Picks

最後に、音楽的想像力をかき立てる、クリエイティブなコンテンツをどうぞ。

🎵DJ Mix: Downtempo Psychedelic Live DJ Set | Escape Reality with a 1-Hour AI Video Trip (mixed by escapall) - 最近ずっと聴いているスローテクノのミックスです。特に、00:48:18から流れる「Len Faki - Don't Be Stupid Day」が最高です。発狂しました。

🔎Making: The Making Of Black Panther Soundtrack With Ludwig Göransson - TenetとBlack Pantherを観てからLudwig Granssonという作曲家が大好きなのですが、彼がどのようにBlack Pantherの音楽を作り込んでいったのかを追った、短編のメイキング動画が上がっています。特に、Black Panther Wakanda Foeverの民族楽器の使い方が大好きなのですが、「こんなふうに現地で録音してたのかー」というのを知ることができて、ちょっと感動しました。

📖Knowledge: How people are getting high on light(光でハイになる人々) - きのこの勉強をしていて偶然見つけたのですが、ストロボライトを使って合法的にハイになる方法が紹介されています。このライトは売ってもいるのですが少し高価なので、なんとか自分で作れないかと思っています。

🔌Max for Live: MDD SnAkE 3.2.3 - ドイツ出身のプロデューサーLen Fakiがインタビューで紹介していた、Max for Live用のシーケンサー。Make Noise Reneのような見た目で、特に使い方を調べなくても直感的にシーケンスが組めるのが良いですね。

週刊「スタジオ翁」メルマガ版 Vol.42

2024年1月5日発行

Blog: https://studio-okina.com/

HP: isseykakuuchi.info