週刊「スタジオ翁」ニュースレター vol.40

このニュースレターは音楽制作からリリースまでを個人で完結させる、次世代の音楽クリエイターに向けて書いています。

プロに限らず、誰もが音楽を作れる時代になり、AIを活用することで本来ならエンジニアに任せるような仕事も、個人で完結できるようになりました。

あなたがプロを目指している音楽家であれ、これから音楽を仕事にしたいクリエイターであれ、AIを使った次世代の音楽制作、時代に合った新しいリリースの方法を模索しているならきっと参考になるはず。

目次

  1. 近況

  2. 今週の音楽ニュース

  3. 作曲とミキシングのアイデア帳

  4. DIYアーティストのためのマーケティング戦略

  5. Q&A

  6. Okina’s Picks

📝近況

ここでは、最近取り組んでいる音に関すること、仕事のこと、音楽制作のことについて書いていきます。

今週は、ohme名義で新曲をリリースしました。

国内外で人気のスローオーガニック系のDJであるMamazuさんとのコラボ曲で、Shango Recordsという海外レーベルのコンピに入れてもらっています。

Mamazuさんは数々のクラブやフェスでDJをされているだけあって、曲の展開作りが一級品。僕の苦手な部分を補っていただきつつ、共に作曲しました。

スローオーガニック/テクノ系が好きな方は、ぜひクラブで鳴らしてあげてください。

さて、今週は フランスのハイレゾ音楽トリミングサービスQobuzが日本に上陸していたので、早速登録して音質をチェックしてみました。

以前からTidalには登録していて、Spotifyとの圧倒的な音質の差は感じていたのですが、Qobuzを試してみたところ、やはりTidalと同じくらい解像度の高い音質で音楽を楽しむことができました。

Spotifyは本当に音が悪いので、早くなんとかして欲しいところですね。

TidalやQobuzは、Audirvanaという外部アプリを通して聴くことで、クラシックなどの上品な音楽も映える粒立ちの良い音質になるので、音質にこだわる方にはぜひ試してみて欲しいところ。

Qobuzはまだ使い始めたばかりなので、曲数がどのくらい充実しているのかはわかりませんが、音質面ではそれなりに気に入っているので、しばらく使い続けてみようと思います。

📱今週の音楽ニュース

「音楽業界の動向」「最新の音楽ギア」など、音楽制作をする全ての人に役立つ新鮮でホットな情報を、毎週発掘してお届けします。
  1. マスターチャンネルが "世界初 "のオーディオ・エンジニアのAIクローンを発表→ついに、マスタリングエンジニアのクローンが誕生しました。クローン元になっているのは、今まで2度グラミー賞にノミネートされているWez Clarkeです。この記事では、このAIクローンによって得られた収益の100%をWez Clarke本人に還元することで、マスタリングエンジニアが新たな収益源として活用できるという肯定的な内容で語られていますが、実際はマスタリングエンジニアがAIに取って代わられるという、エンジニアにとってはネガティブなニュースだと思います。

  2. Splice の年末データからプロデューサーが何に夢中になっているかが明らかに: アマピアノとフォンクは急上昇し、トラップはダウン→Spliceのダウンロード数から、今年人気だったジャンルが明らかになりました。今年はPhonk(フォンク)とAmapiano(アマピアノ)の2つのジャンルが世界各国で大幅に人気が急上昇し、逆にヒップホップやK-Popの人気の低下が見られました。たまにSpliceでAmapianoのサンプルを検索することがあるのですが、確かに今年に入ってAmapianoのサンプルパックがかなり増えた印象です。

  3. テイラー・スウィフト、2023年には "ジャズよりビッグ "に、ストリーミング・データで明らかに→ビルボードが報じた新しいデータによると、テイラー・スウィフトのアルバム消費が1,592万枚に達しました。この市場シェアはジャズよりも大きく、テイラー・スウィフトというジャンルがどれほど世界にインパクトを与えているのかが分かります。

  4. LimeWire、AIを搭載したオーディオ・ワークステーションを発表→ かつて存在したP2PプラットフォームLimeWireが、AIを搭載したDAWの制作に取りかかっているようです。このDAWを使うことで、ユーザーはフルレングスのトラックを生成し、自分の作品のカバー画像を作成し、すべてを単一のプラットフォームで公開できるようになるとのこと。 公開は、来年を目指しているようで、これまた楽しみなAIツールの1つですね。

  5. ChatGPTはミュージシャンの間で最も使用されているAIツールであるとの調査結果→ChatGPTが1位となっていますが、主に歌詞を書く目的で使われているようですね。あとは当ブログでも紹介しているLALAL.AIも3位にランクインしていました。ランキングに入っていないAIツールでも、かなり使えるものがたくさん出てきているので、どこかで記事にまとめたいと思っています。

📘作曲とミキシングのアイデア帳

作曲やミキシングが上達するための、動画・記事・アイデアをご紹介します。

Making some ambient music (ep.7) (In the box, Fl Studio)

僕の大好きなアンビエントアーティストの1人であるAlaskan Tapesは、定期的にYouTubeで制作の様子を配信しています。

彼はギターペダルや独特なアナログ機材を使って作曲していますが、プラグインも多用しています。この回ではプラグインを中心に、どのようにアンビエントを制作しているのかを知ることができます。

使っているプラグインは、グラニュラーシンセ、Spitfireの無料音源Labs、Kontakt、Guitar Rigなどです。

何か特別なプラグインを使っているわけではありませんが、オートメーションを使って楽曲に抑揚を与えているのが印象的です。

アンビエントに限らず、オートメーションを使うことで、単調なメロディーやパッドサウンドなども、リスナーを飽きさせることなく聴かせることができます。

ある程度曲が作れるようになってきたけど、どこかプロの曲と違う、どうしても途中で飽きてしまう、曲が退屈、という悩みを抱えている方は、ぜひオートメーションをもっと活用し、曲に抑揚をつけることを意識してみて下さい。

📊DIYアーティストのためのマーケティング戦略

音楽で稼ぐにはどうすればいいのか?どのようにリリースするのが効果的なのか?DIY(インディペンデント)アーティストが、より多くの人に自分の音楽を聞いてもらう方法を探っていきます。

イギリスの大手新聞ガーディアンに、日本のアンビエントアーティストである青山ミチルさんという方がピックアップされていたので、気になって彼のnoteやガーディアンの記事を拝見しました。

記事によると、彼はSpotifyなどのストリーミングサービスから、月に30万円ほどの収入を得ているそうです。

この方の音楽を聴いてみるとわかりますが、3分のアンビエント/ドローンがズラッと並んでいますが、どれも音楽的な展開がなく、ギターの一音をアンビエント仕様のエフェクターに突っ込んで引き伸ばしただけのサウンドに聞こえます。

「なんでこれで月に30万円も入ってくるんだ?」と思いましたが、彼のnoteとガーディアンの記事を読んで理解しました。

彼はとにかく質よりも量を重視しており、1日1アルバムという、おそらく地球上で一番リリース頻度が高いんじゃないかというくらい、頻繁にリリースを重ねています。

リリースするたびに、プレイリストに取り上げられる確率が上がるので、その分、聴かれる確率も上がるというわけです。(彼はこれを宝くじを引く、と表現しています)

お世辞にも高いクオリティとは言えない曲ですが、このクオリティの曲を大量にリリースすることで、特別な才能がなくてもSpotifyで月に30万円稼げるということを証明しています。

彼の有料noteも読みましたが、特に中身のないnoteで、「これに1,900円も払うなんて詐欺だ」くらいのコメントもありました。

このnoteはおすすめしませんが、彼の手法は見習うべき点が多いです。

Spotifyの特性を理解した、現代的なリリースのアプローチですね。

面白いなと思ったので、この件は改めてブログにも書きたいと思います。

🙋‍♂️Q&A

音楽機材のこと、制作のこと、ミキシングのこと、クラブのこと、何でもお気軽にご質問くださいませ。次週のニュースレターでお答えいたします。
「音楽作ってみたからアドバイス欲しい!」という方も、SoundCloud等のリンクを送っていただければお答えできます。
メールにて、お気軽にどうぞ。

Q1.

初めまして。メルマガをいつも拝見させていただいています。有益な情報ありがとうございます。

作曲した曲のミックスバランスやアレンジなど全体的なアドバイスをいただきたいです。

歌モノの音源を制作したので、アドバイスいただきたいです!個人的には、オケの編成やバランスがもっとよくできるのかなと感じています。他にも感じたところがあればご教示いただけると幸いです!

A1.

一聴すると、バランスもとても良く、このままリリースしても何ら問題ないクオリティなんじゃないか?と思いましたが、さらに聴きごたえのある音楽にするために、2つ、改善できる点があると感じました。

  • ボーカルのステレオ感

  • ドラムパートのリバーブ感とコンプ感

ボーカルはとても整っています。適度にコンプで抑えられていて、滑らかで聴きやすいです。

ただ、ボーカルだけでなく他の楽器についても言えることですが、初めて聴いた時、これモノラルかな?と思ってしまいました。サブコーラスは左右の広がりを感じますが、メインボーカル、ギター、ドラムなどは、リバーブやディレイを使って、もっと思い切ってステレオ感をつけてもいいと思います。

ボーカルはリバーブをかけすぎるとぼやけてしまうので、コーラスプラグインやスラップバックディレイなどを使って、 ボーカルがぼやけない程度に、左右の広がりを出してあげるという手もあります。WavesのDoublerなどを使って、手っ取り早くステレオ感や音の厚みを出してあげるのもおすすめです。

ボーカルへのリバーブのコツですが、リバーブのプリディレイをかなり遅めに設定してあげることで、リバーブタイムが長くてもボーカルがぼやけない、芯のあるサウンドになります。

つぎにドラムパートですが、 フィルやクラッシュなどうまく使って曲全体に抑揚を与えてあげると、もっと聴きごたえのある曲になると思います。

そしてドラムもプレートリバーブなどを使って空間性を与えてあげる、あとはコンプやサチュレーションをうまく使い、もう少しガッツのあるサウンドにしても良いんじゃないかなと感じました。

ここら辺は好みもありますが、ぜひ試してみて欲しいところです。

Q2.

記事、ニュース、色々勉強になります。有料版にした場合はまた違う記事があるのでしょうか?いい歳になってからDAWにて音楽をはじめたものです。一生懸命勉強しております。宜しくお願い致します。

A2.

いつもブログやニュースレターをご覧いただき、ありがとうございます。

ニュースレターの購読ボタンを押すと有料ボタンも出てきますが、このニュースレターは無料で配布しておりますので、有料版であっても内容は同じです。

ただこのプラットフォームの仕様なのか、僕の設定ミスなのか分かりませんが、有料ボタンが出っぱなしになっています。

ややこしくてすみません。

🧠Okina’s Picks

最後に、音楽的想像力をかき立てる、クリエイティブなコンテンツをどうぞ。

📚Language: Berlitz: Spanish in 30 Days - 来年までにスペイン語をしゃべれるようになろうと思っているのですが、 同じような境遇の人がいたら、日本語で書かれたものではなく、英語で書かれたこちらの本をおすすめします。英語がある程度読めるのが前提ですが、こちらの方が日本語の変なアクセントがつかず、CDで発音が学べる、会話文を学びながら単語や文法も同時に学べるというメリットもあります。7年ほど前に買ったのですがCDを無くしてしまったので、今週、もう一冊購入しました。

📗Book: ジョン・レノンを殺した凶気の調律A=440Hz - 440Hz、432Hz、444Hzなど、いくつか調律の際の基準となる周波数がありますが、このうち440Hzという、現在、国際基準になっている周波数が、悪魔の周波数とも呼ばれ、脳に悪い影響及ぼしているという意見もあります。こちらは正月に読む本リストに追加です。

🛒Goods: riraku-life(リラクリフェ) 電磁波シールド - 音楽を作っている人は、パソコンなどの電子機器に向き合う時間も長いと思いますが、長時間パソコンやスマホを使っていると、どうしても電磁波の影響受けて、体がだるくなったり頭がぼーっとしてしまいます。遺伝子的に大丈夫な人もいますが、僕は電磁波の影響を受けやすいので、こういった布で携帯を覆ったりして、なるべく電磁波の影響を排除するようにしています。

🕺🏻Party: WOWQ ® LED DISCO DJ ステージライト - ダンスミュージックを作るコツは、やはり製作中の自分のテンションを上げていくことだと思います。スタンディングデスクで制作した方が、音楽にのりながら作れるのではかどる、という方もいますね。さらに音楽にのりながら制作したいなら、こちらのレーザーがオススメです。このレーザーをつけながら部屋を真っ暗にして、スピーカーから音を流すとめちゃくちゃテンションが上がります。 音楽制作の時、いまいち気分が上がらないという人は、こういったアイテムを使ってみても良いかもしれませんね。

週刊「スタジオ翁」メルマガ版 Vol.40

2023年12月22日発行

Blog: https://studio-okina.com/

HP: isseykakuuchi.info