週刊「スタジオ翁」ニュースレター vol.37

  1. 近況

ここでは、最近取り組んでいる音に関すること、仕事のこと、音楽制作のことについて書いていきます。

最近、音楽ディストリビューター(Spotifyなどに自分の音楽を配信してくれるサービス)を調べまくっています。

個人のリリースだと、前にもお伝えしたDistroKidが安くてサービスも充実しているので、もしディストリビューター選びで迷っているならDistroKidをおすすめします。

ただ、ダンスミュージックを作るとなると、やはりBeatportに曲を載せたくなりますよね。

DistroKidからBeatportに曲を載せるには月額$9.99の追加料金を支払わなければならず、追加で支払うのはちょっとイヤだなと思い、Beatportにも対応しているディストリビューターを色々と探していました。

調べてみて分かったのですが、Beatportにデフォルトで対応している個人アーティスト向けのディストリビューターというのはあまりなく、レーベル単位で登録するようなディストリビューターがBeatportへの配信も行なっていることが多かったです。

Beatportは公式に、Beatport対応ディストリビューターのリストを公開しているのですが、どれも審査が必要で、曲を提出する必要があります。

リストの中には超大手レーベルを抱えているところもありましたが、いろいろと条件が厳しそうだったので、中でも比較的、審査などがゆるそうなディストリビューターを選び、試しに申請してみることにしました。

「Proton」というディストリビューターなのですが、ここは「リリースに関する費用は全部無料だけど、売上収益の30%をいただくよ」というタイプの契約になります。

リリースで稼ぐのはなかなか難しそうなので、初期費用と維持費が無料で、売れた分だけお金がかかるというのは、新規参入者にはなかなか魅力的です。

実際、2日くらいで返信が来て、あっさり承認されました。

別プロジェクトでレーベルを立ち上げる予定があったので、Protonで進めてみようと思っています。

そんなに審査も面倒ではなかったので、ディストリビューションサービスにお金を払い続けたくない!という方は、自分でレーベルを作って、こういったサービスに申請してみるという選択肢もアリだと思います。

  1. 今週の音楽ニュース

「音楽業界の動向」「最新の音楽ギア」など、音楽制作をする全ての人に役立つ新鮮でホットな情報を、毎週発掘してお届けします。

  1. 「もうすでに岐路に立っている」人類とAI共存の未来は…渡辺謙さん生出演(2023年11月23日)→ハリウッドで、AIに仕事を奪われた人々がデモを起こすという、SF映画のような状況が現実となっています。スタジオでの渡辺謙さんと司会の方の話を聞いていても、渡辺謙さんは実際にハリウッドでAIの脅威にさらされているだけあって、AIやエンターテーメントの未来を見据えているように感じました。一方、司会の方は、AIに懐疑的なスタンスをとることでうまく渡辺謙さんのお話を引き出しているように見えますが、もしクリエイターやアーティストでいまだにAIに懐疑的な人がいるなら、その人は十数年経てば仕事を失ってしまうでしょうね。

  2. ValhallaDSPがSupermassive 3.0アップデートを発表。→無料のディレイ/リバーブプラグインSupermassiveが、ここ数日で何度かアップデートされています。Valhalla Roomはたまに使っていますが、同じくらいSupermassiveも制作に使っています。まだ持っていない人は、ぜひダウンロードしておきましょう。

  3. ティーンエイジ・エンジニアリングのサンプラーEP-133 K.O. II→この手のサンプラーといえばSP404だと思いますが、同じくらいの値段でTeenage Engineeringのサンプラーが登場しました。この会社はおしゃれに振り切っていて音がそれほど良くない印象なのですが、果たしてどのくらい実用的なのでしょうか。楽器屋に展示されたら試奏しに行ってみます。

  4. DAWコントローラーを持っているけど、もう使っていない人はいますか?→Gearspaceで見つけた、あまり盛り上がっていないスレッドですが、「DAWコントローラーを使っていたけど、最近は机にスペースを作るのも面倒で使っていない」という投稿がありました。家が狭い日本では、特にこの傾向は強いでしょうし、SSLなどの機材メーカーがプラグインに力を入れていることからもわかるように、機材は本当に売れない時代になってきているんでしょうね。ハードウェアの音はもちろんプラグインより良いです。でも、音より利便性が勝るくらい、プラグインの音質がハードウェアに限りなく近づいているということです。

  5. 79%のオンラインティーンエイジャーがジェネレーティブAIツールを使用、との調査結果→「13歳から17歳のティーンエイジャーの5人に4人が、少なくとも1つのジェネレーティブAIのツールやサービスを利用していると回答、一方、16歳以上の大人のインターネット・ユーザーは、ジェネレーティブAIを使う傾向がかなり低く、調査対象者の31%しか使ったことがないと答えている。」高校生くらいまでの若い人ほどAIツールを使っているという面白い調査結果が出ています。今のティーンエイジャーが社会に出た時、僕たち大人は彼らについていくことができるのでしょうか。

  1. DIYアーティストのためのマーケティング戦略

音楽で稼ぐにはどうすればいいのか?どのようにリリースするのが効果的なのか?DIY(インディペンデント)アーティストが、より多くの人に自分の音楽を聞いてもらう方法を探っていきます。

I Spent $500 on Instagram Ads to Promote My Song.. this is what happenedI Spent $500 on Instagram Ads to Promote My Song.. this is what happened

楽曲のマーケティングのため、500ドルをインスタ広告に突っ込んでみた、という動画です。

結果的には326ドルを投資して、2419回クリックされるという結果になっています。広告を出すための具体的な方法についても詳しく解説されているので、5万円ほど使って2500回のクリックされたというのが果たして良い結果なのかどうかは判断が難しいですが、インスタ広告を使ってプロモーションしたい人にはとても参考になる動画だと思います。

音楽ジャンルにもよりますが、Facebook人口は徐々に減ってきている印象なので、今広告を打つならInstagramやTiktokが良いのではないでしょうか。

いずれにせよ、無名のアーティストがある程度のフォロワーや再生回数を稼ぐには、マーケティング費用を最初に突っ込む必要があるんだと思います。

いずれ僕も広告を打とうと思っていますが、どこに打つのか、いくら使うのか、どのタイミングで打つのか、という判断は本当にやってみないとわからないですね。

  1. Okina’s Picks

最後に、音楽的想像力をかき立てる、クリエイティブなコンテンツをどうぞ。

🎵Song: FKJ's Favourite Plugins + Production Tips & Tricks - FKJのお気に入りプラグインがいくつか紹介されています。Tape NoteはPatreonに登録することでフル尺のチュートリアル動画が観られるのですが、著名アーティストがたくさん出演しているので、気になるアーティストが出ていれば、ぜひ登録してみましょう。

🧠Tutorial: Ableton Live 12 MIDIのチョッピングとジョイニングのためのツール - 来年発売されるAbleton Live 12の新機能、MIDIチョッピングについての動画です。12はMIDI変形ツールや新しいスケール機能といった面白そうな機能がいくつかあるので、アップデート欲をそそられますね。

📚Book: ソルフェジオ周波数7つの知識8つの音楽9つの効果 - ソルフェジオ周波数って聞いたことありますか?特定の周波数に「トラウマの解放」「松果体の活性化」といった効果があるという、ちょっと怪しい理論?のことです。少しばかり実証実験があるくらいでエビデンスに乏しいものですが、気になったので色々調べています。こちらの本には参考書籍や論文のURLが書かれているので、ソルフェジオ周波数について学びたい方にぴったりの一冊だと思います。

🕺🏻Performance: ミニマルなアンビエント・モジュラー・シンセサイザー・パフォーマンス - 「モジュラーシンセを買えば、こんな素敵な音が出せる!」そう信じてモジュラーを集めていましたが、モジュラーシンセの世界は奥が深すぎて、ここに辿り着くまでに挫折してしまいました。それでもこんな美しいモジュラーアンビエントの動画を観ていると、希望を持ってしまいますね…

  1. ブログ更新のお知らせ

今年のブラックフライデーセールで買った、唯一のプラグイン。

Juno系シンセを探している人におすすめです。

  1. 作品のお知らせ

バンドのマスタリングを担当しました。

爽やかでどこか懐かしい、疾走感あふれるサウンドに仕上がっています。

週刊「スタジオ翁」メルマガ版 Vol.37

2023年12月1日発行

Blog: https://studio-okina.com/

HP: isseykakuuchi.info