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週刊「スタジオ翁」ニュースレター vol.34
近況
ここでは、最近取り組んでいる音に関すること、仕事のこと、音楽制作のことについて書いていきます。
昨日、たまたま渋谷のb8ta Tokyoという、最新ガジェットが体験できる、シリコンバレー発のお店を通りかかったので寄ってみました。
何か音関連のガジェットがないかと歩き回ってみると、Ultra-MAという、めちゃくちゃ怪しい超音波装置を見つけました。
店員さんに尋ねてみると、同意書を書けば体験できるということで、同意書にサインを記入。
たぶん、このガジェットで気分を害する可能性がありますが大丈夫ですか?とか、そういったことが書かれていたのだと思いますが、30kHzの超音波が出るだけの装置だったので、何も見ずにサインだけして体験に移りました。
30kHzはイルカの鳴き声くらいの高さだと言われていますが、人間は20kHzまでしか聞こえないので、耳で聴くことはできません。
なので、どんな体験になるのか全く予想できない状態で、丸い音波を出す装置のようなものがついているヘッドバンドを頭に巻いて、試聴を開始しました。
最初は何もわからなかったのですが、どんどん音量を上げていくと、頭が締め付けられるような、じんわり脳みそをほぐされているような感覚に気づきます。
いろんなモードがあるらしく、認知症に効くという、ちょっと強い音波を出してみると「キーン!」と、とんでもないボリュームの音が聞こえました。
聞こえたので、20kHz以下だと思いますが、おそらく音量を上げすぎて歪んだんだと思います。
気をとり直して、数分間聴き、取り外してみると、脳の奥が「スン」と研ぎ澄まされていることに気づきます…
瞑想した後の状態とでもいいますか、ランニングし終わった後のような、一番近いのはアブサンを飲んだ後のような感覚かな…
なんとも言えないスッキリ感で、体験を終えることができました。
いくつか前のニュースレターで、低音が認知症に効くという話を書いたと思いますが、超音波も脳に効くというのが納得できましたね。
それから渋谷の街の方に行きまして、渋谷に行ったことのある方はご存知かと思いますが、ネズミ避けのために、とんでもない音量で17k~19kHzの音波を発しているデパートがあります。その音がいつもより低く聞こえ、「脳が活性化されているんだな」と再確認しました。
この超音波のガジェットは100万円近くするので、買える方は少ないと思いますが、渋谷や銀座で気軽に体験できるので、気になった方は試してみて、感想をニュースレターのコメント欄にでも書きこんでもらいたいですね。
さて話は変わりますが、明日11/11から、ここ1年ほど制作に取り組んでいた映画が、豊洲ユナイテッド・シネマで公開されます。
詳細はこのニュースレターの最後にも書いていますが、もしご興味があれば、ぜひ足を運んでみてください。
今週の音楽ニュース
「音楽業界の動向」「最新の音楽ギア」など、音楽制作をする全ての人に役立つ新鮮でホットな情報を、毎週発掘してお届けします。
Apple Logic Pro 10.8 & 1.1(mac/iPad) 32ビットレコーディング、マスタリングアシスタントなどを導入→今週の目玉ニュースはこちらですね。iZotope Ozoneのようなマスタリングアシスト機能を使うことで、誰でも簡単に曲の最終仕上げを行えるようになります。32bitレコーディングにも対応したことで、録音時のクリップやノイズの心配をする必要がなくなります。(ただしこれは32bit対応のオーディオインターフェースが必要) LogicのiPad版もまだじっくり試せていませんが、どこかのタイミングでiPad版Logicのみで1曲仕上げてみたいですね。
Roli Seaboard Block M (MPEキーボード) 予約受付中→これはかなりアツいです。鍵盤を叩いたり、指をスライドさせたり、左右に揺らしたりすることで音に変化をつけられるMIDIキーボード。予約割引があるので注文しようかと思ったら、残念なことに日本への発送には対応していないんですね。最近、MPE対応のプラグインシンセサイザーがたくさん出てきているので、いまMIDIキーボードを買うならこれが良いと思います。
DistroKidユーザーがTikTok Musicに曲をアップロードできるようになった→最近DistroKidを使って、Spotifyなどに曲をリリースしていますが、TikTok Musicにもアップロードできるようになりました。そもそもTikTokが音楽聴き放題のサブスクをやってることを、知らない人も多いのではないでしょうか?10~20代にアプローチするなら、TikTok Musicにアップロードできるかどうかは、かなり大事になってきますね。
オーガニック・インストゥルメンツ、エレメンタル・スイートを発表→すごく面白そうなプラグインが登場しました。ユーザーが独自のサンプルベースのバーチャル・インストゥルメントを作成できる新しいソフトウェアで、世界中の人が作った音源を使えるコミュニティプラットフォームもあります。サブスクなのが少し残念ですが、可能性を感じるサービスですね。
YouTube、アーティストの声をコンテンツに反映させるクリエイター向けAIツールをまもなく展開か→これまた、とんでもないニュースですね。現在、YouTube側とユニバーサルやワーナー側で、アーティストの声をAIモデルのトレーニングに使用できる契約を交わしている最中とのこと。その結果どうなるかというと、AIを搭載したツールによって、クリエイターはアーティストの声を生成し、自分の動画に使用できるようになります。声の民主化は、ここ数年で一気に進むでしょう。
作曲とミキシングのアイデア帳
作曲やミキシングが上達するための、動画・記事・アイデアをご紹介します。
良いスピーカーを持っていても、良いリスニング環境がなければミキシングはうまくいきません。
スピーカーを正しい位置に設置するには知識が必要で、「部屋を整えるといっても、何から始めればいいのかわからない」という方も多いかと思います。
スタジオ翁でも、いくつかルームアコースティックに関する記事を書いてきたので、そちらを参考にしていただいても良いのですが、
ルームアコースティックの基礎や吸音材選びの参考になる、良質な動画を発見したのでご紹介します。
こちらはVicousticという吸音材を販売するMI7さんによる動画なのですが、Vicousticの吸音材を導入するつもりがなくても、これから部屋を整えて本格的にミキシングやマスタリングに取り組みたい人の参考になる情報がまとまっているので、ぜひそういった方にはぜひ見てみてもらいたいですね。
Okina’s Picks
最後に、音楽的想像力をかき立てる、クリエイティブなコンテンツをどうぞ。
🫧Live: Acid Pauli at Fusion Festival 2023 (full DJ Set) - 11/11は、Acid Pualiが東京にやってきます。同じ日にBump Tokyoもあり、Oceanvs OrientalisとBarrio Lindoという僕の好きなアーティストがやってくるので、どちらに行こうか迷っています。
🎶Record Shop: Kankyo Records - H.Takahashiさんという大好きなアンビエント作家がいるのですが、その方がレコード屋をされているようです。そのうち行ってきます。ちなみにH.Takahashiさんのアルバムでおすすめなのは、Low Power。
🎹Music Software: Soft Piano by Spitfire - 先週のニュースレターで紹介したScott Orrが使っていたピアノ音源です。無料ですがSpitfire製なので、かなりクオリティは高め。
🏠How to: How I transformed my attic into a home music studio - 屋根裏音楽スタジオの作り方。こんなスタジオを自宅に構えられたら最高ですね。日本でこれを実現するのはなかなか難しそうですが、観ているだけでも楽しめる動画です。
作品のお知らせ
インテリアとデザインのメディア「ELLE DECOR」様の企画に、レコーディングと作曲で参加しました。
世界的フラワーアーティストであるニコライ・バーグマンさんの箱根アトリエでは、フィールドレコーディングも行い、動画の冒頭に入れています。
楽曲は全部で3曲。オープニングの楽曲が、自分でも特に気に入っています。
Lo-Fiを作るのは初めてだったのですが、Spliceでドラム素材を見つけ出し、Ableton Pushを使って打ち込みました。特に気に入っているのはピアノパートで、これはOP-1をMIDIキーボード代わりにし、Universal Audioの「Ravel」を使って打ち込んでいます。
リアルタイムで打ち込んで、クオンタイズを軽めにかけることで、柔らかい人間味あふれるサウンドになったかと思います。
なぜか声が左からしか出てませんが、ぜひ音楽だけでも聴いてみていただけると嬉しいです。
アンビエント作品のリリースです。
今までは全てレーベルからのリリースでしたが、DIYリリースの効果的な方法を探っていく目的もあって、新たな名義でリリースを重ねていこうと考えています。
ついに今週!
11月11日劇場公開の映画「ケト・サピエンスは牧草牛の夢を見るか?」に、オリジナルソング22曲、全曲のマスタリング、サラウンドミキシング、フォーリーで参加させて頂きました。
医師である斉藤先生が、本当に美味しい牛肉を求めて全国を旅するロードムービー。観終わった後、日本の食に対する考え方が一変します。
そして斉藤先生がたどり着いたお肉、僕も口にしましたが、「これが牛肉?」という新食感。いや、これが牛本来の味だそうです。今の日本の和牛は、本来の生態からかけ離れてしまったのだと気付かされました。
以下、概要です。
美味しく健康的な牛肉とは、どんなものだろうか?
現代人に不足しているタンパク質と良質な脂を含んだ牛肉を求め、日本全国、こだわりのある和牛生産者を訪問した。 和牛のルーツを探るとともに、日本初の牧草牛専門精肉店を開き、孤軍奮闘するドクター斎藤の挑戦を追うドキュメンタリー映画。 果たして、美味しく健康的な黒毛和牛は存在するのか? 世界に誇る日本の和牛はどの産地が最良なのか? 本当に美味しい和牛の秘密をいま解き明かす。 知っているようで知らない和牛のルーツとは?
主演 斎藤糧三 [医師]
製作総指揮・撮影 高城剛
監督 徳武秀明
制作 NEXTRAVELER FILMS
週刊「スタジオ翁」メルマガ版 Vol.34
2023年11月10日発行
Blog: https://studio-okina.com/
Twitter: https://twitter.com/studiookina
HP: isseykakuuchi.info