週刊「スタジオ翁」ニュースレター vol.28

  1. 近況

ここでは、最近取り組んでいる音に関すること、仕事のこと、音楽制作のことについて書いていきます。

ここ数日、Ableton LiveのMax for Liveで使えるInspired by natureを使って、アンビエントを作っています。

Ableton Liveでアンビエントを作っている人に、一度は試してほしい製品なのですが、このツールを使えば誰でも簡単にアンビエントを作り出すことができます。

“Generative Ambient” ”Inspired by nature”といったキーワードでYouTube検索すれば、Inspired by natureを使ったアンビエントの作り方がたくさん出てきます。

“Generative(発生する)”という名前の通り、このツールを使うと自然発生的なサウンドが作れるので、自分でメロディーを打ち込まずに音楽を作ることができます。

ボールが落ちたり跳ねたりすることで音を発生させる「Bouncy Notes」や、植物のフラクタル模様を使って音を作る「Tree Tone」などの面白いツールがたくさん入っているので、新たなインスピレーションを受けたい方、普段とは違った制作方法で音楽を作ってみたいという方は、このようなツールを使ってみるのも面白いと思います。

  1. 今週の音楽ニュース

「音楽業界の動向」「最新の音楽ギア」など、音楽制作をする全ての人に役立つ新鮮でホットな情報を、毎週発掘してお届けします。

  1. SoundBetter、疎らな作曲に「アンビエント」サウンドベッドを追加するリバーブプラグイン「Butterfly Effect」を発表→これすごいです。このプラグインを通すと、なんでもアンビエントサウンドに変わってしまいます。問題はどれも似たようなサウンドになってしまうことですかね… 「パッドだけに使う」といったようにワンポイントで使うと、すごく良さそうです。

  2. RIAA、記録的な収益を報告→世界の音楽業界は着実に成長し続けていますが、レコードの収益も年々着実に伸びできています。「ミニマリズム」「エコ」「サステイナブル」が流行っていても、大切なものは「物」として所有したい人がたくさんいるということでしょう。Pro Tools Sketch:革新か模倣か?→Pro ToolsがAbleton Noteのようなスマホ向けアプリを発表しました。Pro Toolsとの連携に優れたアプリですが、これは単にAbletonのパクリのようにしか見えません。AbletonユーザーがAbleton Noteを使うのは理解できますが、Pro ToolsユーザーがPro Tools Sketchを活用して曲を作るとは思えませんね。

  3. inMusicがムーグスタッフの大部分を解雇、シンセ業界にとって悲しい日→Moogのスタッフが大量に解雇され、生産拠点がアジアに移ることで、Moog製品のクオリティの低下が懸念されています。Moog Oneのような高級路線は無くなり、ビギナーでも手に届くような安価な製品が投入されるのでしょうか。それならBehringerでいいし、プラグインでも良い。もう新しいMoog製品を買う必要はなくなるでしょうね。

  4. 世界初の空間AIマスタリングソリューション、SpatialAIにご挨拶を→AIマスタリングは、ついに空間オーディオにも対応する時代になりました。今の段階では、音にこだわる人はAIマスタリングを使うべきではないと思いますが、そのうちプロの作曲家もAIマスタリングを使う時代がやってくるでしょう。

  1. 作曲とミキシングのアイデア帳

作曲やミキシングが上達するための、動画・記事・アイデアをご紹介します。

マスタリングなどの、緻密な調整が必要なときに使っているテクニックをご紹介します。

以前にこちらの記事でも紹介しましたが、これはリスニング周波数をフィルターで200Hz~4kHzに絞って、ミキシングの調整を行うというもの。

低域と高域はとりあえず置いておいて、ミッドレンジを中心にミキシングを仕上げることで、上がりがとても良くなるのです。

ミッドレンジはミキシングにおいて一番重要なパートですが、なぜかと言うと、低域や高域の聞こえないリスニング環境はあっても、ミッドレンジが聞こえないリスニング環境はない。つまり、どんな劣悪な環境であってもミッドレンジだけは必ず聞こえるので、確実にミッドレンジを良い仕上がりにしなくてはいけないのです。

普段あまりミキシングやマスタリングをしないジャンルで、特にこのテクニックを使っていますが、ミッドレンジだけを聴いて調整すると、本当にミックスがうまく仕上がります。

ミキシングスタジオには、AuratoneやAvantoneといったミッドレンジ専用スピーカーが置いてありますが、あれもミッドレンジを中心に聴くことで、ミックスのあらが見えやすくなると同時に、どんなリスニング環境でもしっかり鳴るミックスを目指すために使われています。

低域と高域にフィルターをかけてミキシングするだけという簡単なテクニックですが、効果は抜群なのでぜひ試してみてください。

  1. ブログ更新のお知らせ

プレートリバーブの本命プラグインがついに登場。

今、使い勝手の良いプレートリバーブを購入するなら、これ一択でしょう。

使いやすさ、音質、どれをとっても間違いないプラグインです。

  1. Okina’s Picks

最後に、音楽的想像力をかき立てる、クリエイティブなコンテンツをどうぞ。

🔌Plugin: Soothe 2 代替品 - 代替となるフリーで安価なVST - AIベースのレゾナンスサプレッサーSoothe2の代替品がいくつか紹介されています。Soothe2を買っとけば間違いないですが、気軽に買える値段ではないので、こういった代替品も検討してみてもいいかもしれないですね。

✨New Product: たった1つのコンプレッサーで曲全体をミックス: Plugin Alliance - このニュースレターの創刊号でもご紹介したエンジニアJesse Ray Ernsterと、Plugin Allianceがタッグを組み、新たなプラグインを発表しました。動画では、このコンプのみを使って1曲まるまる仕上げていて、プラグインの使い方と同時にJesseのミキシングテクニックを学ことができます。

📚Magazine: Kaoru Inoue(井上薫)SAUNTER Magazine 06 - 待ってました!今月発売のサウンターマガジンNo.6は、なんと井上薫さんによって作られたアルバム付き。この屋久島発のインディペンデントマガジン「サウンターマガジン」のために作られた音楽で、屋久島のフィールドレコーディングがふんだんに使われています。ストリーミングでも視聴可能です。

💡Idea: 3 Ideas for Patching Maths and DFAM - Duck The Bass, Dynamic Hi-Hats, Self-Oscillation - 発売当初からずっと気になっているパーカッションシンセMoog「DFAM」が、Amazonで現在、円安前の超お買い得価格で売られていますが、そのDFAMとユーロラックの多機能モジュール「Make Noise Maths」を組み合わせた3つのアイデアが紹介されています。こんなの見せられたら、セミモジュラーシンセもユーロラックも欲しくなっちゃいますね。

週刊「スタジオ翁」メルマガ版 Vol.28

2023年9月29日発行

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