週刊「スタジオ翁」ニュースレター vol.24

  1. 近況

ここでは、最近取り組んでいる音に関すること、仕事のこと、音楽制作のことについて書いていきます。

今週はGenelecの本社にオープンした「Genelec エクスペリエンス センター Tokyo」に行ってきました。

音楽制作を始めて数年は、知人(今ではGenelec社員)に借りたGenelecのスピーカーで制作をしていたり、今もサラウンドでの映画制作にはGenelecを活用していたりと、長きにわたってお世話になっているGenelecさんですが、今回は「The Ones」という同軸スピーカーと、「IPスピーカー」という設備用の製品を試聴するために伺いました。

The Onesは、まだ僕が音楽制作を始めたばかりの頃に楽器屋で試聴したことがあるのですが、その時は安いモニタースピーカーの音しか知らない初心者だったので、今まで聞いたことのないような解像度の高すぎるThe Onesのサウンドに、脳が「???」となってしまったのを覚えています。

その時は結局「よくわからない音だったな…」と帰路についたのですが、改めて聴いてみると、その良さがすごくわかりました。

エクスペリエンスセンターはかなりしっかり吸音もされていますし、マスタークラスのコンバーター「RME ADI-2 DAC」が使われているので、The Onesの魅力を存分に楽しむことができます。

上下までしっかり伸びる周波数レンジの広さと、タイトで肉厚な低音は、マスタリングにも使えるほどのクオリティだと感じました。

IPスピーカーは、設備のために利便性を追い求めた製品なので、音質はぼちぼちですが、会議室や施設で使うには素晴らしいスピーカーです。

個人で買うなら、かなり値は張りますが、The Onesが良いでしょうね。

ここは、予約すれば誰でも試聴できるようなので、もしGenelecの音を良い空間でしっかり聴いてみたいということなら、ぜひ赤坂のGenelec エクスペリエンス センター Tokyoに行ってみることをおすすめします。

  1. 今週の音楽ニュース

「音楽業界の動向」「最新の音楽ギア」など、音楽制作をする全ての人に役立つ新鮮でホットな情報を、毎週発掘してお届けします。

  1. TikTokとSpotifyが選ぶこの夏の歌 →TikTokとSpotifyは、この夏、最もストリーミングされた曲TOP10を発表しました。TikTokは動画と相性の良い曲が多いので、Spotifyのランキングとはずいぶん違っていますね。ちなみに僕は今年の夏、「SZA - Kill Bill」にハマってよく聴いていました。

  2. アンドリュー・ファン、ベイビー・オーディオと新FXプラグイン「Transit」を共同開発

  3. →人気YouTuberのAndrew Huangが 、Baby Audioとコラボして作ったエフェクトプラグインです。最近の曲でよく聴くようなエフェクトが色々入っています。人によっては、すごくハマるプラグインだと思います。

  4. ソニー・プレイステーションがオーディオ・イノベーションのためにAudezeを買収 →なんと、ソニーが最近勢いに乗っているヘッドフォンブランド「Audeze」を買収しました。普段あまりゲームをしないのですが、AudezeとSonyによるヘッドセットが開発されれば、ぜひ試してみたいですね。

  5. 「W.A. PRODUCTION Instachord 2」コード進行や伴奏パターンをサポートするMIDI生成プラグインの最新版→僕はほとんど使ったことがないのですが、人気のコード・パターン生成プラグインの最新版が登場しました。サクッとコードや伴奏パターンを作りたいと思っている人は、チェックしておいた方が良いかもしれません。

  6. ChatGPTはサウンドデザインに役立つのか?YouTuberのTAETROが検証→以前にも紹介したことがありますが、ChatGPTはサウンドデザインについて、シンセのパラメーターの設定値などを細かに解説してくれます。「このプラグインシンセを使って、このアーティストのような音を作りたい」といった要望に応えてくれます。こんな音が作りたい!と目的の音がはっきりしているなら、ぜひChatGPTを使ってサウンドデザインをしてみてください。

  1. 作曲とミキシングのアイデア帳

作曲やミキシングが上達するための、動画・記事・アイデアをご紹介します。

YouTubeで、Rampaと&MEのスタジオ動画を見ていると、彼らはMIDIのシーケンスを全てのアナログシンセに送っていると言っていました。

普通は、メロディーやベースラインなどを作ったら、それを鳴らしたい特定のシンセに送ると思うのですが、彼らはスタジオにある10台ほどのシンセですぐにシーケンスが再生できるようにしているそう。

さすが、Keinemusikという人気レーベルをやって、曲をバンバン出しているだけあって、相当ワークフローが確立されているんだなーと感心しながら見ていました。

アナログシンセを持っていなくても、DAWの中にあらかじめ好きなソフトシンセをいくつか用意しておいて、メロディーを作ったらいろんなソフトシンセでそのメロディーラインを再生できるような設定はできそうですね。

コンスタントに曲をリリースしているアーティストのスタジオ動画を観ていると、こういった自分なりのワークフローをみんな必ず持っているので、こういった方法論が参考になったというよりは、自分なりのアイデアが浮かびやすい環境づくりや、高速でアイデアを形にするための工夫が必要なんだなということが大きな学びでした。

  1. ブログ更新のお知らせ

Ethno World 6、今まで紹介できてなかったのですが、素晴らしいサンプルライブラリです。

どこか、特定の地域の民族楽器に特化しているというよりは、世界中の民族楽器を幅広く取り扱っているライブラリなので、世界のいろんな楽器を使って音楽を作りたい人は、ぜひチェックしてみてください。

  1. Okina’s Picks

最後に、音楽的想像力をかき立てる、クリエイティブなコンテンツをどうぞ。

🎙️Article: ブラジルの音楽市場を解き明かす:インディーズアーティストのためのガイド - ブラジル市場の開拓、というニッチな記事ですが、ブラジル以外の場所で自分の音楽を広める際にも役立つようなTIPSが紹介されています。自分の音楽を海外に広めたい人におすすめの記事です。

🎹Gear: プラスティックマン:リッチー・ホウティンのようなサウンドを出す方法 - Richie Hawtinみたいな音が作りたい!という人は、要チェックです。909や303はプラグインでもたくさん出ているので、ハードウェアを買わなくてもRichieのサウンドを再現できますよ。

🎵Studio Tour: Tycho、シンセとエフェクトのワンダーランドでスタジオの秘密を明かす - こういうスタジオツアー、大好きです。楽器屋によく売っているような、有名な機材で構成されていますね。Moogシンセとエフェクターのコーナー、丸ごと欲しいですねー。

🔌Plugin: Ableton Drift:この新しいキラーシンセをマスターするための6つのステップ - AbletonのDrift、まだ全然使いこなせてないのですが、かなり良さそうなシンセですね。Driftを使いこなすためのいろんな情報がまとまっています。僕もあとで読みます。

週刊「スタジオ翁」メルマガ版 Vol.24

2023年9月1日発行

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