週刊「スタジオ翁」ニュースレター vol.21

  1. 近況

ここでは、最近取り組んでいる音に関すること、仕事のこと、音楽制作のことについて書いていきます。

今週は新宿で開催されたケチャ祭りに行ってきました。

インドネシアの伝統音楽や踊りが楽しめるこの祭りは、コロナ禍で休止していたのですが4年ぶりに復活を遂げ、今年で45周年を迎えました。

僕の目当ては、ガムランの生演奏。

ハイパーソニックエフェクトという本には、ガムランは人間の可聴域を超える音を多く含んでいるため、人間を癒す効果があることが書かれています。今回のケチャ祭りでは、20kHz以上の超高域にまで対応したハイパーソニックエフェクト仕様のスピーカーが使われているということで、それも気になって行ってみることにしました。

16時から開催されるケチャ祭りでは、ジョージア伝統合唱、ブルガリア民族合唱、巨竹アンサンブル、呪術的合唱舞踊ケチャなどが数時間にわたって催されます。

メインはケチャなのですが、僕はやはりガムランが一番心地よく、ずっと聴いていたいと思える心地よさがありました。

スピーカーからハイパーソニックエフェクトが出ていたのかどうかはわかりませんでしたが、それ以前にスピーカーの音と生演奏が混ざって若干ごちゃごちゃして聞こえていたので、正直なところ、スピーカーなしの本場の演奏が聴きたいなと思ってしまいましたね。もしかすると、聴く場所の問題だったのかもしれませんが。。。

でも、東京のど真ん中で海外の伝統音楽に触れられる機会があるのはとても素晴らしいことだと思います。

民族音楽に興味のある方はぜひ、来年行ってみることをおすすめします。

  1. 今週の音楽ニュース

「音楽業界の動向」「最新の音楽ギア」など、音楽制作をする全ての人に役立つ新鮮でホットな情報を、毎週発掘してお届けします。

  1. ローランド、今年後半に東京に3階建ての店舗をオープン→ローランドは今年10月に、ロンドンに続いて2件目の直営店を原宿にオープンさせる予定です。ローランドのシンセサイザーやDJ機材が一気に見られるのはとても便利ですね。オープンしたらすぐに行ってみたいと思います。

  2. 英国の独立系ナイトクラブ、過去12カ月で100店舗以上が閉店→なんと2020年から2023年にかけて、イギリスのクラブの30パーセント以上が閉店となっているそう。コロナの影響も多いんだと思いますが、XOYOが新しいクラブをオープンさせたり、プリントワークスが2026年に復活予定だったりするので、これから少しは回復に向かうのでは?と思います。

  3. 音響拡散体「オトノハ」10月に発売〜黄金比と植物が持つ黄金角の規則を機能とデザインに活用→植物が太陽光を最大限に受けるために、黄金角で葉を展開することにヒントを得て開発された拡散材(ディフューザー)が発売されます。以前にもニュースレターで、メタマテリアルを使った吸音材の企業を紹介しましたが、3Dプリンタがもっと普及すれば、吸音材や拡散材のDIYが当たり前になるかもしれませんね。

  4. アビッド、シンフォニー・テクノロジー・グループに14億ドルで買収される→Avidが身売りをするニュースは話題となっていましたが、STGというプライベートエクイティファームに買収されました。いまPro Toolsは高価なハードウェアとサブスクで成り立っていて、DTMユーザーは若干手を出しづらい価格帯になっていますが、今後はクリエイターエコノミー向けの、手頃な製品やサブスクプランを打ち出す方向にシフトチェンジしていくことになるのかもしれません。

  5. ELTA Music SOLAR 42 マイクロトーン・ドローン・アンビエント・マシン 予約受付中→面白そうなドローンシンセサイザーが予約受付中となっています。現行で販売されているSolar 50の改良型で、いろいろと改善がなされています。

  1. 作曲とミキシングのアイデア帳

作曲・ミキシングが上達するための、動画・記事・アイデアをご紹介します。

隠れた名プラグイン「Tonal Balance Control

iZotopeのNeutronやOzoneにも付いているTonal Balance Controlというプラグインが、ミキシングやマスタリングの時にかなり使えるのでご紹介します。

13のジャンルごとの周波数ターゲットを表示してくれて、自分の楽曲がそのジャンルの平均的な音楽に比べ、どのくらいのバランスになっているのかがひと目でわかります。

あくまで目安なので、必ずしもこのターゲットに合わせる必要はありませんが、おおまかな道すじを示してくれるので、僕もたまにチェックしてバランスを確認しています。

同梱のRelayというプラグインを使えば、Tonal Balance Controlの画面を離れることなくEQの調整ができるので、とても便利。自分のミックスバランスが正しいのかわからないという方は、

こういったプラグインを使うことで、作った曲をいろんな環境で鳴らさなくともしっかりバランスが取れているかがわかります。

単品だとちょっと高いので、OzoneNeutronを買って、おまけでTonal Balance Controlをもらうのがおすすめです。

  1. Okina’s Picks

最後に、音楽的想像力をかき立てる、クリエイティブなコンテンツをどうぞ。

💿DJ Mix: N Λ T U R R I T U - CRIOLLO (Organic Downtempo / Folktronica / Chillout) →N Λ T U R R I T Uによる 心地よいDowntempo / Folktronicaのミックス。あまり有名なアーティストではないようですが、彼の作る曲もすごく心地よいです。サウンドクラウドはこちら。https://soundcloud.com/naturritu

🌳Experience: NTTインターコミュニケーション・センター [ICC] - 新宿で無響室を体験できる場所があるのをご存知でしょうか?無響室は一切の音の反響を取り除いた特殊な部屋で、静かすぎて心臓の音が聞こえたり、自分の声が壁から跳ね返ってこないため、その違和感に吐き気を覚えてしまう方もいるほどの不思議な環境です。音に興味を持っている方は、無響室を体験するとおもしろいと思います。

🎵Film: レヴェナント:蘇えりし者(字幕版) - 坂本龍一さんが音楽を書かれているとのことで視聴。途中から主人公がずっと死にそうになりながらも、なんとかたくましく生き延びく様子に、終始こちらも息が切れそうになりながら観ていました。観終わったあとは野生の感が鋭くなるので、コンビニに行くのにも常に敵がどこかに潜んでいないか、目をぎらつかせながら歩くことになります。

🎞️Equipment: NAD Masters M23 Stereo Power Amplifier - 今もっとも気になっているスピーカー用のパワーアンプ。画期的なモニタースピーカーKii Threeの制作者でもあるBruno Putzeysが立ち上げた会社Purifyによる、EIGENTAKTクラスDアンプを搭載しています。パッシブスピーカーをお持ちの方は、要チェックですよ。

週刊「スタジオ翁」ニュースレター版 Vol.21

2023年8月11日発行

Blog: https://studio-okina.com/

Twitter: https://twitter.com/studiookina