スタジオ翁のメルマガ vol.145

このメルマガは音楽制作からリリースまでを個人で完結させる、次世代の音楽クリエイターに向けて書いています。

プロに限らず、誰もが音楽を作れる時代になり、AIや最新のテクノロジーを活用することで、本来ならエンジニアに任せるような仕事も個人で完結できるようになりました。

あなたがプロを目指している音楽家であれ、これから音楽を仕事にしたいクリエイターであれ、AI等を活用した次世代の音楽制作、時代に合った新しいリリースの方法を模索しているならきっと参考になるはず。

目次

  1. お知らせ

  2. 近況

  3. 作曲とミキシングのアイデア帳

  4. 今週の音楽ニュース

  5. ブログ、note更新のお知らせ

  6. サービス・書籍のご紹介

📝近況

ここでは、最近取り組んでいる音に関すること、仕事のこと、音楽制作のことについて書いていきます。

今週、かなり熱い製品が登場しました。

MelodyneでおなじみCelemony社の、革新的な作曲補助ソフト「Tonalic」です。

これは、ワールドクラスのスタジオミュージシャン30人以上による実際の演奏を、楽曲のコード、テンポ、グルーヴに自動適応させるシステムとのこと。

ちょっと使ってみましたが、AI作曲とかなり相性が良さそうだなと思いました。

AIだと、場合によってはAIっぽい音や、AIっぽいグルーヴになりがちです。

ところがこのソフトを使えば、AIで作った曲をステムに分解し、一部のステムをTonalicが半自動的に演奏してくれたフレーズに差し替える、といったことができるようになります。

「自分で打ち込んでも、いまいちプロっぽいものができないし、AIで作るとAIっぽすぎる」

そんな、人間とAIのギャップを埋めてくれる、架け橋になるようなソフトだと感じました。

ちょうど今やっているシティポッププロジェクトで、ボーカル以外をAIで作っているのですが、

「もうちょっと曲に合うベースラインにしたい」

「ここのメロディーを他のものに変えたい」

と思った時、AIだと部分的な変更がうまくいかないし、自分でやってもクオリティーの高い旋律や音質になかなかたどり着けないということもあり、ちょっと悩んでいた部分があります。

ここに試しにTonalicを入れてみると、見事にその曲に合った生っぽいメロディーラインやベースラインを生成してくれました。

AIと人間のハイブリット作曲の可能性がグンと広がったのを感じましたね。

ただ、まだちょっと使いにくいので、本格的に導入するのは少し先になるかと思います。

継続的なサブスクはそこまでおすすめしませんが、キャンペーンにより1ヶ月1ドルでお試しできるので、気になる方はぜひ使ってみてください。

こういった、「反AI」的な製品も、今後いくつか登場しそうですね。

今年は、ハイブリッド作曲がますます盛んになりそうだと感じさせてくれる、新製品の登場でした。

📘作曲とミキシングのアイデア帳

作曲やミキシングが上達する動画・記事・アイデア・最新のAIプラグインやAI作曲ツールをご紹介します。

最近、文章を書く仕事が多いのですが、文章の良し悪しを判断するプロセスが、音楽制作と似ているなと思ったのでご紹介します。

音楽制作で、1曲に時間を割きすぎて、音楽の良し悪しが分からなくなった経験はないでしょうか?(僕は、いつもそうなります)

文章を書く際も同じで、考え込みすぎて、その文章の良し悪しが分からなくなってくることがあります。書いた直後は、自分の意図や知識が強く残っているため、脳が自動的に予測したり補完して、欠点を見逃してしまうんですよね。

でも、一晩寝ると予測が弱まり、客観的に文章を評価できるようになります。

このように、1日もしくは1週間ほどその音楽から離れることで、改めて客観的な目線で評価し、ブラッシュアップできるのですが、音楽を短時間でたくさん作りたい場合(今の僕の場合は、短時間でたくさんの文章を書きたい場合)、「1週間も寝かせず、すぐ完成させたい!」ということもあります。

そんな時はどうするか?

文章の場合は、

  • フォントや形式を変える

  • 印刷して読む

  • 音読する

  • 読む環境を、カフェなど別の場所に変える

このように、環境を変えることで、脳の予測機能を弱らせ、新鮮な状態で文章を冷静にジャッジすることができます。

同じように音楽の場合も、

  • スピーカーやヘッドフォンなどのいろんなデバイスで聴く

  • 別の場所で聴く(歩きながら、カフェ、車の中など)

  • あえてリバーブをかけて聴く(コンボリューションなど、場所をシミュレートするものがおすすめ)

このように、聴覚的に新鮮な状態で判断することで、似たような効果を得られます。

実際に僕は、完成した曲を歩きながらAirPodsで聴き、また家に戻って修正するといったことをよくやっています。

あとは音楽を聴くとき、意外と目からの情報によって感じ方が変わるので、その音楽が流れそうな場所に行ってみたりイメージしたり、または目を閉じたり目を開けたりして、いろんなバリエーションで聴いてみるのもおすすめです。

ちょっと瞑想してみるのも良いかもしれませんね。

自分の曲を聴きすぎて、良し悪しがわからなくなった時は、ぜひこういったテクニックも活用してみてください。

📰 今週の音楽ニュース

スタジオ翁独自の視点で厳選した、世界の最新音楽ニュースをお届けします。
  1. Simple Editor: 余計な機能を排したシンプル設計による軽快なオーディオ編集体験。

  2. Sweden Charts: スウェーデンがAI生成楽曲をチャートから排除する判断と音楽的正当性の議論。

  3. Mixing Stages: ミキシング上達を6段階で可視化する自己診断フレームワーク。

  4. Fractiv: フラクタル理論を応用した新世代グラニュラー・シンセシスの実験。

  5. Tonalic: AIもMIDIも使わず生演奏の適応力を再現するCelemonyの仮想セッション奏者。

  6. Ambient Gear: アンビエント制作に最適化された機材構成の実践的ガイド。

  7. Bandcamp Ban: BandcampがAI生成音楽を明確に禁止する方針表明。

  8. Eurorack Techno: テクノ制作に特化したユーロラック・モジュール活用の現在地。

  9. Texture Studio: テクスチャ重視の非線形作曲を実現する新世代制作環境。

  10. Bandcamp Anti-AI: クリエイター主導を守るためのBandcampによる反AIスタンスの明確化。

🎧サービス・書籍のご紹介

<Splice作曲メソッド>

音楽制作に悩むすべての人におすすめです。

音楽理論や楽器の演奏からスタートする「従来の作曲法」とは異なるアプローチにより、「アイデアが浮かばない」「どこから始めればいいか分からない」といった悩みを解決。アイデアがない状態から1曲を完成させる、実践的なテクニックを身に付けます。

さまざまなジャンルの音楽をゼロから作っていく様子までご覧いただくことで、実践に即した体系的なメソッドを学び、良い音楽を量産する方法を身に付けることができます。

<プライベートレッスン>

(ちょっと忙しいので休止中です。)

作曲・ミキシング・マスタリングに関するプライベートレッスンのご案内です。

具体的なレッスン内容は、事前のメールやZoomなどでヒアリングしてから決めていくことも可能です。

まずは、お気軽にご連絡ください。

<著書>

作曲AIに関する書籍です。

アイデアの出し方から作曲、アートワーク制作に至るまで、音楽制作からリリースまでの一連の流れにAIをフル活用する方法を解説しています。購入はKindle Unlimitedで。

<Suno AI、Udio用プロンプト生成ツール>

ChatGPTで使える、プロンプト生成ツールを作りました。

使い方は簡単。自分の好きなアーティスト名を入力するだけで、そのアーティストの特徴を出力してくれます。それを、Suno AIやUdioなどのプロンプトとして入力することで、そのアーティストのテイストに近い音楽を、AI作曲ツールが生成してくれます。

プロンプト選びに悩んでいる方は、ぜひ活用してみてください。

<Chrome拡張>

AI時代は、MYOG(Make Your Own Gear)の時代です。

アーティストが道具を自分で作る未来を模索中。その研究成果として2つのウェブアプリを開発しました。その研究成果として2つのウェブアプリを開発しました。

週刊「スタジオ翁」ニュースレター版 vol.145

2026年1月23日発行

Blog: https://studio-okina.com/