スタジオ翁のメルマガ vol.140

このメルマガは音楽制作からリリースまでを個人で完結させる、次世代の音楽クリエイターに向けて書いています。

プロに限らず、誰もが音楽を作れる時代になり、AIや最新のテクノロジーを活用することで、本来ならエンジニアに任せるような仕事も個人で完結できるようになりました。

あなたがプロを目指している音楽家であれ、これから音楽を仕事にしたいクリエイターであれ、AI等を活用した次世代の音楽制作、時代に合った新しいリリースの方法を模索しているならきっと参考になるはず。

目次

  1. 近況

  2. 作曲とミキシングのアイデア帳

  3. 今週の音楽ニュース

  4. サービス・書籍のご紹介

📝近況

ここでは、最近取り組んでいる音に関すること、仕事のこと、音楽制作のことについて書いていきます。

シンセプラグインってたくさんあって、どれがいいか迷いますよね。

これまで数多くのシンセプラグインを購入し、使い倒してきた僕が、みなさんにぴったりのプラグインシンセサイザーを選ぶための診断ツールを作りました。

「自分に本当に合うシンセサイザーって何だろう」

「新しいシンセサイザーを探しているので、おすすめを教えてほしい」

とお悩みの方は、ぜひ活用してみてください。

定番からマニアックなシンセまで、様々なものを盛り込みました。全ておすすめですが、あなたにぴったりの一品が見つかれば嬉しいです。

さてつい先日、音好きの友達と話していたところ、音楽理論の勉強にはSoundQuestを使っているという話を聞きました。

僕もベータの頃から拝見していますが、かなり膨大な情報が丁寧にまとめられていて、音楽制作が初めての人でも、その洗練されたデザインと体系的な情報により、小難しい「音楽理論」もするすると吸収することができる、とても便利なサイトです。

僕自身、発展的な音楽理論についてはあまり勉強してこなかったので、たまにSoundQuestを見ては新しい知識を仕入れ、作曲に活かしています。

Spliceなどのサンプルを使った作曲手法だと、それほど音楽理論の知識は必要ないのですが、やはり音楽理論を知っていると、これまでとテイストの違う雰囲気の音楽を作ったりできるので、いつもとは違った角度から音楽を作ってみたい方は、このサイトを見て音楽理論をつまみ食いし、自分の制作に活かしてみるのが良いと思います。

📘作曲とミキシングのアイデア帳

作曲やミキシングが上達する動画・記事・アイデア・最新のAIプラグインやAI作曲ツールをご紹介します。

今週は「AI×DAW」でどこまで作曲できるのか、試してみました。

今回は、まず藤井風のHachikoという曲をSunoで作り、それをSuno Studioに入れて編集します。その後、ステムをAbleton Liveに入れ、EQやリバーブなどの処理をして、音楽を完成させました。

なかなか面白い曲に仕上がりましたが、AIが作った音楽を発展させるには、まだ問題がいくつかありますね。

まずAIが作ったステムは、音質がかなり悪いです。Suno Studioは使いづらく、Ableton LiveなどのDAWとの連携がシームレスにできないため、編集にもかなりの時間を費やしてしまいます。

そしてAIが作れる音楽は、有名なジャンルやどこかで聞いたことがあるようなものだけです。したがって、「これは新しい!」と思えるような音楽は、どうしても自分でフレーズを打ち込んだり、サンプルを加工したりして作る必要があります。

実際、最近はAIカバーがとんでもなく多くなりましたが、そのほとんどは、というか全て、どこか懐かしさを感じるメロディやありきたりな展開の曲しかありません。

AIのみを使って、これまで聴いたことのないような曲を作るのは、ほぼ不可能だと思いますね。

ただ、ここに「人間が活躍できる場がまだ残されている」ということでもあります。

これからは、間違いなく「AIと人間のハイブリッド作曲」が主流になりますが、基本的な構成や定番ドラムパターンなどはAIで作り、その後DAWでシンセサイザーなどで打ち込む、もしくはサンプルを取り入れて編集・加工したりしながらオリジナリティを出していくという風なスタイルが一般的になるでしょう。

あとは、これまでガチガチにクオンタイズされた音楽が多かったですが、AIには作れないヘンテコなビートや生音の感じなども、これからかなり増えてくると思います。

実際、最近はこんな曲が拡散されていますが・・・

AIが登場したことにより、こういった「人間味」を求めて、AIにはできないようなサウンドを使った新しいジャンルなんかも生まれそうな予感です。

生楽器っぽさ、人間ぽさを加えるというのも、これからアーティストが生き残る一つのポイントなのかもしれませんね。

📰 今週の音楽ニュース

スタジオ翁独自の視点で厳選した、世界の最新音楽ニュースをお届けします。
  1. Breland: カントリー歌手Brelandが、AI重視へ傾く音楽業界の投資姿勢を強く批判、人間性と創作の倫理を問い直す。

  2. Omnisphere 3: Spectrasonicsが到達した次世代フラッグシップ音源としての完成度検証。

  3. Loudness Wars: デジタル時代の音圧競争を振り返るWaves制作ドキュメンタリーによる歴史的再考。

  4. MPE Synths: 表現力重視の制作を可能にするMPE対応シンセの最新動向整理。

  5. Spotify Prompted Playlists: AIとアルゴリズム操作をユーザーに委ねる新プレイリスト機能の登場。

  6. RipX DAW 8: 分離編集と再構築を進化させたHit’n’Mixの最新DAWアップデート。

  7. Pigments 7 Update: 新フィルター群と高度なFX追加によるPigments 7のサウンドデザイン進化。

🎧サービス・書籍のご紹介

<Splice作曲メソッド>

音楽制作に悩むすべての人におすすめです。

音楽理論や楽器の演奏からスタートする「従来の作曲法」とは異なるアプローチにより、「アイデアが浮かばない」「どこから始めればいいか分からない」といった悩みを解決。アイデアがない状態から1曲を完成させる、実践的なテクニックを身に付けます。

さまざまなジャンルの音楽をゼロから作っていく様子までご覧いただくことで、実践に即した体系的なメソッドを学び、良い音楽を量産する方法を身に付けることができます。

<プライベートレッスン>

作曲・ミキシング・マスタリングに関するプライベートレッスンのご案内です。

具体的なレッスン内容は、事前のメールやZoomなどでヒアリングしてから決めていくことも可能です。

まずは、お気軽にご連絡ください。

<著書>

作曲AIに関する書籍です。

アイデアの出し方から作曲、アートワーク制作に至るまで、音楽制作からリリースまでの一連の流れにAIをフル活用する方法を解説しています。購入はKindle Unlimitedで。

<Suno AI、Udio用プロンプト生成ツール>

ChatGPTで使える、プロンプト生成ツールを作りました。

使い方は簡単。自分の好きなアーティスト名を入力するだけで、そのアーティストの特徴を出力してくれます。それを、Suno AIやUdioなどのプロンプトとして入力することで、そのアーティストのテイストに近い音楽を、AI作曲ツールが生成してくれます。

プロンプト選びに悩んでいる方は、ぜひ活用してみてください。

<Chrome拡張>

AI時代は、MYOG(Make Your Own Gear)の時代です。

アーティストが道具を自分で作る未来を模索中。その研究成果として2つのウェブアプリを開発しました。。その研究成果として2つのウェブアプリを開発しました。

週刊「スタジオ翁」ニュースレター版 vol.140

2025年12月19日発行

Blog: https://studio-okina.com/