週刊「スタジオ翁」ニュースレター vol.14

  1. 近況

ここでは、最近取り組んでいる音に関すること、仕事のこと、音楽制作のことについて書いていきます。

先日、サウンドスケープのイベントに参加したのですが、そこで使われていた自作スピーカーを鳴らすためのアンプ、その上に石が置かれていました。これは何かと製作者の方に聞いてみると、「エリートシュンガイト」という、ロシアでしかとれない鉱物で、電磁波を抑制するとおっしゃっていました。

電磁波と聞くと怪しく感じられるかもしれませんが、僕はパソコンや音響機材に囲まれて過ごすことが多いので、電磁波にはそれなりに気を使っていて、効果も感じています。(専用のメーターを使えば、電磁波の数値が落ちているのもわかります)

機材に電磁波を抑制する布をかけたり、パソコンからの電波を弱めるUSBタイプのプラグインアースも日常的に使っていて、それがあると1日が終わった時の疲れ具合が全然違うんですよね。

そんな電磁波抑制グッズですが、音質向上効果の方も感じていまして、自宅で試しているのは、配電盤に電磁波をカットする銀を織り込んだ布を被せるというもの。配電盤は玄関にあるので、玄関と部屋を往復し、つけたり外したりしながら効果を確認するのは大変でしたが、確かに音は少しだけ曇りがとれてクリアになりました。

一方、購入した石の方ですが、こちらは電磁波メーターで確認しても、特に変化は見られず・・・

見た目が綺麗でインテリアとしても映えるので、一応アンプの上には置いていますが、こういったものはよほど電磁波に敏感な人でないと、効果を感じるのは難しいと思いました。(ちなみに僕は、三菱のSUVアウトランダーに乗ると吐きそうになってしまうので、それなりに敏感な方だとは思うのですが)

電磁波を抑制してくれる石には、いくつか定番のものがあるようなので、これから色々買ってみて、効果を確認してみようと思います。

  1. 音楽をつくる人のためのリンク集

「音楽制作」「ミキシング」「プロモーション」「最新の音楽ギア」など、音楽制作をする全ての人に役立つ新鮮でホットな情報を、毎週発掘してお届けします。

 

  1. Loopcloud vs Splice:究極の比較ガイド(2023) 🏆→これらのサブスク型のサンプルライブラリは、使ってないアーティストを見つける方が難しいのではないでしょうか?この業界の2大巨頭で、よく比較される「Loopcloud」と「Splice」ですが、これらの比較ガイドが公開されました。個人的には圧倒的にSpliceの方が優れていると思いますが、Loopcloudもサンプルパック業界の最大手だけあって、それなりに充実しています。(参考: Splice | 全アーティストが導入すべきサンプル音源サービスの決定版「Loopcloud」は本当にいま登録すべきサブスク音源サービスか?)

  2. Twitterのアルゴリズムに関する7つの新事実と、それを自分のために活用する方法→音楽関係の情報をTwitterで得ている人も多いと思います。あなたがアーティストや音楽関係者で、Twitterを使って情報発信したいなら、最近公表されたTwitterのアルゴリズムを理解しておくと良いでしょう。「リプライ」を1とすると、「リツイート」は20倍、「いいね」は30倍高く評価されるという事実は、知らない人も多いかもしれません。

  3. Spotify、AIプレイリストカバーアートツールをテスト→Spotifyは、プレイリストの雰囲気に合わせ、AIが自動でアートワークを制作してくれる機能をテストしています。そのうち、高品質なアートワークもAIで簡単に作れるようになるのでしょうね。今は、僕もMidjourneyやStable Diffusionでアートワークを作ろうとしていますが、なかなか思うようなものができず、もう少し直感的に理想のアートワークが作れたらいいのに…と、まだまだ理想とは遠いですね。

  4. Tracktionが Love (インスタントアンビエントプラグイン)をリリース→アンビエント制作に使える総合エフェクトツールがTracktionから新登場。試しに使ってみていますが、SWARMというグラニュラーエフェクトの使い勝手がとても良く、適当な音にSWARMエフェクトを入れるだけで、いい感じのアンビエントサウンドがいとも簡単に出来上がります。

  5. R-Kontrol, the iOS controller for Bitwig Studio, gets big updates to Clips, Scenes, Remote Control→Bitwigを使っている人は、iPhoneやiPadでDAWを操作できるApp「R-Kontorl」が使えます。数年前に、Ableton Live対応のTouchableというAppがありましたが、今はアップデートが止まっている状態。今だったら、ライブパフォーマンスなどで、こういった指で直感的に操作できるコントロールアプリを使いたければ、Bitwig+R-Kontrolの組み合わせが良さそうですね。

  1. ミックスが上手くなるコラム

ミキシングが上達するための、動画や記事をご紹介します。

Andrew SchepsはSonarworksを使わない

ミキシングに興味を持って、いろいろ調べている人なら、この「ひげの男」を一度は見たことがあるでしょう。

彼は、Andrew Schepsという有名なミキシングエンジニアで、ある時、自宅のミキシングコンソールを売り払って、ITB(In The Box…つまりハードウェアを使わず、プラグインのみでミックスを行うこと)に移行したり、Wavesと共同でプラグインを制作したりと精力的に活動している男です。

さて、「部屋鳴り」といって、スピーカーの音が部屋で反射し、正確に音をモニターできない状態を解消するため、Sonarworksという補正ソフト&マイクが販売されているのですが、彼はこれを使わないそうです。

Sonarworksは、部屋のクセを取り除いてくれる便利なツールですが、機械的で不自然に聞こえることもあるので、万能ツールではありません。

なぜ彼がSonarworksを使わないのかというと、彼は自分の「部屋」「スピーカーの特性」「ヘッドフォンの特性」を十分理解しているから、だと言います。

キャリアの早いうちから自宅にミキシングルームを構えていた彼は、たとえ部屋鳴りが少々不自然だったとしても、「このスピーカーで、こういう音が鳴っていれば大丈夫」という経験に基づいた判断をしているのです。

僕は、よく部屋を模様替えしたり、引っ越したりするので、Sonarworksは手放せませんが、「どうしてもSonarworksなどの補正ツールの音が好きになれない」という方は、彼の考え方を参考にしてみても良いかもしれません。

特にヘッドフォンなら、どこで聴いても同じ音が聞こえるので、「自分の持っているヘッドフォンの音に慣れる」ということが、ミキシング時の判断において特に重要になってくると思います。

彼は、この対談の中で、いろいろとミキシングの参考になる話をしているので、興味のある方は、ぜひ他の動画も見てみてください。

  1. Okina’s Picks

最後に、音楽的想像力をかき立てる、クリエイティブなコンテンツをどうぞ。

📖本: 世界の調律 - 今週、この本の翻訳をされている方の、サウンドスケープのイベントにお邪魔しました。サウンドスケープという概念や、フィールドレコーディングに興味のある方は、読んでみてはいかがでしょうか。

💿アルバム: Places by Amman / Josh - 北欧っぽい冷たさを含みつつも、どこか温かく懐かしい、毛布のような雰囲気もあわせ持ったアンビエントアルバム。アンビエントの大御所Hammockとのコラボレーション曲もあります。

🖊️記事: Tennyson:曲の展開を生み出す制作テクニック - 親しみやすくも美しいメロディが特徴のTenneyson、彼の一風変わった制作テクニックの数々が紹介されています。

📺YouTube: A Totally Biased Review of the Kirchhoff EQ - 毎回、専門的なチュートリアル動画を発信するDan Worrallによる、Kirchhoff EQのレビュー動画です。Fabfilter Pro-QやDMG EQuilibriumといった、EQプラグインの購入を考えている人は必見です。

週刊「スタジオ翁」メルマガ版 Vol.14

2023年6月23日発行

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