スタジオ翁のメルマガ vol.138

このメルマガは音楽制作からリリースまでを個人で完結させる、次世代の音楽クリエイターに向けて書いています。

プロに限らず、誰もが音楽を作れる時代になり、AIや最新のテクノロジーを活用することで、本来ならエンジニアに任せるような仕事も個人で完結できるようになりました。

あなたがプロを目指している音楽家であれ、これから音楽を仕事にしたいクリエイターであれ、AI等を活用した次世代の音楽制作、時代に合った新しいリリースの方法を模索しているならきっと参考になるはず。

目次

  1. 近況

  2. 作曲とミキシングのアイデア帳

  3. 今週の音楽ニュース

  4. ブログ、note更新のお知らせ

  5. サービス・書籍のご紹介

📝近況

ここでは、最近取り組んでいる音に関すること、仕事のこと、音楽制作のことについて書いていきます。

最近話題の「ミズカラ」というコーチング会社があります。

芸術家の村上隆さんがYouTubeで関わっていたこともあり、個人的にも気になっていた会社ですが、今回ドキュメンタリー映画をYouTubeで公開するということで、整音のお仕事で関わらせていただきました。

内容的にとても興味深く、現代のコーチングがどういったものなのかを知ることもできました。

無料なので、気になる方はぜひご覧になってみてください。

そして今週、面白いニュースを見つけました。

イギリスのBBCまでもが記事にしていたのですが、実際の秋元康と、秋元康の特徴を模した「AI秋元康」が新曲のプロデュース対決をし、どちらに票が多く入るかというテレビ番組の企画があったようです。

その結果なんと、AI秋元康が作った「思い出スクロール」という曲が、3000票以上の差で優勝したとのこと。笑

そしてこの曲は現在、AKB48の67枚目の公式シングルとしてアップロードされているそうです。さらに面白いことに、秋元康さんがその時作った「セシル」という曲は、YouTubeから削除されています。

最近は、AIミュージックレーベル作りに手が回らずなかなか進んでいないのですが、こういった歌詞の学習などが個人レベルでもできるようになれば、本当にあとは「プロデュース力」とか「企画力」の勝負になってきますね。

どのようにAI秋元康を作るのかをChatGPTに尋ねてみたところ、「RAG」や「LoRA」といったAIのチューニング関連技術を活用することで、AI秋元康を作れる可能性があるとのことでした。

おそらくPythonなどの言語を多少扱える必要はあると思いますが、細かくチューニングしなければ、ChatGPT、Cursor、Difyなどのツールを使えば、似たようなことができると思います。

来年、この辺りにチャレンジしてみたいですね。

📘作曲とミキシングのアイデア帳

作曲やミキシングが上達する動画・記事・アイデア・最新のAIプラグインやAI作曲ツールをご紹介します。

サチュレーションでボーカルに存在感を与える方法

「コンプをかけて、EQでブーストしてもボーカルが前に出てこない」

誰しも一度は、こんな経験をしたことがあると思います。

そんな時、サチュレーションでボーカルに歪みを与えることで、音をグッと前に出し、迫力を与えることができます。

でも、「このボーカルはクリーンで繊細だから、歪ませて音を汚してしまうのはなんだか違う気がする」

そう感じる場面もあるかもしれませんね。

しかしサチュレーションは適切にかけることで、クリーンな質感を保ちつつ、音を前に出し、存在感を与えることができます。

その方法は、パラレルサチュレーションを使うことです。

「パラレルサチュレーションって何?」と思う方もいるかもしれませんが、「パラレルコンプレッション」というテクニックなら聞いたことがあるのではないでしょうか。ブログでも紹介したことがありますが、これはリターンチャンネルに強めのコンプレッサーを設定し、センドで送ることで、ダイナミクスを保ちつつ音に迫力を加える手法です。

そしてこの方法は、コンプレッサー以外にも使えます。

サチュレーションも同じようにパラレルでかけることで、クリーンなボーカルの質感を保ちつつ、存在感を与えることができるのです。そしてサチュレーションにはコンプレッサーのように音を圧縮する効果もあるので、歪みによる倍音とコンプのような圧縮感を原音に少しだけ加え、クリーンなボーカルに自然な形で存在感を与えることができるのです。

これはボーカルだけでなく、シンセサイザーや弦楽器など、あらゆる楽器に使うことができます

「音が前に出てこないな」と感じるときは、ぜひパラレルサチュレーションを活用してみてください。

📰 今週の音楽ニュース

スタジオ翁独自の視点で厳選した、世界の最新音楽ニュースをお届けします。
  1. Majors-Klay: メジャー3社がAIスタートアップと同時契約することで示す音楽産業の転換点。

  2. Default Chain: マスタリング時間を削減するデフォルトチェーン構築による即戦力ワークフロー。

  3. Reddit: RedditがSuno向けAIプロンプト生成機能を追加することで進む投稿支援の自動化。

  4. Suno Lawsuit: Sunoが集団訴訟の原告募集サイト公開で直面する著作権問題の深刻化。

  5. Soundtoys: 大幅割引で再注目されるBrian Eno的発想を引き出すサウンドデザイン効率。

  6. Protein: Waldorf「Protein」が小型筐体にMicrowaveの音響DNAを凝縮する新アーキテクチャ。

  7. 8380A: Genelecが最新モニタースピーカー8380Aを発表。

📝ブログ、note更新のお知らせ

🎧サービス・書籍のご紹介

<Splice作曲メソッド>

音楽制作に悩むすべての人におすすめです。

音楽理論や楽器の演奏からスタートする「従来の作曲法」とは異なるアプローチにより、「アイデアが浮かばない」「どこから始めればいいか分からない」といった悩みを解決。アイデアがない状態から1曲を完成させる、実践的なテクニックを身に付けます。

さまざまなジャンルの音楽をゼロから作っていく様子までご覧いただくことで、実践に即した体系的なメソッドを学び、良い音楽を量産する方法を身に付けることができます。

<AI YouTubeチャンネル>

実験的にAIカバーソングを生成し、YouTube上でリリースしています。

ただAI生成するだけでなく、エディット、マスタリング、場合によってはステムミキシングを行い、他にはない最高品質のAI音楽を作っています。実験的なコンテンツも多数投稿予定です。

<著書>

作曲AIに関する書籍です。

アイデアの出し方から作曲、アートワーク制作に至るまで、音楽制作からリリースまでの一連の流れにAIをフル活用する方法を解説しています。購入はKindle Unlimitedで。

<Suno AI、Udio用プロンプト生成ツール>

ChatGPTで使える、プロンプト生成ツールを作りました。

使い方は簡単。自分の好きなアーティスト名を入力するだけで、そのアーティストの特徴を出力してくれます。それを、Suno AIやUdioなどのプロンプトとして入力することで、そのアーティストのテイストに近い音楽を、AI作曲ツールが生成してくれます。

プロンプト選びに悩んでいる方は、ぜひ活用してみてください。

<Chrome拡張>

AI時代は、MYOG(Make Your Own Gear)の時代です。

アーティストが道具を自分で作る未来を模索中。その研究成果として2つのウェブアプリを開発しました。。その研究成果として2つのウェブアプリを開発しました。

週刊「スタジオ翁」ニュースレター版 vol.138

2025年12月5日発行

Blog: https://studio-okina.com/