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スタジオ翁のメルマガ vol.135
このメルマガは音楽制作からリリースまでを個人で完結させる、次世代の音楽クリエイターに向けて書いています。
プロに限らず、誰もが音楽を作れる時代になり、AIや最新のテクノロジーを活用することで、本来ならエンジニアに任せるような仕事も個人で完結できるようになりました。
あなたがプロを目指している音楽家であれ、これから音楽を仕事にしたいクリエイターであれ、AI等を活用した次世代の音楽制作、時代に合った新しいリリースの方法を模索しているならきっと参考になるはず。
目次
近況
作曲とミキシングのアイデア帳
今週の音楽ニュース
サービス・書籍のご紹介
📝近況
ここでは、最近取り組んでいる音に関すること、仕事のこと、音楽制作のことについて書いていきます。

原宿のRolandストアで、話題の新作ドラムマシンTR-1000を触ってきました。
賛否いろいろありますが、個人的にはすごく好きです。
入ってるプリセットも良いので簡単に素敵なビートが作れますし、ドラムだけでなくシンセの音なども入っており、ドラムマシンの中で音楽まで作れてしまいます。
僕は、基本的にXLN AudioのXOというプラグインでドラムを作りますが、ドラムマシンも気晴らしに使いたいなと改めて感じさせてくれた一品でした。
あと、個人的に面白かったこちらの記事も紹介させてください。
要は、AIを研究している大学院生が、AIを使って1年間専門外の経済学を学び、経済学の先生もびっくりするような研究成果を持ってきたという話。
これからの時代は、専門外の分野でいきなり圧倒的な成果を出してくる人々が大量に出てくるでしょうね。
そして音楽領域でも、似たようなことがたくさん起こってくると思います。
なにせ今は、3ヶ月前まで音楽を作ったことなかった人が、いきなりビルボードチャートに乗るような世界線です。
今週のニュースでも取り上げましたが、Deezerの調査によるとAI楽曲のアップロードはなんと「1日5万曲」。これは1日の総配信量の34%以上を占めているそうです。
さらにその音楽がAIかどうか判定できるのは成人のわずか5%程度と言われており、今後はSpotifyなどのプラットフォームは従来型のアーティストが活躍するような場所ではなくなるかもしれません。
そんなとき、本気で自分が愛をこめて作った音楽を届けるにはどうすれば良いのか?
一つの答えが、最近お伝えしているD2Fの活用でしょうね。
ビジネス分野では、D2Fはもはや主流の考え方です。人気YouTuberが自分のオンラインサロンを持っていたり、メールリストや独自プラットフォームを持っていたり。要は、SNSや大手プラットフォームに依存しないスタイルですね。
これが音楽の世界でも当たり前になる日は近そうです。実際、アーティストがD2Fを手軽に実現するためのサービスも登場しました。
これが、次に紹介する「Direct」です。
📘作曲とミキシングのアイデア帳
作曲やミキシングが上達する動画・記事・アイデア・最新のAIプラグインやAI作曲ツールをご紹介します。

D2Fの時代は着々と進んでいる
音楽ディストリビューション大手のDistroKidが、「Direct」というサービスを発表しました。
このDirectはオーディオやビデオ配信にとどまらず、インディペンデントアーティストがわずか数分でオンラインストアを作成し、グッズ販売を開始できる方法を提供します。
こうなってくると大切なのは、いかに自分の音楽を愛してくれるファンを作るかですね。
これまでは、「良い音楽を作る」ことがファンを獲得する、また音楽で稼いでいくための重要な要素でしたが、今は「良い音楽」なんて、AIでいくらでも量産できます。
毎回話題に出して飽き飽きしてしまっているかもしれませんが、こちらのYouTubeに載せているAI楽曲が完成した時は、毎回「この曲良すぎるーーー」と一人で声を上げて感動しています。
そんな「良い音楽」が当たり前の時代に必要なのは、一つは「その作品の裏側に人間が見えるか?」ではないでしょうか。
歌詞のない無機質なテクノを作っている方だと、その辺の表現はなかなか難しいかもしれませんが、どんなジャンルの音楽を作っていても、なんらかの形で、その人らしさや人間らしさを感じさせることは可能だと思います。
例えば、80万人の登録者を抱える人気DJチャンネルFlavour Tripは、楽しくDJしながら世界中を旅することで、単なる音楽配信ではない人間らしさを表現しています。
そんな感じで、アーティストは「音楽を作ってSpotifyで発信する」これまでの方法ではなく、人間らしさを表現するための「自分だけの何か」を音楽とかけ合わせて発信することが、これから求められる資質であり、D2Fの時代を生き残る鍵なのだと思います。(つまり、リミックス力ですね)
良い音楽を作ることももちろん大切ですが、あなただけの「音楽以外の何か」をぜひ探究し、さらに特別な音楽体験をファンに届けるための設計を考えてみてはいかがでしょうか。
📰 今週の音楽ニュース
毎週、世界中から厳選した音楽ニュースをお届けします。

Auto-Tune Metamorph: Auto-Tuneが新プラグイン「Metamorph」を発表、AIボーカル変換で声質を自在に変化可能に。
Epidemic Sound Studio: Epidemic Soundが新DAW「Epidemic Sound Studio」を発表、AI生成とロイヤリティフリー音源を統合。
Deezer AI: DeezerがAI生成音楽の検出精度を強化、透明性と著作権保護の新基準を打ち出す。
AI Country Hit: 米国で初のAI生成カントリー曲が全米1位に、音楽業界に新たな衝撃。
Daniel Rowland: GrammyエンジニアのDaniel RowlandがAI時代の音楽制作哲学を語る。
Spitfire Discover: Spitfire Audioが「Symphony Orchestra Discover」を無料公開、フルオーケストラ音源を誰でも利用可能に。
RipX iPhone: Hit’n’Mixの「RipX DAW」がiPhone版をリリース、分離編集とAIリミックスをモバイルで実現。
🎧サービス・書籍のご紹介

<5日間メール集中講義(無料)>
最近音楽を作り始めた方は、まずこれを読んでみてください。
最短でステップアップできるよう、これまで培ってきた知識と、AIを含めた音楽制作の最新情報を2万字を超える文章に凝縮しました。
<Splice楽曲完成メソッド>
5時間にわたる音楽制作の講座です。
音楽理論や楽器の演奏からスタートする「従来の作曲法」とは異なるアプローチにより、「アイデアが浮かばない」「どこから始めればいいか分からない」といった悩みを解決し、アイデアがない状態から1曲を完成させる実践的なテクニックを身に付けます。
音楽制作の体系的な方法を、短時間で学びたい方におすすめ。
<AI YouTubeチャンネル>
実験的にAIカバーソングを生成し、YouTube上でリリースしています。(2週間で登録者600人ほどです)
ただAI生成するだけでなく、エディット、マスタリング、場合によってはステムミキシングを行い、他にはない最高品質のAI音楽を作っています。実験的なコンテンツも多数投稿予定です。
<著書>
作曲AIに関する書籍です。
アイデアの出し方から作曲、アートワーク制作に至るまで、音楽制作からリリースまでの一連の流れにAIをフル活用する方法を解説しています。購入はKindle Unlimitedで。
<Suno AI、Udio用プロンプト生成ツール>
ChatGPTで使える、プロンプト生成ツールを作りました。
使い方は簡単。自分の好きなアーティスト名を入力するだけで、そのアーティストの特徴を出力してくれます。それを、Suno AIやUdioなどのプロンプトとして入力することで、そのアーティストのテイストに近い音楽を、AI作曲ツールが生成してくれます。
プロンプト選びに悩んでいる方は、ぜひ活用してみてください。
<Chrome拡張>
AI時代は、MYOG(Make Your Own Gear)の時代です。
アーティストが自分のギアを作る可能性を模索中。その研究成果として2つのウェブアプリを開発しました。
週刊「スタジオ翁」ニュースレター版 vol.135
2025年11月14日発行
Blog: https://studio-okina.com/