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スタジオ翁のメルマガ vol.134
このメルマガは音楽制作からリリースまでを個人で完結させる、次世代の音楽クリエイターに向けて書いています。
プロに限らず、誰もが音楽を作れる時代になり、AIや最新のテクノロジーを活用することで、本来ならエンジニアに任せるような仕事も個人で完結できるようになりました。
あなたがプロを目指している音楽家であれ、これから音楽を仕事にしたいクリエイターであれ、AI等を活用した次世代の音楽制作、時代に合った新しいリリースの方法を模索しているならきっと参考になるはず。
目次
近況
作曲とミキシングのアイデア帳
今週の音楽ニュース
サービス・書籍のご紹介
📝近況
ここでは、最近取り組んでいる音に関すること、仕事のこと、音楽制作のことについて書いていきます。

素材に隠れた「声」を自作楽器で見つけていく、亜門さんの連作三作目「BALLOON」をマスタリングさせていただきました。
Spotify、Apple Musicなどで配信されているので、ぜひ聴いてみてください。
さて先週は、長年の夢だった「frue」フェスティバルに行ってきました。
DJだけでなく生演奏のライブもたくさんあり、とても充実した2日間だったのですが、中でもウガンダからはるばるやってきた「Nakibembe」は、このフェス一番の衝撃でした。
シロフォンだけでこれだけ人を惹きつける演奏ができるのか!と感動し、踊り狂ってました。いつ消されるかわかりませんが、どなたかがライブの様子をYouTubeに上げていたので、貼っておきます。
いやー、これは映像では伝わらないですね。
“魂の震える音楽体験” というfrueのコンセプトに相応しい名ライブでした!
最近は仕事でもSunoのようなAIばかり触っているので、生演奏への反動がすごいです。きっと、これからどんどんAI楽曲が増えていく中で、人々が生演奏やライブをさらに求めるようになっていくんだろうな、と感じた今回のフェス体験でした。
📘作曲とミキシングのアイデア帳
作曲やミキシングが上達する動画・記事・アイデア・最新のAIプラグインやAI作曲ツールをご紹介します。

Plaidという電子音楽アーティストによる解説動画がすごく良かったので、ご紹介します。
序盤は正直マニアックすぎて全然真似できないなと思ったのですが、後半でいくつか、すぐにでも実践できそうな金言があったので以下にまとめます。
ポリリズムの活用
動画で紹介されている楽曲は、複数のリズムサイクルが同時に進行するポリリズムが採用されています。
基本的なドラムは4拍子で進行。
303シンセのシーケンスは6拍子のループ。
Falconによるシンセラインは7拍子のループ。
これらが同時に再生されることで、「1拍目を見つけるのが非常に難しい」、複雑でリスナーを飽きさせない構造が生まれています。
ランダム化
クラップのサウンドには、複数のサンプルを用意し、Falconの機能でそれらをランダムにトリガーすることで、人間が手拍子しているような自然な揺らぎを生み出しています。Plaidと全く同じことをするには専用プラグインが必要ですが、同じ音を一曲まるまる使うのではなく、時には変化させてみるというのはすぐに真似できる部分ですね。
永続的なモジュレーション
彼の自作のFalconスクリプトは、「永遠に変調し続け、永遠にランダムなイベントのセット」を生成するように設計されており、サウンドが常に一定にならないよう工夫されています。これはLFOプラグインのような、パラメーターを揺らすためのDAWの機能を使うことで真似できるでしょう。
広範なオートメーション
303のラインには、フィルター、エフェクト、ピッチなど、多数のパラメーターに対する詳細なオートメーションが書き込まれています。これもLFOを使ってパラメーターを揺らすのと似ていますが、LFOと併用して、楽曲を盛り上げたり特定箇所に意図的に変化をつけることで、リスナーを飽きさせないような音作りを意識しましょう。
ざっくり僕が参考になった部分を挙げてみましたが、動画を1時間まるまる観ても、とても学びがあって面白いと思います。
特に電子音楽系、テクノ系の音楽を作っている方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
📰 今週の音楽ニュース
毎週、世界中から厳選した音楽ニュースをお届けします。

Evil Pet: Endorphin.esが奇抜な新シンセ「Evil Pet」を発表、モジュラー感覚で過激なサウンドデザインを実現。
Latin Artists: ラテンアーティストたちが世界音楽シーンを再構築、AI時代の創造的リーダーとして急浮上。
Steve Hauschildt: アンビエント巨匠スティーブ・ハウシルトが愛用プラグインとジェネレーティブ制作哲学を語る。
Aphex Twin Sound: GearnewsがAphex Twin流サウンドデザインの秘密を解説、奇才的プロダクション術を分析。
UMG×Stability AI: ユニバーサル・ミュージックがStability AIと提携、音楽生成AIの安全・合法な活用モデルを共同開発へ。
Sound Blaster: Creativeが新オーディオハブを発表、レトロ感と最新DSP技術を融合したデザインで再始動。
Reggae Sampler: Teenage Engineeringがレゲエ特化型サンプラー兼マイクを発売、カルチャー再解釈の意欲作。
🎧サービス・書籍のご紹介

<5日間メール集中講義(無料)>
最近音楽を作り始めた方は、まずこれを読んでみてください。
最短でステップアップできるよう、これまで培ってきた知識と、AIを含めた音楽制作の最新情報を2万字を超える文章に凝縮しました。
<Splice楽曲完成メソッド>
5時間にわたる音楽制作の講座です。
音楽理論や楽器の演奏からスタートする「従来の作曲法」とは異なるアプローチにより、「アイデアが浮かばない」「どこから始めればいいか分からない」といった悩みを解決し、アイデアがない状態から1曲を完成させる実践的なテクニックを身に付けます。
音楽制作の体系的な方法を、短時間で学びたい方におすすめ。
<著書>
作曲AIに関する書籍です。
アイデアの出し方から作曲、アートワーク制作に至るまで、音楽制作からリリースまでの一連の流れにAIをフル活用する方法を解説しています。購入はKindle Unlimitedで。
<Suno AI、Udio用プロンプト生成ツール>
ChatGPTで使える、プロンプト生成ツールを作りました。
使い方は簡単。自分の好きなアーティスト名を入力するだけで、そのアーティストの特徴を出力してくれます。それを、Suno AIやUdioなどのプロンプトとして入力することで、そのアーティストのテイストに近い音楽を、AI作曲ツールが生成してくれます。
プロンプト選びに悩んでいる方は、ぜひ活用してみてください。
<Chrome拡張>
AI時代は、MYOG(Make Your Own Gear)の時代です。
アーティストが自分のギアを作る可能性を模索中。その研究成果として2つのウェブアプリを開発しました。
週刊「スタジオ翁」ニュースレター版 vol.134
2025年11月7日発行
Blog: https://studio-okina.com/