週刊「スタジオ翁」ニュースレター vol.127

このニュースレターは音楽制作からリリースまでを個人で完結させる、次世代の音楽クリエイターに向けて書いています。

プロに限らず、誰もが音楽を作れる時代になり、AIや最新のテクノロジーを活用することで、本来ならエンジニアに任せるような仕事も個人で完結できるようになりました。

あなたがプロを目指している音楽家であれ、これから音楽を仕事にしたいクリエイターであれ、AI等を活用した次世代の音楽制作、時代に合った新しいリリースの方法を模索しているならきっと参考になるはず。

目次

  1. 近況

  2. 作曲とミキシングのアイデア帳

  3. 今週の音楽ニュース

  4. ブログ更新のお知らせ

  5. サービス・書籍のご紹介

📝近況

ここでは、最近取り組んでいる音に関すること、仕事のこと、音楽制作のことについて書いていきます。

先週ご紹介した「ガンマくん」がChromeウェブストアに公開されました。

もともと「ガンマくん」という名前で作っていたのですが、これは海外にも需要があるのではないかと思い、「Gamma Wave Accelerator」という名前で英語で公開しました。

普段は、起床後や就寝前などにBGMを流す際や、休憩がてらYouTubeを観る際などにこの拡張をオンにし、集中力を高めています。

海外の人にもたくさん使ってほしい!と英語でリリースしましたが、拡張を公開するだけで世界中の人々が使ってくれる、というわけではないでしょうから、広く使ってもらうには何かしらのマーケティングの必要があるかもしれませんね。

とりあえずこのニュースレターをお読みいただいている皆さんに無料で使っていただき、日常の集中力、思考力をAccelerate(加速)するツールとして、ご活用いただければと思います。

さて、先々週くらいにProducer.aiというLLMベースの音楽制作AIサービスを紹介しましたが、招待コードが1名分しかなく、先着となってしまいました。

今回は「Tunee」という、別のLLMベース音楽生成AIの紹介コードが手に入ったので、またまた先着ではありますが、お二人に招待コードをプレゼントいたします。

Code: 9P0MU

Code: G6YE2

こちら使ってみましたが、かなり精度が高いです!

まず、こちらのFloating Pointsみたいな曲を作りたいとしましょう。

これを、毎週ニュースレターの最後にご紹介しているSuno AI Prompt Machineに入れて、プロンプトを作ります。(これはカンマ区切りで出力されるので、文章に直す必要がありますが)

日本語だと、こんな感じの文章になります。

“浮遊感のあるエレクトロニックサウンド、アンビエントとハウスの要素を融合し、ジャズフュージョン的な自由な展開を持つ。シンセを主体とした実験的でミニマルなグルーヴを基盤に、催眠的で幻想的な雰囲気を描き出すインストゥルメンタル。”

そして、それをtuneeに打ち込んで生成。

すると、こんな音楽に仕上がります。

めちゃめちゃ雰囲気近くないですか?!

聞いたことないサービスだったので舐めてたのですが、かなり良い結果が返ってきました。

他にもワンクリックでAIマスタリングをしたり、MVを作ったりできます。AIマスタリングの精度はかなりイマイチでしたが、音楽生成に関しては素晴らしいと思います。

本当に、すごいAIがどんどん出てきますね。こちらもnoteに書き残しておきましたので、興味がある方はご覧になってみてください。

📘作曲とミキシングのアイデア帳

作曲やミキシングが上達する動画・記事・アイデア・最新のAIプラグインやAI作曲ツールをご紹介します。

Ableton Live で「テクノランブル」を作る

テクノランブルって何?と思われるかもしれませんが、これはテクノトラックにおける地鳴りのようなベース、もしくは低域のことです。

キックから簡単に生成できるので、知っておくととても便利なテクニックだと思います。

用意するのはキックだけ。キックのトラックを複製し、100%ウェットのディレイがかかったトラックを作ります。動画ではAbleton Liveのラック機能を使い、一つのトラックの中にこれら2つのトラックを共存させていますが、別のDAWでも同じことが可能です。

そして、100%ウェットのディレイがかかったキックの方に、ディストーションや低域を増幅させるプラグインを入れることで、激しい地鳴りのようなベースを作ることができます。動画ではこのテクノランブルのトラックをモノラルにし、EQで低域だけを再生し、キックをトリガーにしたサイドチェーンコンプを入れていますね。

僕はテクノランブルはステレオでもいいと思いますが、この辺はトラックメーカーの好みになるでしょう。Ableton Liveのプラグインで紹介されていますが、もしサードパーティー製のプラグインを使うなら、iZotope Trashやu-he Saturn、Soundtoys Decapitatorなどで歪ませると、似たような効果が得られると思います。

この動画で紹介されているようなテクノトラックを作りたい方は、ぜひこちらの方法を試してみてはいかがでしょうか。

📰 今週の音楽ニュース

毎週、世界中から厳選した音楽ニュースをお届けします。

個人的に面白いと思ったのは、Brainworksからの新製品、HEARS Perfectionです。

生まれつきの聴覚の違いや加齢によって、本来聴こえるはずの周波数帯域が聴こえず、ミックスを正確に聞き取れなくなってしまうのを改善するツールです。Apple AirPods Proにはこのような自分の聴覚的な弱点を補正してくれる機能がデフォルトで備わっていますが、これをDAWの中で簡単に行うプラグインといった感じです。

実際に使ってみましたが、僕はそれほど聴覚が落ちていないので違いはわずかだったものの、声の帯域がよりクリアになり、聞き取りやすくなった気がします。

ブログ更新のお知らせ

🎧サービス・書籍のご紹介

<Gamma Wave Accelerator Chrome拡張版>

Chrome拡張アプリ開発、第二弾です。

Chrome上で再生される全ての音を「ガンマ波」に変調します。ガンマ波は、深い瞑想状態で現れる脳波であり、学習、記憶、注意力、意識の統合に関わるとされ、「脳を覚醒させる周波数」として注目されています。

日々の、集中力や思考力を高めるツールとしてご活用ください。

<Spotify Memo Chrome拡張版>

Chrome拡張アプリを開発しました。

ついに誰もがアプリケーションを自作できる時代の到来です!これからアーティストは、自分の道具すら自分で作る時代になります。こちらはSpotify Webプレイヤーで再生中の曲に、タイムスタンプ付きのメモを取るための拡張機能。無料ですので、ご自由にお使いください。

<Splice音楽制作講座>

ニュースレターの熱い読者様のフィードバックを経て、新たな項目を追加したり、内容を修正し、リリースに向けて準備中です!

<著書>

作曲AIに関する書籍を出版しました。

アイデアの出し方から作曲、アートワーク制作に至るまで、音楽制作からリリースまでの一連の流れにAIをフル活用する方法を解説しています。Kindle Unlimitedで読めるので、気になった方はチェックしてみてください。

<Suno AI、Udio用プロンプト生成ツール>

ChatGPTで使える、プロンプト生成ツールを作りました。

使い方は簡単。自分の好きなアーティスト名を入力するだけで、そのアーティストの特徴を出力してくれます。それを、Suno AIやUdioなどのプロンプトとして入力することで、そのアーティストのテイストに近い音楽を、AI作曲ツールが生成してくれます。

プロンプト選びに悩んでいる方は、ぜひ活用してみてください。

週刊「スタジオ翁」ニュースレター版 vol.127

2025年9月19日発行

Blog: https://studio-okina.com/