週刊「スタジオ翁」ニュースレター vol.126

このニュースレターは音楽制作からリリースまでを個人で完結させる、次世代の音楽クリエイターに向けて書いています。

プロに限らず、誰もが音楽を作れる時代になり、AIや最新のテクノロジーを活用することで、本来ならエンジニアに任せるような仕事も個人で完結できるようになりました。

あなたがプロを目指している音楽家であれ、これから音楽を仕事にしたいクリエイターであれ、AI等を活用した次世代の音楽制作、時代に合った新しいリリースの方法を模索しているならきっと参考になるはず。

目次

  1. 近況

  2. 作曲とミキシングのアイデア帳

  3. 今週の音楽ニュース

  4. ブログ更新のお知らせ

  5. サービス・書籍のご紹介

📝近況

ここでは、最近取り組んでいる音に関すること、仕事のこと、音楽制作のことについて書いていきます。

先日、新たに「ガンマくん」というChrome拡張を開発しました。

これはChrome上で再生されるすべての音を、脳を覚醒させる効果があるとされるガンマ波の音に変換する拡張です。

実はこの発想の商品はいくつか存在していて、その中でもシオノギヘルスが販売している「kikippa」というスピーカーはかなり高額で売られています。

しかし、ガンマ君を使えばスピーカーをつなぐ必要もなく、パソコン上でガンマ波を聞きながら、kikippaと同様の効果を得られるはずです。kikippaで使われているガンマ波変調はシンプルで真似されやすい技術であるため、「特許」とか「なんとか大賞受賞」といった宣伝の仕方で差別化を図っているのだと思います。

脳波系の音楽に関しては、過去に株式会社VIE様の独自開発のアプリに、僕のガンマ波音楽を掲載していただいたこともあり、この知見をガンマくんの開発に活かすことができました。

この拡張があれば、アプリを入れなくてもChrome上で好きな音楽を聴きながら、自分の脳波をガンマに誘導できるので非常に便利です。

こういうものが個人開発で実現できる時代になったのは、本当にすごいことだと思いますね。

現在リリースに向けて申請中です。

📘作曲とミキシングのアイデア帳

作曲やミキシングが上達する動画・記事・アイデア・最新のAIプラグインやAI作曲ツールをご紹介します。

マニュアルオートメーションの威力

シンプルでパワフルなTipsです。

リードシンセやメロディが単調でつまらない、なぜ自分の曲は平坦で魅力に欠けるのだろうと感じたことはありませんか。そもそもDTMで作った曲は、生演奏に比べてダイナミックさに欠け、どうしても平坦に聞こえてしまうものです。だからこそ、オートメーションを駆使してパワフルに聴かせる必要があります。

ただし、動画のサムネ画像のように単純に手書きでボリュームやカットオフを動かすだけでは不十分です。複数のパラメータを同時並行でリアルタイムに動かすことで、まるで音に生命が宿ったような表現が可能になります。かなり面倒ではありますが、この「ヒューマンタッチ」こそが重要で、生演奏のような深みをDTMで出すなら、オートメーションを組むことは避けて通れません。

たとえば、MOOG ONEのような高級シンセサイザーは、ただ鍵盤を押すだけでも深みのある音が鳴ります。それは裏で複雑なモジュレーションがかかり、さまざまなパラメータが自動的に動いているからです。もちろんLFOを使ってモジュレーションをかけることもできますが、良い塩梅でコントロールするのは意外と難しいもの。

そこで、曲の展開に応じて自分の手でパラメータを操作し、リアルタイムでオートメーションを書き込むと、動画のように深みのあるサウンドが生まれるのです。

📰 今週の音楽ニュース

毎週、世界中から厳選した音楽ニュースをお届けします。

まず、OZONE 12が発売開始となりました。早速使い込んでみましたが、使えるモジュールも増え、全体的に操作性も向上しています。詳しくはブログに書いたので、興味のある方はぜひ読んでみてください。

さらに今週は、他にも興味深いニュースがありました。まずSpotifyがようやくロスレスに対応。順次アップグレードされていくそうです。これまでSpotifyで音楽を探し、Apple Musicでリスニングするという少々面倒なことをしていましたが、これでSpotifyにすべて統合できるかもしれません。プラットフォームごとの音質の違いもあるので、まだ断言はできませんが期待したいところです。

そして、AirPods Proの新しいバージョンも登場しました。ライブ翻訳などさまざまな機能が追加されていますが、やはり気になるのは音質ですよね。AirPodsは「音が悪い」と散々言われてきましたが、ここ数年でかなり進化してきたと思います。今回はさらにアップグレードされたらしく、とても楽しみですね。来週、さっそくApple Storeに試聴しに行ってみようと思います。

  1. iZotope Ozone 12が発売開始

  2. Ableton Live 12.3が公開 〜ステム分離機能やグループトラックバウンスが利用可能に。Spliceとの連携も強化

  3. OXI E16プロトタイプがリーク:グループ化、モーフィング可能なスナップショット機能を備えた新しいMIDIコントローラー

  4. 新しいソフトウェアシンセ「Solstice」は、あらゆるサンプルを演奏可能な風景に変えます

  5. Spotify Premiumにロスレスリスニングが登場。より豊かで詳細なリスニング体験を提供

  6. Apple AirPods Pro 3:「世界最高」のアクティブノイズキャンセリング、ライブ翻訳、次世代サウンドデザインなど、知っておくべきことすべて

  7. IK Multimedia ARC X:新しい音響補正システム

ブログ更新のお知らせ

🎧サービス・書籍のご紹介

<ガンマくん Chrome拡張版>

Chrome拡張アプリ開発、第二弾です。

Chrome上で再生される全ての音を「ガンマ波」に変調します。ガンマ波は、深い瞑想状態で現れる脳波であり、学習、記憶、注意力、意識の統合に関わるとされ、「脳を覚醒させる波」として注目されています。

公開に向けて審査中です。

<Spotify Memo Chrome拡張版>

Chrome拡張アプリを開発しました。

ついに誰もがアプリケーションを自作できる時代の到来です!これからアーティストは、自分の道具すら自分で作る時代になります。こちらはSpotify Webプレイヤーで再生中の曲に、タイムスタンプ付きのメモを取るための拡張機能。無料ですので、ご自由にお使いください。

<Splice音楽制作講座>

ニュースレターの熱い読者様のフィードバックを経て、新たな項目を追加したり、内容を修正し、リリースに向けて準備中です!

<著書>

作曲AIに関する書籍を出版しました。

アイデアの出し方から作曲、アートワーク制作に至るまで、音楽制作からリリースまでの一連の流れにAIをフル活用する方法を解説しています。Kindle Unlimitedで読めるので、気になった方はチェックしてみてください。

<Suno AI、Udio用プロンプト生成ツール>

ChatGPTで使える、プロンプト生成ツールを作りました。

使い方は簡単。自分の好きなアーティスト名を入力するだけで、そのアーティストの特徴を出力してくれます。それを、Suno AIやUdioなどのプロンプトとして入力することで、そのアーティストのテイストに近い音楽を、AI作曲ツールが生成してくれます。

プロンプト選びに悩んでいる方は、ぜひ活用してみてください。

週刊「スタジオ翁」ニュースレター版 vol.126

2025年9月12日発行

Blog: https://studio-okina.com/