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週刊「スタジオ翁」ニュースレター vol.123
このニュースレターは音楽制作からリリースまでを個人で完結させる、次世代の音楽クリエイターに向けて書いています。
プロに限らず、誰もが音楽を作れる時代になり、AIや最新のテクノロジーを活用することで、本来ならエンジニアに任せるような仕事も個人で完結できるようになりました。
あなたがプロを目指している音楽家であれ、これから音楽を仕事にしたいクリエイターであれ、AI等を活用した次世代の音楽制作、時代に合った新しいリリースの方法を模索しているならきっと参考になるはず。
目次
近況
作曲とミキシングのアイデア帳
今週の音楽ニュース
サービス・書籍のご紹介
📝近況
ここでは、最近取り組んでいる音に関すること、仕事のこと、音楽制作のことについて書いていきます。

今週は、Chromeの拡張ツールを開発しました。
このChrome拡張は、Spotifyを再生しているとき、再生されている箇所の音の特徴やメモを記録できるものです。
音楽を聴いていて「この音いいなぁ」とか「このトランジション参考になるなぁ」と思うことは、誰しもよくあると思いますが、それを簡単にメモしておけて、気になった箇所の時間やコメントなどを後から見返すことができるのです。

曲中の好きな箇所でメモを作成

保存したタイムスタンプとメモ書きを、後から見返せる
これまで難しかったChrome拡張の制作も、AIを活用することで、かなり楽になってきました。(アーティストが、自分好みの音楽ツールを制作する時代がくるなんて!)
現在、ウェブストアで公開しようとしていますが、審査に引っかかってしまい、再提出中です。今後はApple Musicにも対応させたり、より便利なツールへと進化させていく予定です。
無料でリリースするつもりなので、審査が通ったら、またこちらでお知らせしますね。
📘作曲とミキシングのアイデア帳
作曲やミキシングが上達する動画・記事・アイデア・最新のAIプラグインやAI作曲ツールをご紹介します。

昨日公開された「Moises AI Studio」は、2025年のNo.1 AIツールとなるかもしれません。
簡単に説明すると、Moises AI Studioは、AIベースでワークフローを進められるAI DAWです。
この分野では、Suno AIが最初に革新的なサービスを提供すると思っていましたが、意外にもMoisesでしたね。Moisesはこれまでもステム分離の精度においてかなり先を行っており、Appleの「iPadアプリオブザイヤー」(2024年)にも輝いています。生成されるステムのクオリティに関しても「一番良いのでは?」と思えるほど高かったので、技術力の非常に高い会社なんだろうと思います。
実際に使ってみましたが、まず元となるアイデアをこちらで入力し、それをAIで拡張していくような機能がメインです。さらに、AIによるミキシング、いわばiZotope Ozoneの簡易版のような機能もDAWに搭載されています。
ただ、まだ生成されるステムの精度は低く、「これはすごい!」と思えるような革新的な要素は見当たりませんでした。個人的には、SUNO AIのDAWの方がより高度なものを出してくるのではないかと思っています。
とはいえ、こういったAIベースのDAWが主流になっていくことで、既存のPro Tools、Cubase、Ableton LiveといったDAWは次第に影を潜めていきそうですね。
今回登場したMOISESのDAWは、動画編集でいうところのCapCutやFilmoraのような立ち位置に近いかなと思います。
プロユースではないですし、むしろプロフェッショナルからはバカにされている節もあるかもしれませんが、いつの時代もそうした軽視されていた技術が急成長・急革新を遂げ、覇権を握ってきました。
こういったもので積極的に音楽を作るのはまだ早い気もしますが、一応ひと通り触ってみて、AIの進化の歴史を体感しておくのが良いと思いますね。
📰 今週の音楽ニュース
毎週、世界中から厳選した音楽ニュースをお届けします。

Appleがマイク市場にも進出です。
資金力が音質や性能に大きく影響する音響ハードウェア業界で、Appleがマイク市場に乗り出したのはかなり注目だと思います。Vision Pro用のコンテンツも充実させる必要があるAppleが、VRに欠かせない「音」に資金を投じるのは自然な流れですね。
多面体マイクは、これまでにもいくつか試したことがありますが、あまり良いマイクがなかった印象です。もし一般販売があれば、Appleが大きなシェアを獲得することになるかもしれませんね。
🎧サービス・書籍のご紹介

<Spotify Memo Chrome拡張版>
(公開審査中)
Chrome用のアプリを開発しました。
SpotifyのWebプレイヤーで再生中の曲に、タイムスタンプ付きのメモを取るための拡張機能です。公開に向けて審査中です。
<Splice音楽制作講座>
ニュースレターの熱い読者様のフィードバックを経て、新たな項目を追加したり、内容を修正し、リリースに向けて準備中です。
<著書>
作曲AIに関する書籍を出版しました。
アイデアの出し方から作曲、アートワーク制作に至るまで、音楽制作からリリースまでの一連の流れにAIをフル活用する方法を解説しています。Kindle Unlimitedで読めるので、気になった方はチェックしてみてください。
<Suno AI、Udio用プロンプト生成ツール>
ChatGPTで使える、プロンプト生成ツールを作りました。
使い方は簡単。自分の好きなアーティスト名を入力するだけで、そのアーティストの特徴を出力してくれます。それを、Suno AIやUdioなどのプロンプトとして入力することで、そのアーティストのテイストに近い音楽を、AI作曲ツールが生成してくれます。
プロンプト選びに悩んでいる方は、ぜひ活用してみてください。
週刊「スタジオ翁」ニュースレター版 vol.123
2025年8月22日発行
Blog: https://studio-okina.com/