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週刊「スタジオ翁」ニュースレター vol.117
このニュースレターは音楽制作からリリースまでを個人で完結させる、次世代の音楽クリエイターに向けて書いています。
プロに限らず、誰もが音楽を作れる時代になり、AIや最新のテクノロジーを活用することで、本来ならエンジニアに任せるような仕事も個人で完結できるようになりました。
あなたがプロを目指している音楽家であれ、これから音楽を仕事にしたいクリエイターであれ、AI等を活用した次世代の音楽制作、時代に合った新しいリリースの方法を模索しているならきっと参考になるはず。
目次
近況
作曲とミキシングのアイデア帳
今週の音楽ニュース
サービス・書籍のご紹介
📝近況
ここでは、最近取り組んでいる音に関すること、仕事のこと、音楽制作のことについて書いていきます。

最近、世間を賑わせているTHE VELVET SUNDOWNの関係者と思われる人物が、楽曲の一部にAIを使用していることを認めたというニュースがありました。
本当に関係者かどうか定かではないようですが、かなり信頼性の高い情報とされています。でも、以前から色んなところで絶対AIを使っている!と言われていましたし、明らかにAIっぽい音が入っていたこともあり、特に驚くようなニュースではありません。
しかし、このバンドがSpotifyで50万人のリスナー、100万回以上の再生を記録し、100万円以上の収入を得ていることには、驚く方も多いのではないでしょうか?
中には、過去の創作物を使ってバイラルを狙う卑劣な行為だとTHE VELVET SUNDOWNを批判する人もいれば、AIがヒット曲を生み出すのは時間の問題だと冷静に受け止めている人もいて、もはやAIを使った作曲は誰にも止められない状況になってきています。
AIを作曲の相棒として活用していくのは、この時代に音楽を作る人にとって、必要不可欠なスキルになっていくでしょう。
僕自身も最近は、AIにメロディをいくつか出してもらい、その中から気に入ったフレーズを人力で手直しする、というようなAIツールを使ったアイデア出しを積極的に取り入れています。普段はなかなか出てこないような楽曲アイデアが次々に生まれるのは本当に面白いですね。
まだまだAI作曲は過渡期ですが、この夏は、AI作曲に関する知見をさらに蓄え、どこかで発信できるようまとめていきたいと思います。
📘作曲とミキシングのアイデア帳
作曲やミキシングが上達する動画・記事・アイデア・最新のAIプラグインやAI作曲ツールをご紹介します。

それって本当にマスタリングと呼べるの?
この動画では、プロのマスタリングエンジニアであるイアン・シェパードが、AIマスタリングの様々な問題点ついて語っています。
中でも、彼が一番AIマスタリングに疑問を感じているのは、
「AIマスタリングツールは、人間のような感情に基づく音楽的判断ができない」
という点です。
そもそもマスタリングとは単にラウドネスを整えたりするだけではなく、感情や音楽性に基づいてアルバム全体の一貫性を整え、その音楽たちが持つ魅力を引き出すことでもあります。
確かに、AIは感性に基づく判断はできず、学習した曲から平均値を割り出し、それを楽曲に当てはめているにすぎません。結局、AIマスタリングといっても、「AIでおおまかにマスタリングを行い、最終的な数%から数十%の部分は人間が最終判断し、微調整する」というように、人間が関わるフェーズが必ず入ってきます。
AIツールが発達する現代だからこそ、
「感性を磨くこと」
「いろんな音楽に触れて感動する体験」
は、これからますます大事になっていくと思います。
AI時代にももちろん、ある程度の知識やテクニックは大切ですが、自分自身の感受性を豊かにするため、たくさんの音楽に触れて「どうしてこの曲に心が動いたのか」「何が自分の好きな音なんだろう」と考える時間が、AI時代に他の人と差別化するための重要な要素になるんだろうということを、この動画で再確認させられました。
📰 今週の音楽ニュース
毎週、世界中から厳選した音楽ニュースをお届けします。

🎧サービス・書籍のご紹介

<著書>
作曲AIに関する書籍を出版しました。
アイデアの出し方から作曲、アートワーク制作に至るまで、音楽制作からリリースまでの一連の流れにAIをフル活用する方法を解説しています。Kindle Unlimitedで読めるので、気になった方はチェックしてみてください。
<Suno AI、Udio用プロンプト生成ツール>
ChatGPTで使える、プロンプト生成ツールを作りました。
使い方は簡単。自分の好きなアーティスト名を入力するだけで、そのアーティストの特徴を出力してくれます。それを、Suno AIやUdioなどのプロンプトとして入力することで、そのアーティストのテイストに近い音楽を、AI作曲ツールが生成してくれます。
プロンプト選びに悩んでいる方は、ぜひ活用してみてください。
週刊「スタジオ翁」ニュースレター版 vol.117
2025年7月11日発行
Blog: https://studio-okina.com/