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週刊「スタジオ翁」ニュースレター vol.114
このニュースレターは音楽制作からリリースまでを個人で完結させる、次世代の音楽クリエイターに向けて書いています。
プロに限らず、誰もが音楽を作れる時代になり、AIや最新のテクノロジーを活用することで、本来ならエンジニアに任せるような仕事も個人で完結できるようになりました。
あなたがプロを目指している音楽家であれ、これから音楽を仕事にしたいクリエイターであれ、AI等を活用した次世代の音楽制作、時代に合った新しいリリースの方法を模索しているならきっと参考になるはず。
目次
お知らせ
近況
作曲とミキシングのアイデア帳
今週の音楽ニュース
サービス・書籍のご紹介
ひとこと
📢お知らせ
先週アナウンスした「Splice音楽制作講座」に関してご質問いただいたので、こちらでもお答えします。
Spliceを使っていなくても、サンプルパックなどを持っていれば実践できる内容なのか
自分はLoopcloudを使っているがこの講座を活用できるか?
という内容をいただきましたが、今、みなさんが持っているサンプルパックなどをうまく使って作曲するというよりは、Spliceのさまざまな検索機能やAI機能をフル活用し、効率よく音楽を制作することを目的とした講座になります。
中には、「曲を発展・完成させるための楽曲構成の理解」「ミキシング・マスタリング」など、音楽制作のさまざまなステージをサポートする内容が含まれますので、一部はSpliceを持っていなくても参考になる内容なのですが、受講中はSpliceに登録してもらった方が講座の内容を100%活かしていただくことができます。
あと、僕が普段、ダンスミュージックや電子音楽系の楽曲を作っていることもあり、そっちに発信が偏っているのですが、基本的にSpliceには膨大なジャンルのサンプルがあるので、もちろんダンス系以外の音楽の制作にも活かしていただけます。
新しいジャンルもどんどん追加されているので、こちらでSpliceが取り扱っているジャンルを確認しつつ、ご検討いただければと思います。

例えば、以下の音楽はほとんどSpliceで作っていますが、こういった生楽器系の音もSpliceには豊富に存在するので、かなり幅広いジャンルの音楽を作ることができます。
自分の得意じゃないジャンルでも、Spliceを使うと作れてしまうのは大きな魅力であり、これは音楽制作を始めたばかりの方だけでなく、Spliceを使ってさまざまなジャンルの音楽制作に挑戦してみたい方にも、ぜひ見ていただきたい内容となっています。
正式アナウンスまで、今しばらくお待ちくださいませ!
📝近況
ここでは、最近取り組んでいる音に関すること、仕事のこと、音楽制作のことについて書いていきます。

先週、frueというフェスに行ってきました。
生音系のサウンドが中心なのですが、最近はAIばかり触っていたこともあって、生演奏のグルーヴがとても新鮮に感じられました。やはりAI時代において、AIとアーティストが差別化できるポイントのひとつとして、生音は大きな要素になると思います。
AIだと、どうしても個性のないサウンドになってしまいますからね。
そうは言っても、短時間で大量の音楽を作るのには、やはりAIは非常に便利です。
最近は仕事でアンビエント系の音楽を作る機会があるのですが、さまざまな種類の音楽を大量に作らなければならないため、がっつりAIを活用しています。
もちろんAIに任せきりにすると、ノイズが入っていたり、途中で変な音になったり、展開がいまいち気に入らなかったりと、いろいろな問題も出てきますので、AIで生成しつつもステム分離したり、Ableton Liveのさまざまな機能やエフェクトを活用したりして、単にAIに作らせただけではない、自分だけのオリジナル感を出し、単なるAI楽曲以上のクオリティに仕上げる方法を模索しています。(今の作曲スタイルは、Splice作曲8割、AI作曲2割といった感じです)
こうしたAbleton LiveやAIを活用した次世代の音楽制作講座も、いずれどこかで開催したいと考えています。AIの進化はとても早いので、これはSplice音楽制作講座とは違い、ライブセミナーで開催することになるかと思います。
そのあたりも決まり次第、ここでお伝えするので、ぜひ日々の発信を確認しておいていただけると嬉しいです。
📘作曲とミキシングのアイデア帳
作曲やミキシングが上達する動画・記事・アイデア・最新のAIプラグインやAI作曲ツールをご紹介します。

「Clip to Zero」テクニック
楽曲のラウドネスを極限まで高めるための「Clip to Zero」というテクニックがあります。
これは、各楽器に「クリッパー」と呼ばれる音のピークをバッサリと刈り取るプラグインを挿し、ピークを抑えることで各楽器の音のラウドネスを高めるという手法です。瞬間的なピークを抑えることで、全体の音圧を上げることができます。
ここではK-CLIPというプラグインを使って、その具体的なやり方が、動画の15:00くらいから紹介されています。K-CLIPでなくても、クリッパーを持っている方なら同じテクニックが使えるので、ぜひ活用してみてください。
やり方としては、クリッパーを使い、知覚できるかできないかくらいのギリギリのところでクリップさせ、そのクリップした状態で各楽器をミックスしていきます。言葉では少し説明しづらいので、実際に動画を見ていただいた方がわかりやすいかもしれません。
この手法で各楽器のラウドネスを極限まで高めることで、最終的にリミッターを使わなくても商業リリースレベルの音圧まで持っていくことができる、とても便利な手法です。
ただし注意点として、Tech Houseなど音圧重視のジャンルには非常にマッチしますが、ダイナミクスが重要な音楽では、同じように各楽器をクリップさせてしまうと、抑揚がなくなり、逆に聴き応えのないサウンドになってしまうので気をつけてください。
同じハウスでもアフロハウスなどはダイナミクスが重要なジャンルなので、その場合はドラムだけ、あるいは特定のシンセだけなど、「この楽器は音圧を高めたい」というものだけを厳選してClip to Zeroの手法を使うことで、適度なダイナミクスを保ちつつ音圧を上げることができます。
ちなみに、この中で紹介されているK-CLIPというクリッパーは僕も使っていて、とてもおすすめです。同じような手法を試してみたい方は、ぜひ購入を検討してみてください。
また、クリッパーについてのブログも過去に書いているので、よかったらこちらも参考にしてみてください。
📰 今週の音楽ニュース
毎週、世界中から厳選した音楽ニュースをお届けします。

🖊️ブログ更新のお知らせ
🎧サービス・書籍のご紹介

<著書>
作曲AIに関する書籍を出版しました。
アイデアの出し方から作曲、アートワーク制作に至るまで、音楽制作からリリースまでの一連の流れにAIをフル活用する方法を解説しています。Kindle Unlimitedで読めるので、気になった方はチェックしてみてください。
<Suno AI、Udio用プロンプト生成ツール>
ChatGPTで使える、プロンプト生成ツールを作りました。
使い方は簡単。自分の好きなアーティスト名を入力するだけで、そのアーティストの特徴を出力してくれます。それを、Suno AIやUdioなどのプロンプトとして入力することで、そのアーティストのテイストに近い音楽を、AI作曲ツールが生成してくれます。
プロンプト選びに悩んでいる方は、ぜひ活用してみてください。
僕の好きなアーティストがKEXPに出てました。
すごくいいですよ。
週刊「スタジオ翁」ニュースレター版 vol.114
2025年6月20日発行
Blog: https://studio-okina.com/