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週刊「スタジオ翁」ニュースレター vol.111
このニュースレターは音楽制作からリリースまでを個人で完結させる、次世代の音楽クリエイターに向けて書いています。
プロに限らず、誰もが音楽を作れる時代になり、AIや最新のテクノロジーを活用することで、本来ならエンジニアに任せるような仕事も個人で完結できるようになりました。
あなたがプロを目指している音楽家であれ、これから音楽を仕事にしたいクリエイターであれ、AI等を活用した次世代の音楽制作、時代に合った新しいリリースの方法を模索しているならきっと参考になるはず。
目次
近況
作曲とミキシングのアイデア帳
今週の音楽ニュース
ブログ更新のお知らせ
サービス・書籍のご紹介
📝近況
ここでは、最近取り組んでいる音に関すること、仕事のこと、音楽制作のことについて書いていきます。

先日、Google I/O(グーグル・アイオー)というカンファレンスが行われ、GoogleのAIに関する情報がいくつか公開されました。
Google I/Oは、Googleが毎年開催している開発者向けの大規模なカンファレンスで、主にソフトウェア開発者や技術者を対象に、新しい技術やサービスの発表、講演、デモンストレーションが行われています。
その中でも音楽関係者、特に「フォーリー」という、映画に足音や効果音などをつける仕事をしている人にとっては、結構衝撃的な内容が公開されました。
いくつかベータバージョンのAIツールは出ていたので、「FoleyもそのうちAIがするようになる」と言ってきましたが、ついにGoogleがFoley機能を内蔵した動画生成AIを出してきました。
フライパンで玉ねぎを焼く動画を生成すると、同時に玉ねぎが焼ける音も生成されます。
まだまだ音としては荒い部分もありますが、ここ数ヶ月のAIの進化を見ていると、ハリウッド映画などの大規模プロジェクトでない限り、「効果音はAIで十分」というクオリティにあと数ヶ月、数年ぐらいで持っていけるようになると思います。
僕もこれまで、映画制作でフォーリーを行っていたこともありますが、もうこの仕事も終わりですね。
メインでやっている音楽制作も、ここ数ヶ月でAIを使う比率が徐々に増えてきました。正直、CMの作曲をしている商業作曲家の方たちは、これからかなりきつくなるでしょう。
多分1年後には、今の僕たちが想像できないようなAIの進化が訪れているでしょうね。最新のAIの動向を追いつつ、これからどのようにクリエイターが生き残っていくべきかを、引き続き模索していきたいと思います。
📘作曲とミキシングのアイデア帳
作曲やミキシングが上達する動画・記事・アイデア・最新のAIプラグインやAI作曲ツールをご紹介します。

ミックスの音量を上げる、つまりラウドネスを最大限に引き出すための3つの方法がこの記事で紹介されています。スタジオ翁でもこのような話題はいくつか取り上げていますが、改めて参考になりそうなものがあれば、自分のミックスに役立ててみてください。
まずはハイパスフィルターをうまく使うということ。余分な低音成分があるとミックスが濁ってしまい、あとでマキシマイザーやリミッターをかけたときに、なぜかメーターばかりが振れて音圧が上がらない、という事態になってしまいます。ハイパスフィルターを適切にかけることでミックスをクリアにし、音圧も最大限に高めることもできるのです。
次にサチュレーション。これは歪みを加えることで聴覚上のラウドネスを高める効果があります。また、サチュレーションにはコンプレッサーのような役割もあり、適度に圧縮して音のピークを抑え、ラウドネスを高めると同時に、全体のダイナミクスを整える役割も果たします。
最後はコンプレッサー。コンプレッサーをうまく使いこなすことで、抑揚の大きい楽器をならし、最終的なマスタリングで無理をせずスムーズに音圧を高めることができるようになります。
これら3つはミキシングの基本的な考え方ですが、どれも非常に奥が深いです。例えば、ハイパスフィルターをかけすぎると楽器の芯がなくなり、全体的につまらないミックスになってしまったり、コンプレッサーをかけすぎると全体が圧縮されすぎて、ダイナミクスのない平坦でつまらない音楽になってしまうこともあります。
最近うまく音圧が上げられないなと感じている方は、これらの基本的な3つの要素をいま一度確認し、ミックスを調整してみてはいかがでしょうか。
📰 今週の音楽ニュース
毎週、世界中から厳選した音楽ニュースをお届けします。

🖊️ブログ更新のお知らせ
今回は、大好きなアンビエントEmily Spragueを取り上げました!
🎧サービス・書籍のご紹介

<著書>
作曲AIに関する書籍を出版しました。
アイデアの出し方から作曲、アートワーク制作に至るまで、音楽制作からリリースまでの一連の流れにAIをフル活用する方法を解説しています。Kindle Unlimitedで読めるので、気になった方はチェックしてみてください。
<Suno AI、Udio用プロンプト生成ツール>
ChatGPTで使える、プロンプト生成ツールを作りました。
使い方は簡単。自分の好きなアーティスト名を入力するだけで、そのアーティストの特徴を出力してくれます。それを、Suno AIやUdioなどのプロンプトとして入力することで、そのアーティストのテイストに近い音楽を、AI作曲ツールが生成してくれます。
プロンプト選びに悩んでいる方は、ぜひ活用してみてください。
週刊「スタジオ翁」ニュースレター版 vol.111
2025年5月30日発行
Blog: https://studio-okina.com/