週刊「スタジオ翁」ニュースレター vol.110

Author

Issey Kakuuchi
May 23, 2025

このニュースレターは音楽制作からリリースまでを個人で完結させる、次世代の音楽クリエイターに向けて書いています。

プロに限らず、誰もが音楽を作れる時代になり、AIや最新のテクノロジーを活用することで、本来ならエンジニアに任せるような仕事も個人で完結できるようになりました。

あなたがプロを目指している音楽家であれ、これから音楽を仕事にしたいクリエイターであれ、AI等を活用した次世代の音楽制作、時代に合った新しいリリースの方法を模索しているならきっと参考になるはず。

目次

  1. 近況

  2. 作曲とミキシングのアイデア帳

  3. 今週の音楽ニュース

  4. ブログ更新のお知らせ

  5. サービス・書籍のご紹介

📝近況

ここでは、最近取り組んでいる音に関すること、仕事のこと、音楽制作のことについて書いていきます。

これまでずっと、何かしらの音楽系機材やプラグインが作れないかと思い、Arduinoというプログラミング言語を勉強したり、基板を買って実際に組み立てたりしていたのですが、何せエンジニアではないので、いつもコーディングの部分でつまずいていました。

ところが最近は、Codexなどの様々なコーディング用AIツールが登場してきたこともあり、「これはいけるんじゃないか？」と思い、改めてプラグイン制作に挑戦してみました。

まずJUCEというVSTプラグインを作るためのツールを使おうとしました。コーディングはChatGPTの新機能Codexに任せてみようと思い、試しにコードを出力させてみたのですが、この新機能はどうやらコードの修正などには優れているものの、一からコードを設計するという用途には向いていないようで、また別のAIを使う必要がありそうだったため、この方法は一旦やめることに。

次に、Max for Liveなら簡単に作れるのではないかと思い、基本的な概念をYouTubeで学び、ChatGPTに指示を出して作成してもらったところ、ちょっと苦戦しましたが、シンプルなバイノーラルエフェクトを作ることができました。

「バイノーラルLFO」というプラグインですが、厳密に言うとバイノーラルエフェクトではありません。脳を刺激して、アルファ波やガンマ波など特定の脳波を誘発するためのプラグインです。

最近も落合陽一さんのピクシーダストテクノロジーズが、脳を鍛えるイヤホンとして新たな商品を出していましたが、こういった商品は、今回僕が作ったバイノーラルLFOがイヤホンに内蔵されているだけだと思います。なので、DAW上で作る音楽に適用する場合なら、このようなプラグインがひとつあれば充分なのです。

実際に作ってみると、思わぬところでノイズが入ったり、いろいろとトラブルが起きたりしましたが、改良してこれらの問題が解決できれば、販売もしていこうかなと考えています。

最近ニュースで見ましたが、IT大手のマイクロソフトでもすでにコードの30%がAIによって書かれているようで、今後AIが進化するにつれ、この比率はますます高まっていくことでしょう。

そうなれば、僕たち一般人でもアイデア次第で様々な音楽系のプロダクトが作れるようになり、音楽制作の楽しみがますます増えるようになるかもしれませんね。

今後も、音楽系AIだけでなくコーディング系AIも追い続け、どのようなことができるか実験していきたいと思います。

📘作曲とミキシングのアイデア帳

作曲やミキシングが上達する動画・記事・アイデア・最新のAIプラグインやAI作曲ツールをご紹介します。

僕も音楽制作を始めた頃、かなりお世話になりましたが、世界中に拠点を持つ大手教育プラットフォームであるPoint Blankが、なんとAbleton LiveとLogic Proの無料コースをリリースしました。

DAWの基本操作についてはYouTubeでもたくさんのチュートリアルがありますが、このようにノウハウを持った大手が、体系的なコースを提供しているというのはかなり魅力的だと思います。

基礎的な内容にはなっていますが、音楽を作り始めたばかりの方や、もう一度基礎を復習したいという方は、ぜひこちらに登録してコースを受けてみてはいかがでしょうか。

📰 今週の音楽ニュース

毎週、世界中から厳選した音楽ニュースをお届けします。

🖊️ブログ更新のお知らせ

数年ぶりにGEAR SUNDAYという企画を復活させました。(5年ぶりくらい?)

アーティストがどんな機材を使って音楽を作っているのかを知るのは、今も昔もすごくワクワクします。数年前は使用機材にのみ焦点を当てていましたが、今回新たにアーティストの作曲哲学や習慣、インスピレーションの源にまで焦点を当てて記事にまとめています。

まずは、大好きなアーティストの一人であるFKJについて書きました。

GEAR SUNDAY: FKJの音楽制作手法と使用機材 | スタジオ翁

主に、エレクトロニックミュージックを制作する海外アーティストに焦点を当て、彼らが「どのような機材を使用して音楽を作っているのか」また、「どのような音楽哲学や日頃の習慣が、彼らの素晴らしい音楽を形作っているのか、そしてインスピレーションの源に

🎧サービス・書籍のご紹介

<著書>

作曲AIに関する書籍を出版しました。

アイデアの出し方から作曲、アートワーク制作に至るまで、音楽制作からリリースまでの一連の流れにAIをフル活用する方法を解説しています。Kindle Unlimitedで読めるので、気になった方はチェックしてみてください。

<Suno AI、Udio用プロンプト生成ツール>

ChatGPTで使える、プロンプト生成ツールを作りました。

使い方は簡単。自分の好きなアーティスト名を入力するだけで、そのアーティストの特徴を出力してくれます。それを、Suno AIやUdioなどのプロンプトとして入力することで、そのアーティストのテイストに近い音楽を、AI作曲ツールが生成してくれます。

プロンプト選びに悩んでいる方は、ぜひ活用してみてください。

週刊「スタジオ翁」ニュースレター版 vol.110

2025年5月23日発行

Blog: https://studio-okina.com/