週刊「スタジオ翁」ニュースレター vol.109

このニュースレターは音楽制作からリリースまでを個人で完結させる、次世代の音楽クリエイターに向けて書いています。

プロに限らず、誰もが音楽を作れる時代になり、AIや最新のテクノロジーを活用することで、本来ならエンジニアに任せるような仕事も個人で完結できるようになりました。

あなたがプロを目指している音楽家であれ、これから音楽を仕事にしたいクリエイターであれ、AI等を活用した次世代の音楽制作、時代に合った新しいリリースの方法を模索しているならきっと参考になるはず。

目次

  1. 近況

  2. 作曲とミキシングのアイデア帳

  3. 今週の音楽ニュース

  4. サービス・書籍のご紹介

📝近況

ここでは、最近取り組んでいる音に関すること、仕事のこと、音楽制作のことについて書いていきます。

今週はこんなプラグインを買いました。

これはSound IDのようにシステム全体に適用されるオーディオエフェクトで、自分が持っているVSTプラグインを好きなようにアサインし、パソコンの出力を調整することができます。これを使ってヘッドフォンの音を調整してみたところ、なんと自宅に置いているAmphionと同じくらいの聴き心地を再現することができました。

発売当初から使っているUltrasoneの音が生まれ変わり、音楽を聴くのがさらに楽しくなりましたね。

ちなみに、少し前から話題になっているKii Audioの新しいスピーカー「Kii SEVEN」も昨日試聴してきましたが、思ったよりも低音が薄く、Kii THREEと比べてると、どうしても低音の見えづらさが目立つかなという印象でした。

それでも一般的なスピーカーよりは低音が出るので、小さな部屋でSound IDなどを使って調整すれば、かなり良いモニタリングシステムになるかもしれません。

日本円で1,500,000円ほどで売られるとの噂ですが、この価格であれば、人によっては価値があるかもしれませんね。一方のKii THREEは3,000,000円を超えてしまったので、かなり売れているアーティストでもない限り、なかなか購入できないと思います。

ところが今回ご紹介したSoundSourceを使えば、ヘッドフォンの音をかなりモニタースピーカーライクに仕上げることができるので、1,000,000円のスピーカーを買うくらいなら、100,000円〜300,000円くらいのイヤホンを買って調整した方が、ほとんどの人にとって良いのではないかと感じました。

さて、一体どうやってヘッドフォンをスピーカーライクな理想的な音に仕上げるのかという話になってきますが、おおよそ使うプラグインや調整方法、ターゲットカーブが見えてきたものの、まだ微調整中ですので、この方法が固まり次第、皆さんにも共有していきたいと思います。

📘作曲とミキシングのアイデア帳

作曲やミキシングが上達する動画・記事・アイデア・最新のAIプラグインやAI作曲ツールをご紹介します。

先ほどのヘッドフォン補正のヒントにさせてもらったのがこの記事。

ここではヘッドフォンでミキシングするための方法が書かれていますが、中でも参考にしたのはクロスフィードです。クロスフィードとは、「両耳で両方のチャンネルを聴くこと」であり、このおかげで、スピーカーのパンニングは自然に聞こえます。一方、ヘッドフォンでは片耳からの音は片耳のみしか聴けないので、スピーカーで再生した時に違和感を感じてしまうのです。

これをソフトウェアで補正することにより、ヘッドフォンミックスでも、適切に処理された部屋でスピーカーを使ってミキシングした時の体験をシミュレート、より正確なイメージング、より優れた奥行き感、そしてよりフラットな周波数特性を実現するんですね。

この記事に載っているプラグインもすべて試しましたが、一番自然で良かったのは記事に載っていないRealphonesです。

他にも、最近登場した「Space Replicator Utility by LEWITT」も試しましたが、空間が広くなりすぎてしまい、どうもしっくりきませんでした。

Realphonesはクロスフィードをスピーカーに近づけ、さらにヘッドフォン特有の聞き疲れも軽減してくれます。

これ以外にもSoundSourceを使ってプラグインを入れているのですが、色々と検証段階なので、また別の機会に具体的な方法をご紹介しますね。

📰 今週の音楽ニュース

毎週、世界中から厳選した音楽ニュースをお届けします。
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  7. L-ACOUSTICS、DJ向け空間オーディオツールを発表

🎧サービス・書籍のご紹介

<著書>

作曲AIに関する書籍を出版しました。

アイデアの出し方から作曲、アートワーク制作に至るまで、音楽制作からリリースまでの一連の流れにAIをフル活用する方法を解説しています。Kindle Unlimitedで読めるので、気になった方はチェックしてみてください。

<Suno AI、Udio用プロンプト生成ツール>

ChatGPTで使える、プロンプト生成ツールを作りました。

使い方は簡単。自分の好きなアーティスト名を入力するだけで、そのアーティストの特徴を出力してくれます。それを、Suno AIやUdioなどのプロンプトとして入力することで、そのアーティストのテイストに近い音楽を、AI作曲ツールが生成してくれます。

プロンプト選びに悩んでいる方は、ぜひ活用してみてください。

週刊「スタジオ翁」ニュースレター版 vol.109

2025年5月16日発行

Blog: https://studio-okina.com/