このメルマガは、AIや最新テクノロジーをいち早く取り入れ、新しいアプローチで音楽を生み出す「次世代のクリエイター」に向けて書いています。
プロに限らず、誰もが音楽を作れる時代。AIや最新のテクノロジーを活用することで、本来ならエンジニアに任せる仕事も、個人で完結できるようになりました。
あなたがプロの音楽家であれ、これから音楽を仕事にしたいクリエイターであれ、AIを活用した次世代の音楽制作や、時代に合った新しいリリースの方法を模索しているならきっと参考になるはず。
目次
お知らせ
近況
作曲とミキシングのアイデア帳
今週の音楽ニュース
サービス・書籍のご紹介
📢お知らせ
来週、Okina Audioからコンプレッサーをリリースします!

これでいよいよEQ、コンプレッサー、サチュレーターというミキシング3種の神器が揃いますね。Morph Compは、3つの代表的なコンプレッサーの音色を組み合わせることで、より柔軟に様々なサウンドのミキシングに対応できるコンプレッサーです。
今回も無料ですが、面白い試みとして5種類のスキンを作り、それをパソコン上のIDと紐付けて、それぞれランダムでどのスキンが来るかわからない仕様にしました。どれが当たっても中の機能は変わりませんが、見た目がそれぞれ個性的なので、「あっちのスキンの方が良かったー!」ということもあるかもしれませんね。笑
コンプの音色的にも、かなり満足のいくものに仕上がったと思います。
これまでDAW専用のコンプしか使ったことがなかった、という方から、サードパーティ製をいくつも使いこなしている方まで楽しめるコンプになっています。
お楽しみに!
📝近況
ここでは、最近取り組んでいる音に関すること、仕事のこと、音楽制作のことについて書いていきます。

最近、音楽業界の方とお話しする機会が続いているのですが、みなさん口を揃えて「音楽業界がやばい」と言っています。
以前「AI時代の作曲術」で、個性のない作曲家は埋もれていくと書きましたが、今は個性のある作曲家でさえ「AIの方が安いし早いし、AIでいいや」と置き換えられ始めている気がします。業界の最前線にいる人ですら、裾野を広げないとやっていけないと言っているくらいなので、音楽だけで稼ぐのは相当難しくなるでしょう。
音楽に限らず、この先ほとんどの人は今のようには稼げなくなるかもしれません。正直、変化が速すぎて、なんとなくは予想できても、この先どうなるのかは誰にもわからないと思います。
では、そんな先の見えないAI時代を、どう生きていけばいいのか。僕は、子供の感性がヒントになると思っています。
たとえば子供に「今日は何でも好きなもの食べていいよ」ときくと、「かまぼこ!」なんて答えたりしませんか?親としては「いやいや、何でもいいって言ってるんだから、焼肉とかお寿司とかでしょ」と言いたくなるのでしょうが、たぶんそうじゃないんです。値段や損得で選ばずに、好きなものをまっすぐ選ぶ。
僕らは大人になるにつれて、損得で選ぶことを覚えます。稼げそうな仕事、流行っているジャンル、うまくいっている人のやり方。これまでは、それでも良かったかもしれません。
でもAIの時代は、誰でも同じ技術を手にできます。稼げそうだからと人と同じことをしても、同じことをする人はいくらでもいるし、AIを使ってもっと速く、安くコピーされるでしょう。
そこで残るのが、その人だけの「好き」です。技術は真似できても、なぜかかまぼこが好き、という感覚は誰にも真似できません。だからこそ、そこに独自の価値が生まれる。まだ社会に毒されていない子供の感覚が、これからすごく必要になると思うのはそのためです。
世界がこれまでと全く違うところになり、多くの人が一度は絶望するかもしれません。でもその先にはまた違った世界が開けてくるはずです。好きなものを選んでいるから楽しいし、それが自分にしかない価値にもなる。そこで楽しく生きているのは、かまぼこを選べる人だと思うんです。
じゃあ、今みなさんが磨いている音楽制作のスキルは、もう価値がなくなるのか。それは来週書いてみようみようと思います。
ということで、今週の僕からのメッセージはひとつ。
かまぼこを選べる人になろう!
📘作曲とミキシングのアイデア帳
作曲やミキシングが上達する動画・記事・アイデア・最新のAIプラグインやアーティストのAI活用術をご紹介します。

音楽に合わせて、映像も自分で作ってみよう
音楽を作っていると、「この曲に映像をつけられたらなー」と思うことはありませんか?
MVまでいかなくても、ライブの後ろに流す映像や、音に合わせて動くビジュアル。そういうものを作る定番ソフトが、TouchDesignerです。
ただ、TouchDesignerはとにかく覚えることが多い。ノードと呼ばれる部品を線でつないで映像を組み立てるのですが、どの部品をどうつなげばいいのか、最初はまったくわかりません。僕も、これまで何度も試みて、結局諦めてしまっていました…
そこで最近試しているのが、AIにTouchDesignerを直接操作してもらう方法です。
使うのは、MCPという仕組み。ざっくり言うと、AIとほかのソフトをつなぐ「通訳」のようなものですが、これを入れると、ClaudeなどのAIが、TouchDesignerの中に部品を置いたり、線をつないだり、数値を変えたりできるようになります。
たとえば、こんなふうに頼みます。
TouchDesignerで、マイクから入った音を解析して、低音に合わせて膨らむ球体を作って。色は暗めの青で。
するとAIが、音を解析する部品、球体を描く部品などを置いて、それぞれをつないでくれます。画面を見ながら「もう少しゆっくり」「残像をつけて」と言葉で直していけるので、ノードの名前を知らなくても形になっていきます。
もうひとついいのは、AIが組んだものがそのまま教材になることです。出来上がったノードを開いて「この部品は何をしているの?」と聞けば説明してくれるので、触りながら覚えられます。
TouchDesignerのMCPはいくつか公開されています。僕は既存のものをいくつか試したあと、自分の制作に合わせたものを作りました。Claudeに聞けば、いくつか信頼できるものを探してきてくれるでしょう。
これまで映像制作をしたいけど、技術的な問題で諦めていた人は、AIと組み合わせてTouchDesignerを始めてみてはいかがでしょうか。
📰 今週の音楽ニュース
スタジオ翁独自の視点で厳選した、世界の最新音楽ニュースをお届けします。

Teenage Engineering Ends Synths: OP-1で知られるTeenage Engineeringについて、創業者ジェスパー・コウトホーフトがHighsnobietyの取材で「シンセの製造を即時にやめる」と話した記事。理由は「シンセは会社の可能性を狭めている。もっと実験的なものを作りたい」というもので、一部の新しい計画は発表まで5〜10年かかるという。
Chainsmokers Go Indie: The Chainsmokersが11年在籍したソニー傘下のColumbia/Disruptorを離れ、インディーに戻ると発表した。
Deezer AI Toggle: Deezerは、AIだけで作られた曲を検索やおすすめから外す切り替えスイッチを、2026年末までに全世界で始める。
Court and Spark Reel-to-Reel: ジョニ・ミッチェルの『Court and Spark』がオープンリールのテープで再発され、記事は録音の強弱をすべて残した「マスター品質」をうたう(読めたのは冒頭だけ)。
Polygonia × Splice in Live: ミュンヘンのプロデューサーPolygoniaが、Ableton Live内のSplice連携でサンプルを探し、加工して曲に仕上げる動画。この曲のLive Setをダウンロードできる。
AI Streaming Fraud Sentence: ノースカロライナ州の男性が、AIで作った曲をボットで再生させて約800万ドルのロイヤリティをだまし取り、禁錮18か月の判決を受けた。
TE EP-35 K.O.-AMP Leak: Teenage EngineeringがFCCに出した書類から、EPシリーズの電池式ポータブルアンプ「EP-35 K.O.-AMP」を作っていることがわかった、という記事。30Wのウーファーと25Wのツイーターを積み、マイク・ギター・ラインの入力、エフェクト、Bluetooth、FMラジオを備えるが、価格と発売時期はまだ出ていない。
🎧サービス・書籍のご紹介

<プラグインメーカー「Okina Audio」>
Okina Audioは、「スタジオ翁」から生まれたプラグインメーカー。
音楽のクオリティは、道具にいくら払えるかではなく、アイデアとセンスで決まるべきです。道具へのアクセスの格差が、そのまま音楽の格差になるべきではありません。
だから、Okina Audioのプラグインは、すべて無料で提供します。
<VSTプラグイン「BinauralShift」>
音響心理学と脳科学に基づいた、「機能性音楽」のためのオーディオプラグイン。
バイノーラルビートを用いて、デルタ波(睡眠)やベータ波(集中)などを科学的に誘発します。バイノーラルビート生成だけでなく、「モノラルビート」 「アイソクロニックトーン」 、さらには「モンロー研究所が開発した特殊なバイノーラルビート」まで、このプラグイン一つで完結。
また、既存のサウンドにバイノーラル変調をかけることで、音楽としての自然さを保ったまま脳波誘導効果を付与でき、Apple「Sound Therapy」のような音楽を自分で作ることもできます。
<Splice作曲メソッド>
音楽制作に悩む初心者・中級者におすすめです。
音楽理論や楽器の演奏からスタートする「従来の作曲法」とは異なるアプローチにより、「アイデアが浮かばない」「どこから始めればいいか分からない」といった悩みを解決。アイデアがない状態から1曲を完成させる、実践的なテクニックを身に付けます。
さまざまなジャンルの音楽をゼロから作っていく様子までご覧いただくことで、実践に即した体系的なメソッドを学び、良い音楽を量産する方法を身に付けることができます。
<著書>
作曲AIに関する書籍です。
アイデアの出し方から作曲、アートワーク制作に至るまで、音楽制作からリリースまでの一連の流れにAIをフル活用する方法を解説しています。購入はKindle Unlimitedで。
<Suno AI、Udio用プロンプト生成ツール>
ChatGPTで使える、プロンプト生成ツールを作りました。
使い方は簡単。自分の好きなアーティスト名を入力するだけで、そのアーティストの特徴を出力してくれます。それを、Suno AIやUdioなどのプロンプトとして入力することで、そのアーティストのテイストに近い音楽を、AI作曲ツールが生成してくれます。
プロンプト選びに悩んでいる方は、ぜひ活用してみてください。
週刊「スタジオ翁」ニュースレター版 vol.183
2026年10月16日発行
Blog: https://studio-okina.com/

