このメルマガは、AIや最新テクノロジーをいち早く取り入れ、新しいアプローチで音楽を生み出す「次世代のクリエイター」に向けて書いています。

プロに限らず、誰もが音楽を作れる時代。AIや最新のテクノロジーを活用することで、本来ならエンジニアに任せる仕事も、個人で完結できるようになりました。

あなたがプロの音楽家であれ、これから音楽を仕事にしたいクリエイターであれ、AIを活用した次世代の音楽制作や、時代に合った新しいリリースの方法を模索しているならきっと参考になるはず。

目次

  1. お知らせ

  2. 近況

  3. 作曲とミキシングのアイデア帳

  4. 今週の音楽ニュース

  5. サービス・書籍のご紹介

📢お知らせ

「my best plugin.」をリリースしました。

普段たくさん制作していると、こんな疑問が湧きませんか?

「自分って、結局どのプラグインをいちばん使っているんだろう?」

手癖も、よく使うプリセットも、なんとなくは覚えている。でも、はっきりとは答えられない。確かめようにも、過去のプロジェクトを1から開いていくのは大変すぎる!

「my best plugin.」は、そんな悩みから生まれたサービスです。

Ableton Live専用ですが、プロジェクトをアップロードするだけで、よく使う音源やエフェクトのランキングが表示されます。

EQやリバーブなど、部門ごとの定番プラグインまで把握でき、シンセサイザーでよく使うプリセットがわかるほか、自分がどんなタイプのプロデューサーなのかを診断する機能もついています。

自分の手癖やよく使うプラグインを、あらためて把握しておきたい方は、よかったら試してみてください。

「自分って、こんなプラグインやプリセットをよく使ってたんだ!」という、意外な発見があるかもしれませんよ。

📝近況

ここでは、最近取り組んでいる音に関すること、仕事のこと、音楽制作のことについて書いていきます。

今週は、鎌倉に来ています。

最近は日常業務やプラグイン制作にAIを使うことが多く、一日中画面に張り付きっぱなしで体に疲れが出ていました。そこでバランスを取るために、意図的にデジタルと距離を置く時間を作ることにしたのです。

大げさな旅でなくても、電車で行ける場所に1泊するだけで、ぐるぐるした頭の中がだいぶ解きほぐれるものですね。

AIが登場して、仕事をしようと思えば24時間できるようになりましたが、これからの時代、アナログとデジタルのバランスを意図して取ることが、より重要になってくるでしょう。

さて今週、ようやく音楽制作の仕事が一区切りつきました。

今回はAIを使わずに作曲したのですが、久しぶりにこうやって音楽を作ってみて気づいたことがあります。それは、僕は「彫刻のような作曲」をすることが多いということ。

これはどういうことか。

まず、音楽を作り始めるときは、直感のままに素材をとにかく積み上げていきます。Spliceの素材を並べ、MIDIも弾いて、ソフトシンセやアナログシンセをどんどん重ねる。この段階では、構成や音の響きなどは特に考えません。とにかく素材を増やすのがコツです。

当然、重ねただけの素材を聴くとぐちゃぐちゃで、あまり整っていません。ここから、まるで彫刻家のように不要な部分を削り取って美しい部分だけを残し、全体の調和を整えていきます。足していく作曲というより、石の塊から、形を彫り出すような感覚ですね。

僕はピアノやギターを弾くのがあまり得意ではありません。そのため、「このコードにはこんなメロディーを重ねよう」と一発録りをしたり、MIDIで音を書いたりするのが苦手です。その方法がたまたまハマる場面もありますが、僕には重ねて削る方法のほうがしっくりくるので、普段からよく使っています。

重厚なサウンドのアンビエントやドローンを作るときには特に重宝しますし、それ以外の作曲でも、この手法を使うとうまくいくことが多いと、最近になって気づきました。

コードを弾いて、メロディーを弾いて、ベースを弾いて……と、MIDIキーボードを次々に弾きながら作曲していく人にはとても憧れます。ただ、それには音楽的なバックグラウンドが必要で、得意ではない人もいるでしょう。

そんなときは、今日ご紹介した彫刻的な作曲手法を、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。

📘作曲とミキシングのアイデア帳

作曲やミキシングが上達する動画・記事・アイデア・最新のAIプラグインやアーティストのAI活用術をご紹介します。

バイノーラルプラグインで、あなたの曲に特殊な空間を

空間処理といえばリバーブやディレイが定番ですが、ちょっと変わった処理をひとつご紹介します。

オーディオビジュアルを使ったライブでも知られるマックス・クーパーは、音へのこだわりが強く、立体音響のライブも行っています。そんな彼が、自分の曲で独特の空間を表現するために使っているのが、バイノーラルプラグイン。

なかでもゼンハイザーの無料プラグインを使っていると、インタビューで公言しています。

現在は廃盤ですが、ゼンハイザーのメルマガに登録すれば今でもダウンロードが可能。(dearVR MICROというのが後継です)

僕もアンビエントの制作でたまに使っていますが、リバーブとは違い、これを通すと音の回り方がガラッと変わるので、飛び道具として重宝しています。

環境の響きを再現するコンボリューションリバーブに近い感覚ですが、これはこれで独特の味があって面白いんですよね。

頭の形や耳の形は人によって違うため、聞こえ方も人それぞれ。なので、これを使えばすべての人に音が回って聞こえる、というわけではありません。それでも、空間処理の飛び道具としてひとつ持っておくと面白いプラグインです。

アンビエント音楽や、特殊な空間の響きを取り入れた音楽を作りたい方は、ぜひ試してみてください。

📰 今週の音楽ニュース

スタジオ翁独自の視点で厳選した、世界の最新音楽ニュースをお届けします。
  1. DAWception Mini DAW: JohnmanJohnstonが作った無料のオープンソースVST3で、Ableton Live Liteなどのトラック数制限を避けるため、ホストDAW内で無制限のステレオトラックとグループを使える(Win/Mac/Linux対応)。

  2. Nagi Plugin Builder: Minimal InstrumentsのNagiは、ノードエディタ・Faust DSP・UIデザイナーを1つにまとめ、コードなしでVST3/CLAPプラグインを作れるデスクトップアプリ(現在は無料のパブリックベータ)。

  3. AMORPH Beta: 無料のAIプラグインビルダーのベータ版で、40以上のプリセットパッチを同梱(ページ上では開発元の記載なし、詳細情報も少ない)。

  4. Hybrid Reverb Guide: AbletonのHybrid Reverbでコンボリューションとアルゴリズムの2エンジンを組み合わせ、空間づくりからリズミックなディレイ、金属的な質感、オートメーションまで扱う6つの実践テクニック。

  5. Fred Again AI: Fred Again..がAI音楽ツールを試す気は全くないと語り、試行錯誤する制作プロセスこそが魔法だと主張。

  6. Scaler EQ Pro: Scaler Musicが、MIDIキーボードで選んだ音階に沿った周波数処理をEQとして演奏できる「Live Band」機能を備えたEQを発売($99、既存ユーザーのアップグレードは$29)。

  7. Hybrid Synths Roundup: デジタルオシレーターとアナログフィルターを組み合わせたBehringer Wave、Arturia MiniFreak、Novation Summit、UDO Super Gemini、Groove Synthesis 3rd Waveの5機種を紹介。

  8. Polyend Loop: Polyendが発表したギタリスト向けのループ兼マルチエフェクトで、4つのループトラック、350以上のリズムパターンと500以上のキットを持つドラムマシン、100以上のエフェクトを搭載し、$599で2026年10月発売予定。

🎧サービス・書籍のご紹介

<プラグインメーカー「Okina Audio」>

Okina Audioは、「スタジオ翁」から生まれたプラグインメーカー。

音楽のクオリティは、道具にいくら払えるかではなく、アイデアとセンスで決まるべきです。道具へのアクセスの格差が、そのまま音楽の格差になるべきではありません。

だから、Okina Audioのプラグインは、すべて無料で提供します。

<VSTプラグイン「BinauralShift」>

音響心理学と脳科学に基づいた、「機能性音楽」のためのオーディオプラグイン。

バイノーラルビートを用いて、デルタ波(睡眠)やベータ波(集中)などを科学的に誘発します。バイノーラルビート生成だけでなく、「モノラルビート」 「アイソクロニックトーン」 、さらには「モンロー研究所が開発した特殊なバイノーラルビート」まで、このプラグイン一つで完結。

また、既存のサウンドにバイノーラル変調をかけることで、音楽としての自然さを保ったまま脳波誘導効果を付与でき、Apple「Sound Therapy」のような音楽を自分で作ることもできます。

<Splice作曲メソッド>

音楽制作に悩む初心者・中級者におすすめです。

音楽理論や楽器の演奏からスタートする「従来の作曲法」とは異なるアプローチにより、「アイデアが浮かばない」「どこから始めればいいか分からない」といった悩みを解決。アイデアがない状態から1曲を完成させる、実践的なテクニックを身に付けます。

さまざまなジャンルの音楽をゼロから作っていく様子までご覧いただくことで、実践に即した体系的なメソッドを学び、良い音楽を量産する方法を身に付けることができます。

<プライベートレッスン>

作曲・ミキシング・マスタリングに関するプライベートレッスンのご案内です。

具体的なレッスン内容は、事前のメールやZoomなどでヒアリングしてから決めていくことも可能です。

まずは、お気軽にご連絡ください。

<著書>

作曲AIに関する書籍です。

アイデアの出し方から作曲、アートワーク制作に至るまで、音楽制作からリリースまでの一連の流れにAIをフル活用する方法を解説しています。購入はKindle Unlimitedで。

<Suno AI、Udio用プロンプト生成ツール>

ChatGPTで使える、プロンプト生成ツールを作りました。

使い方は簡単。自分の好きなアーティスト名を入力するだけで、そのアーティストの特徴を出力してくれます。それを、Suno AIやUdioなどのプロンプトとして入力することで、そのアーティストのテイストに近い音楽を、AI作曲ツールが生成してくれます。

プロンプト選びに悩んでいる方は、ぜひ活用してみてください。

週刊「スタジオ翁」ニュースレター版 vol.181

2026年10月2日発行

Blog: https://studio-okina.com/