このメルマガは、AIや最新テクノロジーをいち早く取り入れ、新しいアプローチで音楽を生み出す「次世代のクリエイター」に向けて書いています。
プロに限らず、誰もが音楽を作れる時代。AIや最新のテクノロジーを活用することで、本来ならエンジニアに任せる仕事も、個人で完結できるようになりました。
あなたがプロの音楽家であれ、これから音楽を仕事にしたいクリエイターであれ、AIを活用した次世代の音楽制作や、時代に合った新しいリリースの方法を模索しているならきっと参考になるはず。
目次
近況
作曲とミキシングのアイデア帳
今週の音楽ニュース
サービス・書籍のご紹介
📝近況
ここでは、最近取り組んでいる音に関すること、仕事のこと、音楽制作のことについて書いていきます。

先に、一つお礼をさせてください!
Okina Audioの製品をお使いの方にアンケートを実施したところ、このメルマガの読者の方にも何名かにお答えいただきました。
アンケート結果は、今後の製品や発信に役立たせていただきます。本当にありがとうございます!
さて今週は、Sunoで作った曲を自動でマスタリングできる仕組みを作りました。
Sunoの音源は、YouTubeの音源などをリファレンスにしていたことが話題になっている通り、そもそも参照している音源があまり良くありません。最近は音質が上がってきているとはいえ、どうも平坦でつまらない音だなとずっと感じていたのです。
そこで、EQを組み込んだり、Ozoneの自動マスタリング機能も活用することにより、Sunoから出てくる音楽のクセを取り除くシステムを作りました。この仕組みを使えば、DAWも開かず、ファイルの場所を指定するだけでAI臭さを取り除くマスタリングしてくれます。全ての曲に同じ処理が適用されるわけではなく、曲ごとのクセも取り除くような工夫を加えているので、たとえ数百曲あったとしてもその曲独自のクセを取り除いてくれるのです。
ただし、これはSuno特有のクセを狙って取り除くためのシステムなので、普段作っている音楽には使えません。あくまでAI音源専用のチューニングです。
このように、公式のAPIを持たないVSTプラグインでも、自分の音楽制作環境に組み込めるシステムを構築できるというのは、正直驚きました。以前にもご紹介したかもしれませんが、SuperColliderという音楽制作ツールを似たような形でAIと連携させています。単にプロンプトからAI生成するだけでなく、自分の環境や好みに合わせたシステムを構築して、自分専用の音楽制作環境をAIと共に作る機会が、今年はとても多くなっています。
こういったものは僕に限らず、これから間違いなく増えていくでしょうし、世の中にまだ公開されていない仕組みが、一人一人の手元でどんどん進化している最中なんでしょうね。
ChatGPTの基礎を学んだ後は、こういった個人にカスタマイズされたシステム構築ができるClaude Code、もしくはCodexを学ぶのが良いと思います。ただ、個人にパーソナライズされている分、なかなか体系化が難しい領域でもあるので、来年1月から、この辺りの基礎構築の講座だけでもやれないかと、今内容を吟味しているところです。
さて、話は変わりますが、今週投資したものがあるのでご紹介させてください。
知り合いの画像診断士の先生に勧められて、ディスプレイを買いました。画像診断士というのは、CTやMRIの画像から患者さんの状態を正確に読み取る仕事です。そういう仕事をしている人だからこそ、ディスプレイにはかなりこだわりがあるようで、話を聞いてこれは間違いないなと思い、現品も見ずに注文しました。
届いて最初につけたときは、正直、「画面が暗いな」と感じました。
ところが使っているうちに気づいたんです。暗いんじゃなくて、今までMacBookの画面がずっと発光しすぎていて、それに慣れて目がおかしくなっていただけなのだと!
このディスプレイには紙に近い質感で表示する「ペーパーモード」というものもあって、目の疲れにくさが段違いに良い。最初は物足りなく感じたその暗さにも、数時間で目が馴染んできました。今ではむしろこちらの方が自然で、かなり快適です。
AIを毎日フル稼働させていると、大量の文字を読み込む作業がずっと発生しますし、そもそも最近は、朝起きてから寝るまで、ほぼ画面を見続けている生活になっています。そう考えると、これはめちゃくちゃいい投資だったなと感じています。
買ったのは、EV2740の4Kモデルです。
写真や映像の編集をする人向けのモードもついているんですが、そこを本格的に使うならAppleのディスプレイの方が向いているかもしれません。僕のように音楽制作や文字を読むのがメインであれば、すごく良いですよ。
ちなみに、この写真を見て違和感を感じる方がいるかもしれません…
今このディスプレイを置いている場所は、スピーカーの音の通り道をがっつり邪魔しています!これでは正確な音作りができないので、近いうちに壁際に寄せようと思います。スピーカーは環境づくりが大変ですね。
最近目が痛くてつらい…という方は、ぜひEizoのモニターを検討してみてくださいね。
📘作曲とミキシングのアイデア帳
作曲やミキシングが上達する動画・記事・アイデア・最新のAIプラグインやアーティストのAI活用術をご紹介します。

あなたの「シグニチャーサウンド」は何ですか?
Redditを見ていると、こんなスレッドがありました。
スレッド自体はあまり盛り上がっていないのですが、今後AIが普及してきた時に、「アーティストが自分独自のシグニチャーサウンドを持っているかどうかはすごく大事だよな」と、ふと思いました。
AIでプロンプトベースに音を作っているだけでは、シグニチャーサウンドが勝手に生成されることはまずないでしょうからね。
ちなみにシグニチャーサウンドとは、特定のリズムや楽器、音色を聞いた時に「あ、これはこのアーティストの曲だ」とすぐわかる、その人ならではの特徴的なサウンドのこと。
例えば、Skrillexならダブステップのワブルベース(これはもうジャンルとして有名になりすぎて、Skrillexの音だとは認識されなくなりましたが)。EDMなら、Aviciiのサウンドやメロディは特徴的でしたよね。
僕の好きな日本人のテクノアーティスト、WATA IGARASHIさんは、聞いただけですぐWATAさんの曲だ!とわかるアルペジオフレーズを多用されています。
一度あのフレーズをどうやって作っているのか聞いたことがあるのですが、内容を忘れてしまいました・・・もったいない!
僕の場合だと、シンセの上モノのキラキラした音が好きなので、Jon Hopkinsの制作方法を参考にしつつ、独自のきらびやかな粒子を自分の楽曲に入れています。シグニチャーサウンドは特定のプラグインで作ることもできるし、特定のエフェクターで作ることもできる。曲の構造がその人っぽい、ドラムサンプルがその人っぽい、という場合もあるでしょう。
ドラムなら、自分だけの気に入ったサンプルを集めて、その中だけで組み立てればシグニチャードラムができますし、好きなシンセに自分だけのプリセットがあるなら、毎回リードやパッドにそれを使うと良いでしょう。シグニチャーサウンドの出し方はいろいろあります。
AI時代にこそ重要になってくるであろう、シグニチャーサウンド。
ぜひこれを意識して、自分だけの音楽を作り上げる一助にしてみてください。
📰 今週の音楽ニュース
スタジオ翁独自の視点で厳選した、世界の最新音楽ニュースをお届けします。

Spotify Silently Demotes AI Music: Spotifyが告知なしにAI生成楽曲をアルゴリズム推薦から外し始め、あるAI音楽プロジェクトは日30万再生から3千未満へ激減、一方で同じ運営者の人力楽曲は4月以降伸びている。
u-he MELT Eurorack Filter: u-heが初のユーロラック向けアナログフィルターMELTを発表し、Core Temperatureノブでヘッドルームを削って歪みとレゾナンスの非線形さを連続可変できる(£260/€299)。
Organismi OR-1 Generative Sequencer: iPad/Mac向けの無料MIDIシーケンサーOR-1が公開され、4ボイス独立・ユークリッドリズム・確率的ドリフト・スケール/コード対応で勝手に展開し続けるパターンを作れる。
Dreamtonics Instrument X: Synthesizer Vのドリームトニックスが、サンプルでなくニューラル音響モデリングでオーケストラを鳴らすInstrument Xを発表し、奏法の自動選択と11本のマイク切り替えに対応(エディター無料、拡張99ドル〜、全部入り649ドル)。
Limbus Spatial Stage Free: 音源を仮想ステージ上にドラッグして定位を作る空間ミックス環境Spatial Stage(通常€49.90)が期間限定で無料配布中で、トラックごとのEQ・コンプとバスの「CONSOLE GLUE」も入っている。
Five Weird Recording Tools: ラジオチューナー、カセットMTR、ヤマハSubkick、ビンテージスプリングリバーブ、電話機マイクという5つの変則的な録音ツールを、名盤での使用例と現在の再現方法(プラグイン含む)付きで紹介。
SOMA Enigma Metal Synth: SOMA Laboratoryが、金属プレート上に置いたコインやネジなどの金属物の位置と動きをスキャンして音を作るシンセEnigmaを発表(€680、Superbooth 2026で公開)。
Mic & Preamp Pairings: Neumann U87×Neve 1073やAKG C414×API 512など、回路特性の相性で選ぶ定番マイク&プリアンプ5組の解説。
Stoic's 9-to-5 Beats: グラミー受賞プロデューサーStoicが、9時17時の定時労働と週3回の公開ルールで1,000曲以上のビートを作り続けている制作法。
Patience Eurorack LFO: Olivia Artzの新ユーロラックモジュール「Patience」は、秒から数十年までの超長周期モジュレーションを扱うLFO。
🎧サービス・書籍のご紹介

<プラグインメーカー「Okina Audio」>
Okina Audioは、「スタジオ翁」から生まれたプラグインメーカー。
音楽のクオリティは、道具にいくら払えるかではなく、アイデアとセンスで決まるべきです。道具へのアクセスの格差が、そのまま音楽の格差になるべきではありません。
だから、Okina Audioのプラグインは、すべて無料で提供します。
<VSTプラグイン「BinauralShift」>
音響心理学と脳科学に基づいた、「機能性音楽」のためのオーディオプラグイン。
バイノーラルビートを用いて、デルタ波(睡眠)やベータ波(集中)などを科学的に誘発します。バイノーラルビート生成だけでなく、「モノラルビート」 「アイソクロニックトーン」 、さらには「モンロー研究所が開発した特殊なバイノーラルビート」まで、このプラグイン一つで完結。
また、既存のサウンドにバイノーラル変調をかけることで、音楽としての自然さを保ったまま脳波誘導効果を付与でき、Apple「Sound Therapy」のような音楽を自分で作ることもできます。
<Splice作曲メソッド>
音楽制作に悩む初心者・中級者におすすめです。
音楽理論や楽器の演奏からスタートする「従来の作曲法」とは異なるアプローチにより、「アイデアが浮かばない」「どこから始めればいいか分からない」といった悩みを解決。アイデアがない状態から1曲を完成させる、実践的なテクニックを身に付けます。
さまざまなジャンルの音楽をゼロから作っていく様子までご覧いただくことで、実践に即した体系的なメソッドを学び、良い音楽を量産する方法を身に付けることができます。
<プライベートレッスン>
作曲・ミキシング・マスタリングに関するプライベートレッスンのご案内です。
具体的なレッスン内容は、事前のメールやZoomなどでヒアリングしてから決めていくことも可能です。
まずは、お気軽にご連絡ください。
<著書>
作曲AIに関する書籍です。
アイデアの出し方から作曲、アートワーク制作に至るまで、音楽制作からリリースまでの一連の流れにAIをフル活用する方法を解説しています。購入はKindle Unlimitedで。
<Suno AI、Udio用プロンプト生成ツール>
ChatGPTで使える、プロンプト生成ツールを作りました。
使い方は簡単。自分の好きなアーティスト名を入力するだけで、そのアーティストの特徴を出力してくれます。それを、Suno AIやUdioなどのプロンプトとして入力することで、そのアーティストのテイストに近い音楽を、AI作曲ツールが生成してくれます。
プロンプト選びに悩んでいる方は、ぜひ活用してみてください。
週刊「スタジオ翁」ニュースレター版 vol.177
2026年9月4日発行
Blog: https://studio-okina.com/

