このメルマガは、AIや最新テクノロジーをいち早く取り入れ、新しいアプローチで音楽を生み出す「次世代のクリエイター」に向けて書いています。
プロに限らず、誰もが音楽を作れる時代。AIや最新のテクノロジーを活用することで、本来ならエンジニアに任せる仕事も、個人で完結できるようになりました。
あなたがプロの音楽家であれ、これから音楽を仕事にしたいクリエイターであれ、AIを活用した次世代の音楽制作や、時代に合った新しいリリースの方法を模索しているならきっと参考になるはず。
目次
近況
作曲とミキシングのアイデア帳
今週の音楽ニュース
サービス・書籍のご紹介
📝近況
ここでは、最近取り組んでいる音に関すること、仕事のこと、音楽制作のことについて書いていきます。

Suno Studioが2.0に進化して、できることが大幅に増えました。
もう、皆さんは使われてますか?
まだまだAIが作る曲はAIっぽいですが、DAWと組み合わせて使うことで、いい感じのスタジオアシスタントになってくれそうです。
僕もまだ軽く触った程度ですが、DAWで作った自分のアイデアを拡張させるのに、便利な機能がいろいろ入っているなと感じました。今後、自分のプロジェクトでも触ってみて、どのように活用できそうかお伝えしていきたいと思います。
最近は「AI Copilot」「AI Assistant」といったサービスも、次々と登場していますね。
ウェブサイトからして、AIを積極的に使って開発を進めているのかな?という感じがしますね。
正直、まだ「これは良い!」と思えるものは少ないですが、こういったサービスもウェイトリストに登録して触ってみています。
さて、最近いろんなサービスがある中で、AIをうまく活用しているなと思ったのがこちらの会社。
AIでプラグインを作ったことがある方ならすぐわかると思いますが、見た目が圧倒的に「Claudeの作ったそれ」です!
これからの時代、何かを作るための技術や知識はAIに代替され、どんどん不要になっていきます。だからこそ、僕もプラグインを無料開放しているわけですが、その中で生き残るのはどんな会社なのか?
一つは、その会社が培った独自の技術、独自のデータを持っているところです。
この会社はサンプルライブラリーの開発会社で、ドラムフィル専用の新しいプラグインをリリースしました。音源にはAIを一切使わず、世界トップクラスのドラマーによる膨大なフィルの演奏を収録して開発されているので、とても人間らしいフィルを再現することができます。
こういった独自の音源、その会社しか持っていないデータをもとに、AIを使ってプラグインやソフトウェアを開発する。そういうことが今後1、2年で次々と起こってくるでしょうし、逆にデータ資産のない会社は淘汰されていくことになるでしょう。
サンプルライブラリーの会社だけではありません。たとえば社内に膨大なマスタリングデータを持っているスタジオなら、マスタリング前と後の音源をAIに学習させ、そのスタジオ独自のマスタリングAIとしてプラグイン化することもできます。
あのスタジオのマスタリングが好き!あのエンジニアのマスタリングが好き!ということなら、僕たちはそのスタジオの販売するプラグインを使えば、自分の好みに近いマスタリングを行うことが可能になります。スタジオではなく、マスタリングエンジニア個人も、これからそういったソフトウェアやプラグインを出すことにもなるでしょうね。
アーティストも同じです。自分の作った曲をAI解析して、その人っぽいコード進行が作れるプラグイン、その人っぽいシンセの音色が作れるプラグイン、なんてものも登場してくるでしょう。
今年はAIエージェントの年と言われるほどAIが進化しましたが、来年、再来年あたりから、こういった流れが本格化してくるのではないでしょうか。
みなさんも自分の道具を自分で作る。数年後には、それがシンセを選ぶのと同じくらい、当たり前の選択になっているかもしれませんよ。
📘作曲とミキシングのアイデア帳
作曲やミキシングが上達する動画・記事・アイデア・最新のAIプラグインやアーティストのAI活用術をご紹介します。

【アーティストがChatGPTを作曲に活用する方法 #12】
この連載では、歌詞のたたき台からコード進行、音作りのアイデア、リリース文、レーベル探しなど、11回にわたってChatGPTの活用法を紹介してきました。
ただ、実際に毎日使っていると、聞き方よりもっと大事な判断があることに気づくかもしれません。
それは「そもそも、これはAIに聞くことなのか?」ということ。
今回は、その線をどこに引くかの話をします。
正直、この線引きは人によって違います。なので正解を渡すことはできませんが、一つ、線引きを見つけるための聞き方をご紹介します。
プロンプトはこちら。
今の僕の音楽活動でやっている作業を書き出します。(作業をざっと箇条書きで貼る)これらを、AIに任せていい作業、自分がやるべき作業の2つに分類してください。それぞれ理由も一言添えてください。
ここまでの連載と違って、これはAIに何かを作らせるプロンプトではありません。自分の作業を、一度棚卸しするためのものです。
そして大事なのは、返ってきた分類に納得することではなく、「いや、これは違う」と感じる場所を見つけること。
たとえば「曲名は下書きを作らせていい」と分類されても、「いや、それは自分で考えたい!」と思えば、それはそれで正解なのです。たびたびお伝えしている「AIを鵜呑みにしない」という考えはとても大切です。
AIの棚卸しの後、さらに自分でも結果を吟味してみて、本当にAIに任せるべきか、それとも自分でやるべきかを判断してみてください。
次に、「どういう時にAIを使うか」の僕なりの基準を、少しだけお伝えします。
ひとつめは、やり直しが効くかどうか。
歌詞のたたき台も、コード進行の候補も、レーベルのリストも、気に入らなければ捨ててもう一度出せます。だから安心して任せられる。逆に、送信してしまったメールや、配信してしまった曲は戻せません。取り返しがつかないことは、AIに任せず自分で行いましょう。
ふたつめは、正解が自分の外にあるか、中にあるか。
英語のマニュアルの意味も、レーベルの一覧も、音楽理論も、答えは自分の外側にあります。こういうものは調べれば分かるので、調べる作業を任せればいい。でも「どんな曲を作りたいか」は自分の中にしかありません。自分の中にしかないものを聞いても、それっぽい他人の答えが返ってくるだけです。
みっつめは、選択肢を増やす工程か、選ぶ工程か。この連載で紹介してきたプロンプトを並べてみると、実はほとんど全部「増やす」側でした。候補を出す、たたき台を作る、リストを挙げる。そこから選ぶところは、毎回こちらの「人間の仕事」として残っていたはずです。
増やすのはAIが速い。選ぶのは人がやる。この分担が、AI時代の基本です。
あとは、細かいものをいくつか見てみましょう。
時間を食うだけの単純作業。たとえば、告知文、問い合わせの返信、リリースの段取り、経理まわり。クリエイティビティが不要なところは、人間がやる必要はありません。
それから、出てきた答えの間違いに自分で気づける時。自分が詳しい領域なら、おかしな出力が来てもすぐ分かります。詳しくない領域は、間違ったまま採用してしまう危険があります。第11回でレーベルの情報に活動停止のものが混ざると書きましたが、あれも「自分の耳で確かめられる」という前提があってのことでした。
このようにAIに任せられること、任せられないことがありますが、この基準も年々変わっていきます。
1年前にはChatGPTのDeep Reseachに衝撃を受けて月3万円も払っていましたが、今では同じ3万円をClaudeのAIエージェントに払えば、できることは数十倍、数百倍違います。
Deep Reseachに3万円も払っていたなんて、今では信じられませんね…
そして、「そもそも、これはAIに聞くことなのか?」という基準は年々、いや日々変わっていくため、常にアップデートする必要があります。(こういった情報は、日々、キャッチアップし続けていくので、都度お伝えしていきます)
普段の作業をAIに任せるときは、こういったことを意識して、AIに頼むか、自分でやるかの判断材料にしてみてください。
さて、ここまでのAI活用法はまだまだ序の口ですが、一旦この辺りで、連載を一区切りいたします。
全12回の中でご紹介したAIの使い方を、もう一度見直すもよし、AIに取り込んで要点をまとめるもよし、ぜひみなさんの音楽ライフに活用していってください!
📰 今週の音楽ニュース
スタジオ翁独自の視点で厳選した、世界の最新音楽ニュースをお届けします。

Pink Trombone: SerumのSteve Dudaが、声道モデリングによる音声合成をプラグイン化して無償公開。Instrument版とFX版の両方を用意。
Dr. Fill: 既存のドラムループを解析し、それに合うフィルを提案するYurt Rockの新プラグイン。全フィルが実演奏でAI生成は一切なし、$49。
Dr. Dre on AI: Dr. DreとJimmy IovineがNYTのインタビューで音楽におけるAI活用を全面的に擁護。反対派をドラムマシン登場時の反対派になぞらえる発言。
Stability AI: Universal・Sony・Warnerの3大メジャーとElectronic ArtsがStability AIのシリーズBに参加、調達額7,600万ドル。累計調達は2億3,200万ドルへ。
ElevenMusic Composer: ElevenLabsの音楽モデルが、イントロ・ヴァース・コーラスをセクション単位で編集できるインペインティングに対応。一部だけの再生成が可能に。
Workflow Tools: XLN Audio XO、Ableton Push、SpectraLayers Pro、FabFilter Pro-Q、Softube Console 1のワークフロー系5製品を横断レビュー。
Dithering: ビット深度を下げる際になぜノイズを足すのか、Spliceによるディザリングの解説記事。32bit書き出しやMP3では不要という線引きも明示。
EQ Basics: パラメトリック・シェルビング・カットフィルターの違いから、録音・ミックス・マスタリング各段階での使い分けまでを整理したMusicTechの入門解説。
🎧サービス・書籍のご紹介

<プラグインメーカー「Okina Audio」>
Okina Audioは、「スタジオ翁」から生まれたプラグインメーカー。
音楽のクオリティは、道具にいくら払えるかではなく、アイデアとセンスで決まるべきです。道具へのアクセスの格差が、そのまま音楽の格差になるべきではありません。
だから、Okina Audioのプラグインは、すべて無料で提供します。
<VSTプラグイン「BinauralShift」>
音響心理学と脳科学に基づいた、「機能性音楽」のためのオーディオプラグイン。
バイノーラルビートを用いて、デルタ波(睡眠)やベータ波(集中)などを科学的に誘発します。バイノーラルビート生成だけでなく、「モノラルビート」 「アイソクロニックトーン」 、さらには「モンロー研究所が開発した特殊なバイノーラルビート」まで、このプラグイン一つで完結。
また、既存のサウンドにバイノーラル変調をかけることで、音楽としての自然さを保ったまま脳波誘導効果を付与でき、Apple「Sound Therapy」のような音楽を自分で作ることもできます。
<Splice作曲メソッド>
音楽制作に悩む初心者・中級者におすすめです。
音楽理論や楽器の演奏からスタートする「従来の作曲法」とは異なるアプローチにより、「アイデアが浮かばない」「どこから始めればいいか分からない」といった悩みを解決。アイデアがない状態から1曲を完成させる、実践的なテクニックを身に付けます。
さまざまなジャンルの音楽をゼロから作っていく様子までご覧いただくことで、実践に即した体系的なメソッドを学び、良い音楽を量産する方法を身に付けることができます。
<プライベートレッスン>
作曲・ミキシング・マスタリングに関するプライベートレッスンのご案内です。
具体的なレッスン内容は、事前のメールやZoomなどでヒアリングしてから決めていくことも可能です。
まずは、お気軽にご連絡ください。
<著書>
作曲AIに関する書籍です。
アイデアの出し方から作曲、アートワーク制作に至るまで、音楽制作からリリースまでの一連の流れにAIをフル活用する方法を解説しています。購入はKindle Unlimitedで。
<Suno AI、Udio用プロンプト生成ツール>
ChatGPTで使える、プロンプト生成ツールを作りました。
使い方は簡単。自分の好きなアーティスト名を入力するだけで、そのアーティストの特徴を出力してくれます。それを、Suno AIやUdioなどのプロンプトとして入力することで、そのアーティストのテイストに近い音楽を、AI作曲ツールが生成してくれます。
プロンプト選びに悩んでいる方は、ぜひ活用してみてください。
週刊「スタジオ翁」ニュースレター版 vol.176
2026年8月28日発行
Blog: https://studio-okina.com/

