このメルマガは、AIや最新テクノロジーをいち早く取り入れ、新しいアプローチで音楽を生み出す「次世代のクリエイター」に向けて書いています。

プロに限らず、誰もが音楽を作れる時代。AIや最新のテクノロジーを活用することで、本来ならエンジニアに任せる仕事も個人で完結できるようになりました。

あなたがプロの音楽家であれ、これから音楽を仕事にしたいクリエイターであれ、AIを活用した次世代の音楽制作や、時代に合った新しいリリースの方法を模索しているならきっと参考になるはず。

目次

  1. お知らせ

  2. 近況

  3. 作曲とミキシングのアイデア帳

  4. 今週の音楽ニュース

  5. サービス・書籍のご紹介

📢お知らせ

VUメータープラグイン「Loudness Glass」がついにリリースです!

むかしは、針の揺れるアナログのVUメーターで、音の大きさを測っていました。やがてデジタルの時代になり、ピークメーターやRMSメーターが加わります。そしてストリーミング時代、ラウドネスの指標である「LUFS」が、音楽制作でも問われるようになりました。

見るべきメーターが増えるにつれて、立ち上げるプラグインも増え、制作のたびにいくつもの画面を行き来する必要が出てきます。

Loudness Glassは、その別々だった3つを一つの画面にまとめた、いわばスイスアーミーナイフのようなVUメーターです。

ひとつは、針の微細な動きで、音の大きさを感じるVUメーター。

ふたつめは、BS.1770 / EBU R128に準拠した、Short TermとIntegratedのラウドネスメーター。

みっつめは、書き出したファイルをそのまま画面にドラッグ&ドロップし、ファイル全体のLUFSをその場で弾き出すツール。

VU メーター、リアルタイムラウドネス測定、書き出したファイルのLUFS解析。この3つをひとつにまとめたことで、制作まわりの手間を削減しました。

Loudness Glassがお届けしたいのは、単なるメーターではありません。

ツールの行き来から解放し、音楽制作そのものに100%フォーカスするための環境です。

📝近況

ここでは、最近取り組んでいる音に関すること、仕事のこと、音楽制作のことについて書いていきます。

7月1日からオレゴン州に滞在しています。

オレゴン州は、アメリカでマジックマッシュルームが合法化された、数少ない州のひとつです。

ここで医師や、サイケデリックセラピーを受ける人々を導く「ファシリテーター」と呼ばれるガイドたちとともに、これからおよそ40日を過ごします。

滞在の目的は、音楽でセラピーをサポートすること。

昨年は、日本で行っているケタミン・サイケデリックセラピーのための音楽を作り、これまで100人以上の方々に、音楽を通した自己意識への旅を楽しんでいただきました。

今回もこのセラピーのために、特別に5時間以上の音楽セットを作って臨みます。

セッションのあいだ、参加者はずっと目を閉じているため、音楽が唯一のガイドとなります。

そのため、サイケデリクスセラピーにおける音楽はとても重要で、どれだけ深くセラピーに入り込めるか、自己の内面と見つめ合えるか、過去のトラウマと向き合えるか、といったことに影響を与えます。

だからこそ音楽は一辺倒ではなく、まるで一晩をかけてフロアを温め、お客さんを高みへ運んでいくDJのように、サイケデリクスの薬理効果に合わせた音楽のフローを設計する必要があります。

今年4月には、僕自身がアメリカでマジックマッシュルームを体験し、その経験をもとに音楽を構築しました。

これから40日、およそ60名の参加者が、この地で何を体験し、どう変わっていくのか。そして音楽が、その旅にどんな作用を及ぼすのか。

それを間近で見届ける、世界最先端の現場に立ち会う今週です。

いよいよ、夏が始まりましたね!

📘作曲とミキシングのアイデア帳

作曲やミキシングが上達する動画・記事・アイデア・最新のAIプラグインやアーティストのAI活用術をご紹介します。

【アーティストがChatGPTを作曲に活用する方法 #5】

今回は、ChatGPTを音作りに活用する方法です。

頭の中では理想の音が鳴っているのに、いざシンセの画面を開くと、どのツマミから触ればいいのか見当がつかない。

音作りには、この「イメージと操作の溝」がつきものです。目指す音がはっきりしているときほど、膨大なパラメータのどこをどういじればそこに近づくのか、経験がないと分からなくて手が止まってしまいます。

そこで今回は、その溝を埋める相談相手としてChatGPTを使います。

コツは、頭の中で鳴っている音を、できるだけ具体的な言葉にして渡すこと。

たとえばこんな感じです。

Ableton LiveのOperatorで、80年代のシティポップに合う、温かくて少しキラキラしたエレピの音を作りたいです。オシレーター、フィルター、エンベロープをどう設定すればいいか、初心者にもわかるように順番に教えてください。

ここでの工夫は2つ。

ひとつは、目指す音を「ジャンル・時代・質感」まで具体的に言葉にすること。「いい音にして」では何も伝わりませんが、ここまで絞ると、返ってくる設定がぐっと狙った方向に寄ります。「モワッと丸い」「ザラっとした」「シャリっと硬い」みたいなオノマトペを添えても、伝わりやすくなりますよ。

もうひとつは、使う機材を指定すること。「シンセで」とだけ言うと一般論が返ってきますが、「Operatorで」と伝えれば、自分の画面でそのまま再現できる手順になります。

ただ、ここで一つ大事な前提があります。

ChatGPTは、あなたの音を聞いていません。

だから返ってくる設定は「正解」ではなく、あくまで出発点です。そこから先は、鳴らしてみて自分の耳で追い込んでいく。ここまでお伝えしている「最後の判定は自分の耳」が、音作りでもそのまま効いてきます。

さて、慣れてきたら、こんな相談の仕方も便利です。

〇〇(曲名)のイントロで鳴っているシンセの音に近づけたいです。どんな音色で、どういう作り方が考えられますか?

ChatGPTは音を聞けませんが、有名な曲なら制作の定石を知っている可能性があるので、作り方の見当をつけてくれます。

次に、音作りは一つの音色だけでなく、エフェクトを「どの順番でかけるか」でも決まります。この順番から相談できるのがありがたいところ。

録ったボーカルに、少し古いラジオみたいなLo-fiな質感を足したいです。手持ちのEQ、サチュレーター、リバーブを、どういう順番でどう設定すればいいか教えてください。

そして、音作りがうまくいかず手が止まったときも、ざっくり相談してみましょう。

低音がなんだかモワッとして抜けが悪いんだけど、何が原因で、どう処理すればスッキリするかな?

こう投げれば、「モワッ」を「200Hz前後の膨らみ」のように翻訳したうえで、対処の切り口を返してくれるので、原因探しの遠回りを減らせます。

最後に、余裕があればもう一言添えてみましょう。

返ってきた設定をそのまま真似するだけだと、次に応用が効きません。「なぜフィルターをそこまで下げるのか、理由も教えて」と一緒に聞いておくと、音作りの引き出しそのものが増えていきます。

頭の中の音を言葉にするのは、最初はもどかしいかもしれません。でも、こうやってAIと対話を重ねることで、言葉が具体的になり、返ってくる音作りの精度も上がっていきます。

作りたい音のイメージはあるのに、どう作ればいいか分からず固まってしまう。そんなときは、ぜひChatGPTに相談してみてくださいね。

📰 今週の音楽ニュース

スタジオ翁独自の視点で厳選した、世界の最新音楽ニュースをお届けします。
  1. Suno API Partner Program: Sunoが開発者向けAPIの提携パートナープログラムを開始し、生成音楽ならではの新体験を作るアプリを募集(法的リスクを抱えつつも展開)。

  2. Best Industrial Synths: インダストリアル音楽制作に向く5機種(Behringer Pro-1/Waldorf Protein/PWM Malevolent/Torso S4/ASM Leviasynth)を価格帯・方式別に紹介。

  3. Boris FX Acquires iZotope: Boris FXがNative Instrumentsから iZotope を買収、既存ユーザーの製品・ライセンス・サポートは影響なしと表明。

  4. Poland Music Market: ポーランドがストリーミングとヒップホップ人気で世界16位の音楽市場に成長、一方で言語の壁が海外展開の課題。

  5. Melatonin Sine Machine: Melatoninが初の加算合成シンセ「Sine Machine」を発表、最大1万オシレーター+2万LFOを直感的に扱える設計で$60から。

  6. Dutch Electronic Music Book: Kees Tazelaar著『On the Threshold of Beauty』(オランダ電子音楽史1925–1965、フィリップス・パビリオン収録)のフルカラー改訂版が無料公開。

  7. Pitch Spotify Editorial: Spotify for Artistsのエディトリアル・プレイリストへの売り込み方(最低7日前・推奨4〜6週前、未リリース1曲のみ、500字ピッチ、落選でもメタデータが推薦に活きる)を解説したCD Babyのガイド。

🎧サービス・書籍のご紹介

<Webアプリ「RoomTune」>

ルームチューニングのためのアプリを開発しました。

もう何度もスピーカーを動かして、部屋鳴りを確かめる必要はありません。

何回使っても無料です。

<VSTプラグイン「Mycelium FX」>

「monome norns」という、小さな実験的サウンドコンピュータの世界で愛されてきた、伝説的なオーディオエフェクトたち。

その代表的な11個を、ひとつのVST3 / AU プラグインに統合しました。

テープエコー、グラニュラー、タイムストレッチ、シマーリバーブ、ブレイクコア・スライサーなど、nornsコミュニティが何年もかけて育ててきたサウンドを、あなたのDAWに持ち込めます。

メルマガ読者限定 100%オフクーポン: smw3e5v

<VSTプラグイン「BinauralShift」>

音響心理学と脳科学に基づいた、「機能性音楽」のためのオーディオプラグイン。

バイノーラルビートを用いて、デルタ波(睡眠)やベータ波(集中)などを科学的に誘発します。バイノーラルビート生成だけでなく、「モノラルビート」 「アイソクロニックトーン」 、さらには「モンロー研究所が開発した特殊なバイノーラルビート」まで、このプラグイン一つで完結。

また、既存のサウンドにバイノーラル変調をかけることで、音楽としての自然さを保ったまま脳波誘導効果を付与でき、Apple「Sound Therapy」のような音楽を自分で作ることもできます。

<Splice作曲メソッド>

音楽制作に悩む初心者・中級者におすすめです。

音楽理論や楽器の演奏からスタートする「従来の作曲法」とは異なるアプローチにより、「アイデアが浮かばない」「どこから始めればいいか分からない」といった悩みを解決。アイデアがない状態から1曲を完成させる、実践的なテクニックを身に付けます。

さまざまなジャンルの音楽をゼロから作っていく様子までご覧いただくことで、実践に即した体系的なメソッドを学び、良い音楽を量産する方法を身に付けることができます。

<プライベートレッスン>

作曲・ミキシング・マスタリングに関するプライベートレッスンのご案内です。

具体的なレッスン内容は、事前のメールやZoomなどでヒアリングしてから決めていくことも可能です。

まずは、お気軽にご連絡ください。

<著書>

作曲AIに関する書籍です。

アイデアの出し方から作曲、アートワーク制作に至るまで、音楽制作からリリースまでの一連の流れにAIをフル活用する方法を解説しています。購入はKindle Unlimitedで。

<Suno AI、Udio用プロンプト生成ツール>

ChatGPTで使える、プロンプト生成ツールを作りました。

使い方は簡単。自分の好きなアーティスト名を入力するだけで、そのアーティストの特徴を出力してくれます。それを、Suno AIやUdioなどのプロンプトとして入力することで、そのアーティストのテイストに近い音楽を、AI作曲ツールが生成してくれます。

プロンプト選びに悩んでいる方は、ぜひ活用してみてください。

<Chrome拡張>

AI時代は、MYOG(Make Your Own Gear)の時代です。

アーティストが道具を自分で作る未来を模索中。その研究成果として2つのウェブアプリを開発しました。

週刊「スタジオ翁」ニュースレター版 vol.169

2026年7月10日発行

Blog: https://studio-okina.com/

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