このメルマガは、AIや最新テクノロジーをいち早く取り入れ、新しいアプローチで音楽を生み出す「次世代のクリエイター」に向けて書いています。
プロに限らず、誰もが音楽を作れる時代。AIや最新のテクノロジーを活用することで、本来ならエンジニアに任せる仕事も個人で完結できるようになりました。
あなたがプロの音楽家であれ、これから音楽を仕事にしたいクリエイターであれ、AIを活用した次世代の音楽制作や、時代に合った新しいリリースの方法を模索しているならきっと参考になるはず。
目次
近況
作曲とミキシングのアイデア帳
今週の音楽ニュース
サービス・書籍のご紹介
📝近況
ここでは、最近取り組んでいる音に関すること、仕事のこと、音楽制作のことについて書いていきます。

今週末、東京・有明で開かれる「MUSIC AWARDS JAPAN」の授賞式に行ってきます。
実は、僕がマスタリングを担当した「SPRING - 亜門」のアートワークが、今年の最優秀アートワーク賞にノミネートされたんです。ノミネートされたのは僕のマスタリングではなくジャケットのデザインそのものなので、僕は完全に裏方なのですが。。
それでも、自分の関わった作品が大きな賞の候補に挙がるというのは、やっぱり嬉しいものですね。
さて、このMUSIC AWARDS JAPAN、まだご存じない方も多いかもしれません。ざっくり言えば、「日本版グラミー賞」を目指して作られた、国内最大規模の国際音楽賞です。
2024年に、日本レコード協会をはじめとする音楽業界の5団体が合同で立ち上げたもので、第1回は2025年5月、京都のロームシアターで開催されました。今年が第2回。会場を東京・有明のTOYOTA ARENAに移して、6月13日に行われます。
昨年、京都で授賞式が行われていたのはチラッとテレビで見たのですが、この賞が何なのか、あまり理解してなかったので改めて調べてみました。
MUSIC AWARDS JAPANはコロナ以降、ストリーミングで音楽が一気に国境を越えるようになって、「日本の音楽を、もっと海外に届けるための『発信型』の賞が必要だ」という問題意識から生まれたそうです。文化庁長官の都倉俊一さんが「アジア版のグラミー賞を作りたい」と旗を振ったのがきっかけで、コンセプトは「音楽の未来を、世界とつなぎ、照らす」です。
審査の仕組みは、まずBillboardやOriconといったデータから自動で候補をプールして、そこから業界のプロが各部門5組ほどに絞り込みます。最終的には、国内外あわせて約5,000人の音楽関係者の投票で受賞作が決まる、というもの。去年は藤井風さんが17部門でノミネート、Creepy Nutsが9冠を獲って話題になりました。
で、その中に今年から新しく加わったのが、僕が関わった最優秀アートワーク賞。
日本グラフィックデザイン協会(JAGDA)と組んだ部門で、要は「ジャケットのデザインそのものを、音楽の一部として評価しよう」という試みです。
今回ノミネートされたアートワークは、亜門さんの自作楽器がそのままアートワークになっているという面白いデザイン。彼はこの楽器に、バネや風船などあらゆるものを取り付け、その素材を通した音で音楽を作ったり、ライブをするとてもおもしろいアーティストです。
彼とは「渋谷Contact」というクラブで共に音響エンジニアの仕事をした仲でもあり、そんな彼がノミネートされたことをとても嬉しく思います。
そして、当日は授賞式だけでなく、なんと豪華アーティストによるパフォーマンスも観れることになっています!

僕の大好きな藤井風さん、まさかこんなところでライブをお目にかかれるとは思っていなかったので、これまたとても嬉しい!
YouTubeでも配信するようなので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
授賞式の様子は、また来週お伝えしたいと思います。
📘作曲とミキシングのアイデア帳
作曲やミキシングが上達する動画・記事・アイデア・最新のAIプラグインやアーティストのAI活用術をご紹介します。

【アーティストがChatGPTを作曲に活用する方法 #1】
このメルマガでは、かなり込み入ったAIの活用法をあれこれご紹介しています。
ただ、そういう複雑な使い方を読んでも、「自分ではなかなか実践できないよ…」と感じている方も多いのではないでしょうか。
そこで今週から、アーティストがAIを使うなら、まずどこから始められるのか?基本的なところから、順を追ってお伝えする連載を始めることにしました。
最初のテーマは、ChatGPTです。
AIといえばこれ!と多くの人が思い浮かべるくらい世の中に浸透したこのツールを、普段の音楽制作にどう活かせるのか。まずは、そこから探っていきます。
基本をつかんだら、その先は自分専用の道具を作る方法や、Claude Codeを組み合わせた新しい音楽制作の方法まで、少しずつ広げていく予定です。
AI、AIと騒がれているのに、いまいち使いこなせていない。
AIを使いたいけど、どこから手をつければいいか分からない。
そんな方こそ、この連載を読んでみることをおすすめします。
今日から一歩ずつ、AIとの距離を縮めていきましょう!
初回の今日お伝えするのは、全てのAIに使える基本原則です。
きれいなプロンプトを与える必要はない
まず、ChatGPTを使うのに、立派なプロンプトは必要ありません。いま困っていることを、友達に愚痴るみたいにそのまま打てばいいのです。例えばこんな感じ。
「サビのコードが平凡で困ってる。Cメジャーのポップスなんだけど、もう少し切なくする方法はある?」
これくらい雑で大丈夫で、むしろ、ざっくり投げて、返ってきたものに注文を重ねていくのがコツです。たとえば、こう足していく。
「いまの3番目、いい感じ。もっと浮遊感がほしい。あと最後はマイナーで終わって」
最初の一言を完璧にする必要はなく、会話で詰めればいいのです。
「何か、一発ですごいプロンプトを伝えなければ!」と構える必要はありません。まずは、気軽に会話を楽しんで、AIがどんな答え方をするのかを理解するところから始めましょう。
慣れてきたら「あなたはプロの作曲家です」と役割を与え、キーやジャンルの条件など渡すと、さらに精度が上がりますよ。
ChatGPTの限界を知っておく
次に知っておきたいこと。それは「ChatGPTは平気で嘘をつく」ということです。
特に弱いのが音楽理論まわりで、コードの構成音やキー、ギターのタブを、堂々と間違えることがあります。今は改善されている部分もありますが、音楽家で、こんな記事を書かれている方もいます。
つまりChatGPTが何か答えてくれても、自分で裏どりしたり、検証する必要があるんですね。
なので不安なときは、答えだけでなく根拠も一緒に出させる。例えば「そのスケール、本当に合ってる?構成音を並べて、なぜそうなるか理由も書いて」と頼めば、自分でも検証できます。
「もし自信がない部分があれば、そこも正直に教えて」と伝えれば、「実は自信満々にお答えしましたが、わかりません」みたいな答えを返してくることも….
要するに、出てきたものは答えではなくたたき台であり、最後の判定は、いつも自分の耳や知識を信頼することが大切なのです。
この一線さえ守れば、AIは安心して頼れる相棒になるでしょう。
このように、この連載では毎回ひとつ、制作のいろんな場面で使えるテクニックと、「こう聞くといい」というプロンプト例を紹介していきます。
まずは、今日いちばん音楽制作でモヤモヤしていることを、そのまま打ち込んでみてください。
人間のように完全には信頼せず、必要なら細かい部分まで追求したり、根拠を明示してもらう。そんなところから始めてみてください。
📰 今週の音楽ニュース
スタジオ翁独自の視点で厳選した、世界の最新音楽ニュースをお届けします。

Stereo Imaging Guide: ミックスに幅・高さ・奥行きの3軸で立体的な空間を作るステレオイメージングの実践テクニック解説。
Clayworks Harmonimo & Kodotone: 新興メーカーClayworksが、単音MIDIをコード化するHarmonimoとリアルタイム生成ドラムマシンKodotoneを各$39.99で発売。
IK Multimedia ARC ON-EAR 1.5: IK MultimediaのポータブルDAC兼ヘッドホンアンプが50機種のIEM補正に対応し、ステージ用イヤモニをミックス基準に使えるよう更新。
every something Artikulation & Glosso: Jelle Akkermanのレーベルから、Hordijkのrungler的カオスボーカル合成Glossoと連符・ポリメーターでグルーヴを操るArtikulationが登場。
Eventide H9 Harmonizer Gen 2: フラッグシップH90の全74アルゴリズムを継承しUIを改良した、コンパクトなマルチエフェクト・ペダルをEventideが発表。
Acoustic Energy AE Active 2026: AE1 Activeを8年ぶりに刷新したフルアナログ・アクティブ2wayスピーカー。第6世代5"アルミドライバーとオートオン/オフ搭載、7月発売£1250/ペア。
Suno Series D: AI音楽のSunoがBond Capital主導で$400Mを調達し評価額$5.4B(7か月で倍増)、初のメジャー(WMG)ライセンスモデルも示唆。
AudioKit PRO-A5: AudioKit ProがProphet-5を再現した10ボイスのアナログ系AUv3シンセをiPhone/iPad向けに発売、ポリ数倍増と400超のプリセット搭載。
Teenage Engineering APC-2: teenage engineeringが、Wi-Fi/Ethernetリモート制御とDAWオートメーション同期で自作レコードを切れるプロ仕様のカッティングマシンを発表。
Positive Grid REACTOR: テキスト・画像・音声で欲しい音色を指示するとAI(Amp Intelligence™)が信号チェーンを生成するアンプを、Positive Gridが2026年7月発売。
East Coast Meets West Coast Synths: 0-Coast・Voltage Lab 2・Moog Labyrinth・Magnolia・Buchla Ziggyなど東西両方式を融合した5機種を紹介する特集記事。
CASIO SXC-1 Sampler: 315gでAA電池駆動、4×4パッド・内蔵マイク/スピーカー・ヴィンテージCASIO音源を備えたカシオのポータブルサンプラー(64GB・16声・最大15分サンプリング、USB-Cでスマホアプリ連携)。
Audeze MM-520: Manny Marroquin監修の新フラッグシップ・スタジオヘッドフォン。新SLAM技術と90mmプレーナー磁気ドライバーで低域精度と空間表現を強化($1,699)。
Eventide H9 Gen 2: ARMプロセッサーを刷新したコンパクトなマルチエフェクター。H9 Max/H90の全74アルゴリズムと1,000以上のプリセット、SIFTポリフォニック・ピッチシフトを搭載($599・6/24出荷)。
Flexur T2 Trautonium: Mixtur-Trautoniumに着想を得たSound Workshopの表現特化シンセ。2本のフローティング・タッチバーで連続的な音量/ピッチ制御、減算合成
🎧サービス・書籍のご紹介

<VSTプラグイン「Mycelium FX」>
「monome norns」という、小さな実験的サウンドコンピュータの世界で愛されてきた、伝説的なオーディオエフェクトたち。
その代表的な11個を、ひとつのVST3 / AU プラグインに統合しました。
テープエコー、グラニュラー、タイムストレッチ、シマーリバーブ、ブレイクコア・スライサーなど、nornsコミュニティが何年もかけて育ててきたサウンドを、あなたのDAWに持ち込めます。
メルマガ読者限定 100%オフクーポン: smw3e5v
<VSTプラグイン「BinauralShift」>
音響心理学と脳科学に基づいた、「機能性音楽」のためのオーディオプラグイン。
バイノーラルビートを用いて、デルタ波(睡眠)やベータ波(集中)などを科学的に誘発します。バイノーラルビート生成だけでなく、「モノラルビート」 「アイソクロニックトーン」 、さらには「モンロー研究所が開発した特殊なバイノーラルビート」まで、このプラグイン一つで完結。
また、既存のサウンドにバイノーラル変調をかけることで、音楽としての自然さを保ったまま脳波誘導効果を付与でき、Apple「Sound Therapy」のような音楽を自分で作ることもできます。
<Splice作曲メソッド>
音楽制作に悩む初心者・中級者におすすめです。
音楽理論や楽器の演奏からスタートする「従来の作曲法」とは異なるアプローチにより、「アイデアが浮かばない」「どこから始めればいいか分からない」といった悩みを解決。アイデアがない状態から1曲を完成させる、実践的なテクニックを身に付けます。
さまざまなジャンルの音楽をゼロから作っていく様子までご覧いただくことで、実践に即した体系的なメソッドを学び、良い音楽を量産する方法を身に付けることができます。
<プライベートレッスン>
作曲・ミキシング・マスタリングに関するプライベートレッスンのご案内です。
具体的なレッスン内容は、事前のメールやZoomなどでヒアリングしてから決めていくことも可能です。
まずは、お気軽にご連絡ください。
<著書>
作曲AIに関する書籍です。
アイデアの出し方から作曲、アートワーク制作に至るまで、音楽制作からリリースまでの一連の流れにAIをフル活用する方法を解説しています。購入はKindle Unlimitedで。
<Suno AI、Udio用プロンプト生成ツール>
ChatGPTで使える、プロンプト生成ツールを作りました。
使い方は簡単。自分の好きなアーティスト名を入力するだけで、そのアーティストの特徴を出力してくれます。それを、Suno AIやUdioなどのプロンプトとして入力することで、そのアーティストのテイストに近い音楽を、AI作曲ツールが生成してくれます。
プロンプト選びに悩んでいる方は、ぜひ活用してみてください。
<Chrome拡張>
AI時代は、MYOG(Make Your Own Gear)の時代です。
アーティストが道具を自分で作る未来を模索中。その研究成果として2つのウェブアプリを開発しました。
週刊「スタジオ翁」ニュースレター版 vol.165
2026年6月12日発行
Blog: https://studio-okina.com/

