このメルマガは、AIや最新テクノロジーをいち早く取り入れ、新しいアプローチで音楽を生み出す「次世代のクリエイター」に向けて書いています。
プロに限らず、誰もが音楽を作れる時代。AIや最新のテクノロジーを活用することで、本来ならエンジニアに任せる仕事も個人で完結できるようになりました。
あなたがプロの音楽家であれ、これから音楽を仕事にしたいクリエイターであれ、AIを活用した次世代の音楽制作や、時代に合った新しいリリースの方法を模索しているならきっと参考になるはず。
目次
お知らせ
近況
作曲とミキシングのアイデア帳
今週の音楽ニュース
サービス・書籍のご紹介
📢お知らせ
新しいプラグインの販売を開始しました。
その名も、Mycelium FXです。
最近、自分の音楽制作でよく使っているのですが、作り始めたきっかけはmonome nornsという、ちょっと変わった小型のサウンドコンピュータでした。
世界中の作者がそこに無料でエフェクトを公開していて、その音がどれも素晴らしいんですよね。
ただ、norns本体を持っていないと鳴らせないし、いつも僕が使っている Ableton からも呼び出せない。「これ、ぜんぶDAWの中で動かせたら最高なのに」と、前から思っていました。
なので結局、自分の制作スタイルに合いそうな11個を、ひとつのプラグインにまとめてしまった、というわけです。
音の方向性は、ひとことで言うと"崩し系"です。
きれいに磨くのではなく、入力した音をよれさせたり、崩したり、キラキラさせたり。
これがいま、シロシビンを使ったセラピー向けの音楽制作で、ものすごく重宝しています。
今年の春に、アメリカでマジックマッシュルームも体験しましたが、意識変容を促すためのサウンドというのは、ある程度、人類共通のものがあると感じています。
それが、高音のきらめき、豊かな倍音、そして機械では決して出せない、人間らしく自然な揺らぎといったことなのですが、それをこのMycelium FXはうまく再現してくれるのです。
一昨年に制作したケタミンサイケデリックセラピーの音楽は、これまで200名ほどの方に体験してもらっていますが、その知見も大いに参考にしました。
搭載しているエフェクトの中身や音のサンプルは、ページのほうにまとめておいたので、よかったら覗いてみてください。
そして今回は、ふだん有料で出しているプラグインを、いつもメルマガを読んでくださっているお礼に、100%オフのクーポンで丸ごとお渡しします。
下のコードを入れれば、そのまま無料で使っていただけます。
【メルマガ読者限定・100%オフ】
クーポンコード:smw3e5v
https://studiookina.gumroad.com/l/mycelium-fx
ぜひ、手にとっていただけたら嬉しいです!
📝近況
ここでは、最近取り組んでいる音に関すること、仕事のこと、音楽制作のことについて書いていきます。

今週は音楽まわりのAIニュースがいくつかありましたが、なかでも話題なのは、Abletonが公開したExtensions SDKでしょう。
SDKというのは、ざっくり言えば「開発者向けの道具箱」のこと。
今回のExtensionsを使うと、Liveの中で動く自分専用のツールを、JavaScriptというプログラミング言語で書けるようになります。書いたコードはLiveの右クリックメニューから呼び出せて、トラックやクリップ、パラメーター、オートメーションといったセッションの中身を、自由に読み取ったり書き換えたりできるんですよね。
これまでLiveに機能を足そうとすると、Max for Liveや専用のプラグインが必要でしたが、これからは小さな道具を直接コードで組めるようになります。しかもJavaScriptで書けるので、Claude Codeのような生成AIにコードそのものを書いてもらうこともできるんです。
以前のメルマガで、Stable AudioをAbleton Liveで使うためのプラグインを自作して、音楽制作に活用している、とお伝えしました。ですが今では同じことを、自分でプラグインを作らずともAbletonの中で簡単に実現できてしまいます。
海外ではすでにこの仕組みを使って、Stable AudioをAbletonで動かしている人もいますね。
僕自身はまだあまり触れていませんが、この一週間はExtensionsをじっくり使い込んでみたいと思います。
そして今週はSDKも話題でしたが、僕が気になったのはこちらよりも、機材をモデリングするツール「NAM(Neural Amp Modeler)」の新しいエンジン「A2(Architecture 2)」が出たことです。
これも以前のメルマガでお伝えしましたが、もともとは自分が持っているギターアンプなどをAIに学習させ、エミュレーションするためのプラグインなんですよね。それがA2へと進化したことで、これまで難しかったコンプレッサーのモデリングなどもできるようになりました。
すでにコンプレッサーのモデリングはいくつか公開されていて、中には高級コンプレッサー「SPL Iron」のモデリングもありました。実際に使ってみると、アナログコンプらしい質感は多少出ているものの、高音が落ちてしまい、すごく良い音とは言い難かったです…
おそらくモデリングした人の環境がそのまま反映されるので、信頼できる人のモデリングプリセットでなければ、あまり意味がないのでしょう。良いコンプを使っていても、オーディオインターフェースがよくなければ、忠実な再現は難しいでしょうからね。
とはいえ、自分の持っている機材をモデリングできれば、わざわざハードウェアを立ち上げなくても、お気に入りのプリアンプやコンプレッサーの挙動をプラグインで完全に再現できるので、かなり可能性を感じています。
これから、どんどん手持ちのアナログ機材をモデリングしていきたいと思っています。
皆さんも、手持ちの機材をプラグイン化したければ、ぜひ試してみてください!
さて、最後にめちゃくちゃプライベートな案内をさせてください。
僕が毎年行っている、FRUEZINHOという東京都立川で行われるフェスに、急遽行けなくなってしまいました。(今回は、テリーライリーや井上園子といった大好きなアーティストが出るので悲しい…)
FRUEZINHOは、「ちいさなFRUE」という意味で、2017年から静岡県掛川市で開催されている「FESTIVAL de FRUE」のスピンオフ企画です。
昨年はどちらも参加し、コンセプトの通り「魂の震える体験」をさせてもらいました。
今回は早割チケット(17,600円)を購入していたので、これを1名の方にお譲りいたします。
「行ってみたい!」という方がいらっしゃれば、ぜひ以下のメールまでご連絡ください。
(日程がギリギリなので、場合によっては希望金額までお値下げできるかもしれません。)
📘作曲とミキシングのアイデア帳
作曲やミキシングが上達する動画・記事・アイデア・最新のAIプラグインやAI作曲ツールをご紹介します。

最近使いまくってる、ステム分離ツール
数ヶ月前、「いま最も評価の高いステム分離ツール」のランキングをご紹介しました。
1位はLogic Proで、僕もよく使っているのですが、最近はこのランキングに入っていないステム分離ツールをメインで使うようになりました。
それが「AudioSep」です。
Logic Proより多少精度は落ちるものの、それなりに分離性能も高く、普段の音楽制作でも十分使えるクオリティとなっています。でも、何故わざわざLogic ProではなくAudioSepを使うのでしょう?
それは、Claude Codeなどのコーディングツール内で使えるからに他なりません。
例えば、Claude Codeに「ダウンロードフォルダにある100個の音楽をボーカルと音楽に分離して」と伝えると、コーヒーを飲んでいる間に、全ての処理を自動で行ってくれるのです。
これは、AIを活用して音楽を作る際にも、とても便利です。
Sunoで音楽を大量に作り、そこから数十の素材をダウンロードしてAudioSepで分離後、DAW内で特定のフレーズを切り取ってサンプルとして活用する、といった使い方もできます。
とても便利なので、多少品質が低くてもAudioSepを使った方が、ワークフローが劇的に効率化されるんですよね。
そもそもAudioSepを作ったのは、イギリスのサリー大学にあるCVSSP(Centre for Vision, Speech and Signal Processing)という、映像と音声の信号処理を専門にする研究グループの人たちです。
中心になったのはXubo Liuという当時の博士課程の研究者で、他の二人の教授、それに動画アプリTikTokを運営するByteDance社の音声AIチームが共同で開発されました。
大学の基礎研究で生まれたツールなので、誰もが無料で使えるオープンソースとして公開されているんですね。
使い方はとても簡単で、Claude CodeやCodexに「AudioSepをインストールして」と伝えればすぐにみなさんのパソコンでも使用可能。そこから「⚪︎⚪︎というフォルダの⚪︎⚪︎ってファイルをステム分離して」と伝えるだけでOK。
最近はClaude Codeなしに音楽制作することも少なくなりましたが、この辺りもまとめてお伝えする機会を作れればと考えています。ここ1年ほどで、音楽制作の手法が大きく変化してきてますから、お伝えしたいこともたくさんあります。
今回は、ちょっとテクニカルな話題でしたが、実際にやってみると、そこまで難しくないと思います。
気になった方は、ぜひ試してみてください!
📰 今週の音楽ニュース
スタジオ翁独自の視点で厳選した、世界の最新音楽ニュースをお届けします。

Eventide H9 Gen2: Eventide定番マルチエフェクターの刷新版がリーク。LED画面付き新インターフェイスとH90譲りのARMプロセッサ・74アルゴリズムを搭載、$599・6/24予約開始予定。
SoundCloud CEO Interview: Ari HerstandがSoundCloud CEO Eliah Setonに取材。ストリーミング専業からファン関係・直接収益化・倫理的AI音楽を軸にしたクリエイター中心エコシステムへの転換を語る。
Ableton Extensions SDK: Live 12.4.5に実験的なJavaScript製ツールキット「Ableton Extensions SDK」が登場。トラック・クリップ・MIDI・デバイス・テンポを操作してタスク自動化や独自機能をコードで追加できる(音源中心のMax for Liveとは別物)。
Neural Frames $5M ARR: AIミュージックビデオ生成のNeural Framesが年間収益$500万に到達。4万人以上のミュージシャンが200万本超の動画を制作し、Musiio創業者Hazel Savageを戦略アドバイザーに迎えた。
Juno Download Shutdown: 20年以上エレクトロニックミュージック界を支えたダウンロードストアJuno Downloadが2026/6/1に予告なく閉鎖。DJ・プロデューサーの購入&チャート入りの場が消えたが、Junoのレコード実店舗は継続。
SPOKE Touch MIDI: 導電性の物体をMIDIコントローラーに変える静電容量タッチボード「SPOKE」。USB-C接続でドライバ・設定不要、果物や金属、鉛筆の落書きまで楽器化できて£40。
TONE3000 NAM A2: TONE3000が無料オープンソースのアンプモデリング技術「NAM Architecture 2(A2)」を発表。$3チップでも動く効率性で「アナログ原音とほぼ区別不能」と謳い、1000人超のブラインドテストでNeural DSP・IK・Line 6を上回ったと主張。
🎧サービス・書籍のご紹介

<VSTプラグイン「Mycelium FX」>
「monome norns」という、小さな実験的サウンドコンピュータの世界で愛されてきた、伝説的なオーディオエフェクトたち。
その代表的な11個を、ひとつのVST3 / AU プラグインに統合しました。
テープエコー、グラニュラー、タイムストレッチ、シマーリバーブ、ブレイクコア・スライサーなど、nornsコミュニティが何年もかけて育ててきたサウンドを、あなたのDAWに持ち込めます。
メルマガ読者限定 100%オフクーポン: smw3e5v
<VSTプラグイン「BinauralShift」>
音響心理学と脳科学に基づいた、「機能性音楽」のためのオーディオプラグイン。
バイノーラルビートを用いて、デルタ波(睡眠)やベータ波(集中)などを科学的に誘発します。バイノーラルビート生成だけでなく、「モノラルビート」 「アイソクロニックトーン」 、さらには「モンロー研究所が開発した特殊なバイノーラルビート」まで、このプラグイン一つで完結。
また、既存のサウンドにバイノーラル変調をかけることで、音楽としての自然さを保ったまま脳波誘導効果を付与でき、Apple「Sound Therapy」のような音楽を自分で作ることもできます。
<Splice作曲メソッド>
音楽制作に悩む初心者・中級者におすすめです。
音楽理論や楽器の演奏からスタートする「従来の作曲法」とは異なるアプローチにより、「アイデアが浮かばない」「どこから始めればいいか分からない」といった悩みを解決。アイデアがない状態から1曲を完成させる、実践的なテクニックを身に付けます。
さまざまなジャンルの音楽をゼロから作っていく様子までご覧いただくことで、実践に即した体系的なメソッドを学び、良い音楽を量産する方法を身に付けることができます。
<プライベートレッスン>
作曲・ミキシング・マスタリングに関するプライベートレッスンのご案内です。
具体的なレッスン内容は、事前のメールやZoomなどでヒアリングしてから決めていくことも可能です。
まずは、お気軽にご連絡ください。
<著書>
作曲AIに関する書籍です。
アイデアの出し方から作曲、アートワーク制作に至るまで、音楽制作からリリースまでの一連の流れにAIをフル活用する方法を解説しています。購入はKindle Unlimitedで。
<Suno AI、Udio用プロンプト生成ツール>
ChatGPTで使える、プロンプト生成ツールを作りました。
使い方は簡単。自分の好きなアーティスト名を入力するだけで、そのアーティストの特徴を出力してくれます。それを、Suno AIやUdioなどのプロンプトとして入力することで、そのアーティストのテイストに近い音楽を、AI作曲ツールが生成してくれます。
プロンプト選びに悩んでいる方は、ぜひ活用してみてください。
<Chrome拡張>
AI時代は、MYOG(Make Your Own Gear)の時代です。
アーティストが道具を自分で作る未来を模索中。その研究成果として2つのウェブアプリを開発しました。
週刊「スタジオ翁」ニュースレター版 vol.164
2026年6月5日発行
Blog: https://studio-okina.com/


