このメルマガは、AIや最新テクノロジーをいち早く取り入れ、新しいアプローチで音楽を生み出す「次世代のクリエイター」に向けて書いています。

プロに限らず、誰もが音楽を作れる時代。AIや最新のテクノロジーを活用することで、本来ならエンジニアに任せる仕事も個人で完結できるようになりました。

あなたがプロの音楽家であれ、これから音楽を仕事にしたいクリエイターであれ、AIを活用した次世代の音楽制作や、時代に合った新しいリリースの方法を模索しているならきっと参考になるはず。

目次

  1. 近況

  2. 作曲とミキシングのアイデア帳

  3. 今週の音楽ニュース

  4. サービス・書籍のご紹介

📝近況

ここでは、最近取り組んでいる音に関すること、仕事のこと、音楽制作のことについて書いていきます。

ここ1ヶ月で、AIにできることが一気に増えてきた印象です。

今取り組んでいるプロジェクトでは、シーケンサーやエフェクトをAIで自作し、音楽制作に活用しているのですが、最近はStable AudioというオープンソースのAIも登場してきて、AI活用の幅がさらに広がりました。

これは通常、専用サイトやターミナル上で使える作曲用AIですが、VSTプラグインとしてDAWに持ち込むことで、ループやステムの生成をDAWの中で完結させることができます。さらに自分で打ち込んだフレーズを延ばしたり、すでにある素材を加工したり、といったこともできるようになってきています。

今は、このStable Audioを自分のDAWに組み込んで、誰でも直感的に操作できるインターフェースを製作中。

ぜひ、多くの人にAI作曲の可能性を知ってもらいたいので、こちらは無料公開する予定です。すでにほとんど組み上がっているので、微調整したらリリースしますね。

さて、もうひとつ面白い動きがあります。

機械学習でハードウェアの挙動を学習させて、その音をプラグインとして再現する「Neural Amp Modeler」というツールを使えば、専門知識がなくても、アンプやプリアンプの音を取り込んでモデリングすることが可能。

ちょうど2年前、自著「AI時代の作曲術」にこんな未来が来たらいいなと書いていたのですが、それがだんだんと現実化してきていますね。

実はこのツール自体は前からあったのですが、近々、Neural Amp Modelerの次世代版「A2」が登場する予定で、コンプレッサーのような時間で変化する挙動までモデリングできるようになろうとしています。

今はまだコミュニティで評価が進んでいる段階ですが、これが本当にできるとかなり大きい!

なぜならアナログコンプ独特の挙動は、これまでプラグインでは完全には再現しきれない部分であり、だからこそアナログの名機を使えるプロと、そうでない人との差が出やすいところだったんですよね。そこを個人の機械学習で埋められるとしたら、相当面白いことになります。

そして、もうひとつ。

最近、海外でDEMON(デーモン)というオープンソースのエンジンがリリースされて、これがなかなか衝撃的なんですよね。

普通のAI作曲ツールは、プロンプトを書いて、待って、出てきた曲を聴く、というバッチ型の流れでした。Sunoも、先ほどのStable Audioも、基本的にはこのスタイルです。

DEMONはこれを根本から変えていて、AIに音楽を生成させ続けながら、その途中でノブを回したりプロンプトを切り替えたりすると、音が即座に変化していく。

つまり、AIを「楽器のように演奏する」発想のエンジンなんです。

なぜこれが面白いかというと、これから進化していくと「固定された録音物」ではなく「聴く人の状態に応じて変化する音楽」が作れるようになるからなんです。

例えば健康系のアプリで、利用者のバイタルや精神状態に合わせて、音楽が適宜変化していく、というような使い方が射程に入ってきます。これは、録音された音源を再生する、という体験そのものが書き換わる可能性があるということ。

まだ実装は初期段階ですが、この方向性はこれから数年で大きく動くと思っています。数年前には考えられなかったことが、こうして次々と現実になっていくのは本当にワクワクしますね。

さて、すぐに音楽制作に活かせそうなものは、Stable Audio 3.0のVSTバージョンでしょう。

課金しないと「large」という一番良いモデルが使えないため、今のところ大量のコストがかかってしまいますが、安く作れるようになるのも時間の問題だと思います。

リリースしたら、ぜひ皆さん使ってみて、AI作曲の未来を感じてみてくださいね。

📘作曲とミキシングのアイデア帳

作曲やミキシングが上達する動画・記事・アイデア・最新のAIプラグインやAI作曲ツールをご紹介します。

最近、個人でボーカル曲を制作しているのですが、まずは良いマイクと良いマイクプリで録ること、これがとても大切だと痛感しました。

これまでは家で録った音に色々なプラグインを足して、無理やり太くしたり音像を広げたりしていたんですよね。ところがスタジオに行ってNeumannで録ると、一発でいい音になります。良いマイクの価値を、身体で理解することができました。

とはいえ、良いマイクで録れる環境ばかりではありません。自宅で録った音をどうにか良くしたい、という方も多いと思います。

そこで今回ご紹介したいのが、Tom Mischがボーカルチェーンに使っているプラグインです。

この動画で彼は、3つのサチュレーションプラグインを重ねています。2つは、数あるVSTの中でも一番パソコンのCPU性能が必要と言われるAcustica AudioのTaupeEl Rey。そしてもう1つが、Universal AudioのStuder A800です。

動画には挿す前と後の比較もあるのですが、この3つを通すと、テープサチュレーションがコンプレッサーのように音を整えてくれます。さらに倍音が乗って低音の安定感も増し、立体感のある説得力のある音になっていますね。

ただ、Acustica AudioはCPUがそれなりに高スペックでないと使えません。なので、まずおすすめしたいのはStuder A800のほうです。僕もたまに使っていて、なんだか音が細いな、説得力がないな、という時にとても重宝しています。ちょうど今セール中なので、信頼できるサチュレーターを1つ持っておきたいという方は、この機会に手に入れてもいいかもしれません。

金銭面とマシンスペックに余裕がある方は、Acustica AudioのEl Reyを取り入れてみてください。Acustica Audioの中でも大定番の人気プラグインで、最近はEl Rey 2という新しいバージョンも出ました。

宅録だと、スタジオのハードウェア機材に乗るような倍音がどうしても出にくいので、こうしたプラグインでサチュレーションを足してあげることが大切です。

ボーカルの説得力を増したい方は、ぜひ参考にしてみてください。

📰 今週の音楽ニュース

スタジオ翁独自の視点で厳選した、世界の最新音楽ニュースをお届けします。
  1. Google Flow Music App: GoogleがAI音楽制作スタジオ「Flow Music」初の専用モバイルアプリ(iOS先行)を発表、カバー作成やMV生成機能も追加。

  2. Spotify × UMG AI Deal: SpotifyとUniversal Musicが提携し、Premium会員がファンメイドのAIカバー・リミックスを作れるツールを導入、参加アーティストに収益配分。

  3. sonicLAB Fundamental 4.1: sonicLABがMCP対応のシンセ「Fundamental 4.1」をリリース、ClaudeやGemini CLIから自然言語でプリセット生成・合成制御が可能に。

  4. Udio Starstruck Details: Udioがライセンス型AI音楽アプリ「Starstruck」の詳細を公開、Cover/Reimagine/Remix/Createの4モードを搭載しソングライターへ手厚い分配(外部配信は不可)。

  5. Behringer Synth Leaks: Behringerがサイト改修中にVCS3クローン「VCX 3」やCS-80風「VS-80」など未発表の12機種以上を誤って露出。

  6. Factor8 Constellations Sequencer: Factor8がユークリッドアルゴリズム採用の無料ポリリズムシーケンサー「Constellations」(最大32ch、AU/VST3)をリリース。

  7. Absurdly Quiet Piano Pro: Crow Hill Companyが極小音量で演奏したピアノをサンプリングした「Absurdly Quiet Piano Pro」(2ダイナミクスレイヤー、£29)を発売。

  8. AIR Tape Effects Collection: AIR Music TechがTape Saturator/Tape Echo(RE-501風)/Tape Double Trackの3本セット「Tape Effects Collection」を導入価格£99で発売。

  9. Arturia Memory V: ArturiaがMoog Memorymoogを再現したソフトシンセ「Memory V」を発表、12ボイス拡張やアルペジエーターを追加し€/$149。

  10. Spotify × UMG (MusicTech): 同件の続報。Spotify有料アドオンとして提供される、アーティスト合意ベースのAIカバー・リミックスツールを発表。

  11. UDO DMNO Interview: UDO AudioのGeorge Hearnが新シンセ「DMNO」を語り、90年代ダンス影響と「即時性・遊び心」を重視するハードシンセ設計思想を説明。

🎧サービス・書籍のご紹介

<VSTプラグイン「BinauralShift」>

音響心理学と脳科学に基づいた、「機能性音楽」のためのオーディオプラグイン。

バイノーラルビートを用いて、デルタ波(睡眠)やベータ波(集中)などを科学的に誘発します。バイノーラルビート生成だけでなく、「モノラルビート」 「アイソクロニックトーン」 、さらには「モンロー研究所が開発した特殊なバイノーラルビート」まで、このプラグイン一つで完結。

また、既存のサウンドにバイノーラル変調をかけることで、音楽としての自然さを保ったまま脳波誘導効果を付与でき、Apple「Sound Therapy」のような音楽を自分で作ることもできます。

<Splice作曲メソッド>

音楽制作に悩む初心者・中級者におすすめです。

音楽理論や楽器の演奏からスタートする「従来の作曲法」とは異なるアプローチにより、「アイデアが浮かばない」「どこから始めればいいか分からない」といった悩みを解決。アイデアがない状態から1曲を完成させる、実践的なテクニックを身に付けます。

さまざまなジャンルの音楽をゼロから作っていく様子までご覧いただくことで、実践に即した体系的なメソッドを学び、良い音楽を量産する方法を身に付けることができます。

<プライベートレッスン>

作曲・ミキシング・マスタリングに関するプライベートレッスンのご案内です。

具体的なレッスン内容は、事前のメールやZoomなどでヒアリングしてから決めていくことも可能です。

まずは、お気軽にご連絡ください。

<著書>

作曲AIに関する書籍です。

アイデアの出し方から作曲、アートワーク制作に至るまで、音楽制作からリリースまでの一連の流れにAIをフル活用する方法を解説しています。購入はKindle Unlimitedで。

<Suno AI、Udio用プロンプト生成ツール>

ChatGPTで使える、プロンプト生成ツールを作りました。

使い方は簡単。自分の好きなアーティスト名を入力するだけで、そのアーティストの特徴を出力してくれます。それを、Suno AIやUdioなどのプロンプトとして入力することで、そのアーティストのテイストに近い音楽を、AI作曲ツールが生成してくれます。

プロンプト選びに悩んでいる方は、ぜひ活用してみてください。

<Chrome拡張>

AI時代は、MYOG(Make Your Own Gear)の時代です。

アーティストが道具を自分で作る未来を模索中。その研究成果として2つのウェブアプリを開発しました。

週刊「スタジオ翁」ニュースレター版 vol.163

2026年5月29日発行

Blog: https://studio-okina.com/

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