このメルマガは、AIや最新テクノロジーをいち早く取り入れ、新しいアプローチで音楽を生み出す「次世代のクリエイター」に向けて書いています。
プロに限らず、誰もが音楽を作れる時代。AIや最新のテクノロジーを活用することで、本来ならエンジニアに任せる仕事も個人で完結できるようになりました。
あなたがプロの音楽家であれ、これから音楽を仕事にしたいクリエイターであれ、AI等を活用した次世代の音楽制作や、時代に合った新しいリリースの方法を模索しているならきっと参考になるはず。
目次
近況
作曲とミキシングのアイデア帳
今週の音楽ニュース
サービス・書籍のご紹介
📝近況
ここでは、最近取り組んでいる音に関すること、仕事のこと、音楽制作のことについて書いていきます。

最近のお気に入りソングは、SNSでも人気のこちらの曲。
彼女、声がすごくいいんですよね。
そしてビジュも良い。
過去には「Fly me to the moon」のカバー動画も出してます。初めてこの動画を見つけた時は、「なんだ、この人形みたいな顔は!」と完全にサムネの顔から入りましたが…
声が良すぎて、一気にファンになってしまいました。
中国のアーティストだからなのか、YouTubeにあまり動画が公開されていませんが、今後もっと人気が出て来日公演があると嬉しいですね。
さて今週、XLN Audioが「DB-33」という、ドラムエンハンサー系のプラグインをリリースしました。
XLNは、僕も長年お世話になっているメーカーで、中でも「XO」はドラムを作る上で欠かせないプラグインとなっています。
UIのセンスも音の作り込みも毎回ハイレベルで、今回の「DB-30」も実際に触ってみると、やはり使いやすいし、音の変化もかなり好印象でした。
しかし一方で、「似たようなプラグインがまた出たな」という感覚も拭えません。
僕自身、かなりの数のプラグインを買い漁ってきたこともありますが、新しいものが出ても「これじゃないとダメ」感が薄れてきています。この「DB-30」も「RC-20 Retro Color」のちょっと高品質バージョンというイメージ。
「欲しいけど、必要ないか」みたいなプラグインが増えてきてるんですよね。
そういえば以前、Fred again..がインタビューで「ほとんどLogicの付属プラグインしか使わない」と言っていたのが印象的でした。
以前は散々プラグインを漁っていたけど、今はDAW付属のものを中心に使っているそうです。
実際、ここ数年でDAW付属プラグインの精度はかなり上がりました。
Ableton LiveにしてもLogicにしても、標準搭載のEQ、コンプ、シンセだけでかなりのレベルの音が作れてしまう。サードパーティのプラグインを買い足す「必然性」が、年々薄れているのです。
さらに最近では、Native Instrumentsが破産したというニュースが話題になりましたよね。
KontaktやMassiveで音楽制作の世界を変えたメーカーが破産するのは、ハードウェア事業の問題もあるとはいえ、プラグイン業界全体の行き詰まりを象徴しているようです。
いったい、なぜプラグイン業界はここまで厳しくなったのか。
ひとつは、先ほど触れたDAW付属プラグインの進化。もうひとつは、AIの台頭です。
正直なところ、プラグインはこれからAIでどんどん作れるようになります。
僕自身、いまAIを活用したプラグイン制作を進めていて、近いうちにファーストプロダクトをリリースできそうなのですが、基本的な開発の理解さえあれば、コードが書けない人でもプラグインが作れる時代にもう突入しています。
最近では、”DAWそのもの”を個人で作ってしまう人まで出てきています。
こうなると、「このプラグインにしか出せない音がある」「これに代わるものはない」と言い切れるほど魅力的な製品でなければ、DAW付属のものを使うか、これまで購入したものを使い続けるか、または自分で作るかで済んでしまうでしょう。
AI作曲サービスSunoでは、1日に700万曲が生成され、Spotifyのカタログをたった2週間で超えてしまうほどの音楽が生成されていますが、こういった作曲の世界で起きていることが、プラグインの世界でも起きようとしています。
あらゆる業界でAIによって似たようなことが起きる中、自分で物やサービスを販売したり、音楽をリリースしたりする場合、その人だけの付加価値がなければ立ち行かなくなるでしょうね。
現在制作しているプラグインは、まさに業界が飽和した中でも価値を持つ、なかなか魅力的な製品になっていると思います。
これから夏にかけて音楽制作の仕事も増えていきそうですが、「いったい僕が音楽を作る意味は何なのか」「AIとどこまで協業するのか」、そういった問いへの答えを探し続ける数ヶ月になりそうです。
📘作曲とミキシングのアイデア帳
作曲やミキシングが上達する動画・記事・アイデア・最新のAIプラグインやAI作曲ツールをご紹介します。

Fred again..のディストーションオートメーション
先ほども取り上げた動画ですが、Logicの標準プラグインを中心に、彼がどのような音作りをしているのかが伺えます。
まず印象的なのは、オートメーションがとてつもなく細かいことです。リスナーを飽きさせず、楽曲に魅力的な展開を加えるために緻密なオートメーションが描かれています。
世の中には奇抜な音を作れるエフェクトが無数にありますが、彼はLogic標準のシンプルなプラグインをあえて中心に使用しています。シンプルなプラグイン同士を掛け合わせ、さらにオートメーションで複雑な変化を生み出すことで、「DAW標準付属のプラグインでも十分、世界的なヒットソングを作れる」ということを体現していますね。
さらに面白かったのは、ディストーションの「前」に様々なプラグインを配置し、オートメーションをかけている点。
僕自身は普段の制作で、音が変化しすぎないよう、ディストーションで音を作りこんだ「後」にフランジャーなどを使って微細なオートメーションをかけることが多かったのですが、彼はディストーションの前に変化をつけることで「ディストーションの歪み方」までダイナミックに変化させています。
これによって、あの有機的で全くリスナーを飽きさせないサウンドになっている点がとても面白いと思いました。
動画内で使われているプラグインはシンプルですが、元のシンセ音から「彼らしい魅力的なサウンド」へと変貌していくプロセスが分かります。
彼自身、過去に相当な数のプラグインを試し、使い込んできたと語っています。膨大な時間を音楽に投下し、様々な実験を繰り返して得た結論の一つが、このエフェクトの組み合わせなのでしょう。
このTIPSが、皆さんの制作の「引き出し」をまた一つ増やす機会になれば幸いです。
📰 今週の音楽ニュース
スタジオ翁独自の視点で厳選した、世界の最新音楽ニュースをお届けします。

SoundID Tools App: Sonarworksがスマホカメラで頭部・耳をスキャンしてDolby Atmos用カスタムHRTFプロファイルを生成する無料アプリをリリース。
MPC Sample: AKAI Professionalが手のひらサイズでバッテリー駆動・スピーカー/マイク内蔵の新型サンプラー「MPC Sample」を62,800円前後で発表。
Austrian Audio The Arranger: Austrian Audioが新開発DLCコーティング44mmドライバー搭載の開放型リファレンスヘッドフォン「The Arranger」を約187,000円でリリース。
Suno MILO-1080: SunoがAIサンプル生成機能とサブトラクティブシンセを搭載した16トラック対応ステップシーケンサー「MILO-1080」を発表し、本格的な音楽制作ツール領域へ進出。
GrainHeads App: iPhoneをグラニュラーシンセサイザーに変えるモバイル音楽制作アプリ「GrainHeads」が登場。
MNDALA 2 Tutorial: MNTRA Instrumentsの無料サウンドエンジン「MNDALA 2」のチュートリアル記事、X/Y/Zマクロ軸による直感的操作と6レイヤーサンプラー構成を解説。
Meze Astru Review: Mezeのフラッグシップ単発ダイナミックドライバーIEM「Astru」($899)のレビュー、純チタン筐体13.4gの軽量設計で中華IEM勢と真っ向勝負、評価4.6/5。
Audirvana Studio 3.0: Audirvanaが新UI「Allegro」と10バンドパラメトリックEQ・コンボリューションエンジン搭載のDSPスイートを備えたStudio 3.0をリリース。
🎧サービス・書籍のご紹介

<Splice作曲メソッド>
音楽制作に悩む初心者・中級者におすすめです。
音楽理論や楽器の演奏からスタートする「従来の作曲法」とは異なるアプローチにより、「アイデアが浮かばない」「どこから始めればいいか分からない」といった悩みを解決。アイデアがない状態から1曲を完成させる、実践的なテクニックを身に付けます。
さまざまなジャンルの音楽をゼロから作っていく様子までご覧いただくことで、実践に即した体系的なメソッドを学び、良い音楽を量産する方法を身に付けることができます。
<プライベートレッスン>
作曲・ミキシング・マスタリングに関するプライベートレッスンのご案内です。
具体的なレッスン内容は、事前のメールやZoomなどでヒアリングしてから決めていくことも可能です。
まずは、お気軽にご連絡ください。
<著書>
作曲AIに関する書籍です。
アイデアの出し方から作曲、アートワーク制作に至るまで、音楽制作からリリースまでの一連の流れにAIをフル活用する方法を解説しています。購入はKindle Unlimitedで。
<Suno AI、Udio用プロンプト生成ツール>
ChatGPTで使える、プロンプト生成ツールを作りました。
使い方は簡単。自分の好きなアーティスト名を入力するだけで、そのアーティストの特徴を出力してくれます。それを、Suno AIやUdioなどのプロンプトとして入力することで、そのアーティストのテイストに近い音楽を、AI作曲ツールが生成してくれます。
プロンプト選びに悩んでいる方は、ぜひ活用してみてください。
<Chrome拡張>
AI時代は、MYOG(Make Your Own Gear)の時代です。
アーティストが道具を自分で作る未来を模索中。その研究成果として2つのウェブアプリを開発しました。
週刊「スタジオ翁」ニュースレター版 vol.155
2026年4月3日発行
Blog: https://studio-okina.com/


