週刊「スタジオ翁」ニュースレター vol.112

このニュースレターは音楽制作からリリースまでを個人で完結させる、次世代の音楽クリエイターに向けて書いています。

プロに限らず、誰もが音楽を作れる時代になり、AIや最新のテクノロジーを活用することで、本来ならエンジニアに任せるような仕事も個人で完結できるようになりました。

あなたがプロを目指している音楽家であれ、これから音楽を仕事にしたいクリエイターであれ、AI等を活用した次世代の音楽制作、時代に合った新しいリリースの方法を模索しているならきっと参考になるはず。

目次

  1. 近況

  2. 作曲とミキシングのアイデア帳

  3. 今週の音楽ニュース

  4. サービス・書籍のご紹介

📝近況

ここでは、最近取り組んでいる音に関すること、仕事のこと、音楽制作のことについて書いていきます。

まだかまだかと待ち望んでいたのですが、ついに、Suno AI に STEM 分離機能がつきました!

精度的にはすごく高いわけではないですが、一旦出てしまえば精度が上がるのは時間の問題でしょう。ボーカル、ドラム、ベースなど様々な楽器に分離することができ、AI 作曲の可能性が大きく広がったと思います。

これがどのように使われるかというと、音楽の尺を細かくコントロールしたりできるのはもちろん、リミックスしたり、特定の楽器だけを使って自分のオリジナル曲を作ったりと、あらゆる方法が考えられます。

これまでのように、ただプロンプトから一発出しで終わりではなく、さまざまな可能性が広がります。

Stem分離ができるようになった今、音楽ストリーミングサービスについているAI楽曲探知機能は徐々に無意味になってくるでしょうね。AIが作ったステムを使って音楽を作っても、絶対にその曲がAIによって作られているなんてわからないですから。

これを機により一層、プロの音楽家・作曲家の方々が、作曲AIを使って音楽を作る波が広がってくると思います。今は、プロの作曲家ならSpliceやLoopcloudのようなサンプル音源サービスを誰しも使っていますが、これまで作曲家から積極的に「僕はサブスク音源サービスを使って作曲をしています!」と発信していなかったのと同様、「AIを使って作曲をしています」なんていうプロの作曲家は現れないでしょうが、実はみんなこっそりAIを使って作曲している、というような、プロですらAIを使わない作曲は考えられない時代に入ってきたと思います。

まだAIの精度が低いうちは、打ち込みの技術やSpliceなどのサブスク音源サービスも必要ですが、僕も今のうちから積極的にAIを活用し、AIを使いつつもオリジナリティのある音楽を作る方法を探っていきたいと思います。

📘作曲とミキシングのアイデア帳

作曲やミキシングが上達する動画・記事・アイデア・最新のAIプラグインやAI作曲ツールをご紹介します。

SoundFlowという、スマホ経由でDAWをコントロールできるStream Deckのようなコントローラーアプリが、Ableton Liveの操作にも対応しました。

音楽制作をしている人たちがStream Deckをよく使っているのを見て、気になってはいたのですが、なにせ机の上に物が増えるのが嫌いで導入は考えていませんでした。

ところが、SoundFlowなら手持ちのiPhoneの画面上にショートカットキーを割り当てることができるため、机の上をミニマルに保ったままAbleton Liveの作業効率がぐんと上げることができます。

僕は普段よく使うアプリやAbleton Liveの標準プラグイン、サードパーティー製のVSTプラグインなどをiPhone上に配置していますが、これによって一発でプラグインを立ち上げたりアプリを開いたりすることが可能になりました。

1ヶ月の無料体験もあるので、ストリームデックの導入を考えていたけど、少し高くて躊躇していた、机の上に物が増えるのが嫌で買わなかった、という人は、ぜひこちらを試してみてはいかがでしょうか。

📰 今週の音楽ニュース

毎週、世界中から厳選した音楽ニュースをお届けします。

🎧サービス・書籍のご紹介

<著書>

作曲AIに関する書籍を出版しました。

アイデアの出し方から作曲、アートワーク制作に至るまで、音楽制作からリリースまでの一連の流れにAIをフル活用する方法を解説しています。Kindle Unlimitedで読めるので、気になった方はチェックしてみてください。

<Suno AI、Udio用プロンプト生成ツール>

ChatGPTで使える、プロンプト生成ツールを作りました。

使い方は簡単。自分の好きなアーティスト名を入力するだけで、そのアーティストの特徴を出力してくれます。それを、Suno AIやUdioなどのプロンプトとして入力することで、そのアーティストのテイストに近い音楽を、AI作曲ツールが生成してくれます。

プロンプト選びに悩んでいる方は、ぜひ活用してみてください。

週刊「スタジオ翁」ニュースレター版 vol.112

2025年6月6日発行

Blog: https://studio-okina.com/